徹夜です。



外はずいぶんと冷え込んでいるようで、

加湿器からいつも以上に勢いよく白い蒸気が吐き出され続けています。



冷え切った足先をスリッパの奥に押し込み、静かに台所へ向かう。

台所の蛍光灯が換え時の催促をするようにじらしながら、点いた。

冷え切ったいつもの景色。

凍りついたようなさかさまになった食器の小さな山。

僕は将棋くずしをするように慎重に手を伸ばし、石のように冷たくなったコーヒーカップを取り出した。




ミルクを注ぎ、ほとんど無意識に電子レンジのボタンを押した。




冷蔵庫が日本で普及し始めたころに僕は生まれた。

蛇口をひねれば水が出るくらい当たり前に冷蔵庫は存在してきた。

でもたかが40年の歴史。

え!、じゃあ45年前は食品の保存は一体・・・



なんだかとても危うさを感じた。

永遠にも思えるこの豊かな生活。

実はほんの一時。




ネオが感じていた違和感、”これが本当の世界なのだろうか”。。


いつか僕らもあのカプセルを飲まなくてはいけない日がくるのだろうか。







ピーッ、ピーッ、ピーッ、ピーッ・・















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