1967年からTBSで”木下恵介アワー”が始まりました。「二人の世界」は第8作目で1970年12月から1971年5月まで放送されました。

 当時このドラマを観ていなかったので、巷でよく流れていた「二人の世界」(あおい輝彦が歌った主題歌)が、ベッタリとしていてあまり好きになれませんでした。
 日本映画専門チャンネルで「山田太一劇場」として、1月に放送されて初めてドラマ「二人の世界」を観ました。このテーマ曲がオープニングとドラマの中で流れているので、大ヒットした理由がよくわかりました。多くの人がドラマを観て、この歌を好きになったのですね。今では私も大好きになりました。
 あおい輝彦「二人の世界」は木下忠司が作曲し、脚本家山田太一が作詞しています。特に2番の歌詞にグッときます。♪夜の闇の中でも 僕は君が見える 声をかき消す 風の中でも 僕は君の声を聴く さすが山田太一だわと感心しています。
 

 

 「二人の世界」はロマンチックで明るいドラマです。栗原小巻と竹脇無我のゴールデンコンビ。清潔感があって、やわらかで、それでいて凛としている二人。素敵です。放映当時、中華圏で絶大な人気があったのも納得です。
 
 場面で流れるクールな矢島正明のナレーションも魅力です。
  『始めて出逢った夜、小さな出来事が二人を近づけた夜、二人の間に愛が生まれた。いや、しいて愛とよばなくてもいい、愛がそのように早く生まれ、短い間に揺るぎなく思えることに冷めやすいことを感じる人もいるだろう。だから愛と呼ばなくてもいい』
  『ひとつのめぐりあいが、二人の世界がただ二人の幸せではなくて より広いせかいを照らすのでなければ、二人の世界もその命を失うだろう』
 
 良い俳優を適材適所で配役しています。両親に山内明、文野朋子人のいいコック長の三島雅夫。ご近所のうるさ型おばさんに武智豊子、やくざのような貫禄に内田朝雄、意思の弱そうな小坂一也、俳優が豪華です。
 
 
 
   二人の世界 1970年 TBS 全26話
 
 
 企画 木下恵介    脚本 山田太一  演出 木下恵介、川頭義郎  音楽 木下忠司  制作 松竹 木下恵介プロダクション TBS

 出演 栗原小巻 竹脇無我 あおい輝彦 三島雅夫 東野孝彦  山内明 文野朋子 菅貫太郎 長谷川哲夫 村井国夫  武智豊子  内田朝雄 小坂一也 五十嵐じゅん

 
 あらすじ(ウイキより)
 
 宮島二郎(竹脇無我)と榊原麗子(栗原小巻)は、海外有名アーティスト(アルマンド・ロメオ)のコンサート会場で入場を断られた同士として偶然知り合う。楽屋口から忍び込もうとして見つかって追いかけられるなどしてそのまま深夜までデート。お互い惹かれあった二人は、毎日のように会ってわずか5日目に結婚を約束するまでになる。知り合って短すぎる、若すぎると言う反対にも抗して二人は3カ月で結婚へとこぎつけるのだった。
 安定したサラリーマン家庭で幸せな生活をおくる麗子だったが、二郎は、会社の派閥争いで左遷され、サラリーマン生活に前途を見いだせなくなっていた。新婚早々、夫婦の危機を迎えた二人だが、お互いに協力し合って生きていこうと脱サラしてスナックを営むことにする。しかし、その経営にも大きな荒波が押し寄せてくるのだった。
 
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 二人の燃えるような恋愛は、落ち着いたレストランやバーの効果もあり、短い時間を感じさせないで、ロマンチックに描かれて成就します。大人の恋愛です。
 木造アパートでの新婚生活は竹脇無我の仕事上の理由で、二人はいがみあったりもします。脱サラを決めてからのテンポの良さが、「二人の世界」を明るいドラマに仕立て上げました。
 1970年代の商店街の賑わいなども感じられ、人々が生き生きとしています。観て本当に良かったと、お勧めできる「二人の世界」です。
 
 採点10点満点中8点