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 豊洲新市場


 講演した築地の中澤誠氏は、11月7日の豊洲移転中止を求めてツイッターで発信し続けてきました。有志6人から始まった反対運動は東京都をも動かすことになり、移転延期までこぎつけました。

 中澤氏の講演から

 現実にはほとんどの関係者が移転に反対していた

  ・1996年 11月ごろに築地市場の現在地再整備が不意に中断する
  ・1998年 6月 東京都が「六団体合意」を要請 「関係業界の一致した意見を明 らかにすることが必要」 11月、東卸(仲卸組合)による全組合員投票・495対376で移転を否決。宮城市場長は「一団体たりとも反対であれば、豊洲には絶対行きません」と明言していた.
  ・1999年 4月 石原慎太郎が都知事に。初めて豊洲が出てくる。
  ・2014年 東卸は総代会で1998年の機関決定による移転否決をひっくり返す。
  ・現実には「卸」以外の団体は「築地市場・現在地再整備」が本音。
  ・2014年2月に豊洲新市場着工


 豊洲新市場の問題は山積 

  ・「交通アクセス」   最寄りのJR駅がなく、鉄道はゆりかもめ一本。徒歩、自転車想定せず。道路からのアクセスも貧弱で、移転後は新宿・池袋への午前中配送は不可能? 晴海通りは今でも混雑しているのに、豊洲の物流が入ると想像もできないくらい大混雑する。
  ・「物流の問題点」  環状2号線と補助315号線により、三つに分断されているという根本問題。水産と青果をつなぐ物流動線が存在しないという世にも奇っ怪な卸売市場。施設の立体配置で物流コストが大幅に増大。閉鎖型施設で荷下ろしのトラックが市場内に入れず、ドッグシューターは長蛇の列。足りないピッキングスペース、足りないエレベーター、スロープ。
  ・施設使用料もまだ決まっていないのに、去年の夏に「造作工事を」といわれる。
  ・物流の効率性の悪さ。使いがっての問題、採算がとれない。効率が悪い。
  ・スプリンクラーと氷屋を作り忘れ。各店舗にコンセントは二つしかない。。駐車料金、ゴミ捨て未定。建物償却の問題山積み。



 豊洲用地の土壌汚染問題

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 豊洲新市場予定地区 汚染調査結果位置図  2009年中に都が公表した汚染調査結果報告会書類のデータに基づく



 3. 豊洲用地の土壌汚染問題

 ①汚染物質    
 ベンゼン(揮発性・発がん性物質)環境基準の43,000倍
 シアン(青酸カリ類似物質)が930倍
 ヒ素(最も広範囲に拡散している)
 鉛 水銀、六価クロム、カドミウム、ベンゾ(a)ピレン(発がん性物質)、その他「油分」等。
 これらの汚染物質は、昭和30年代当時、まだ「公害」という言葉もない頃、工場の敷地に「穴を掘って埋める」ということが当たり前のように行われていたという。
 豊洲用地は、汚染原因者である東京ガスが土地の受け渡しに際して、一度土壌汚染対策工事を行っている。にもかかわらず東京都による再調査で、日本で最大規模・最高濃度の土壌汚染区域。現在も土壌汚染対策法に基づく『区域の指定』を受けている。
 ・ここへきて、地下水モニタリング3地点から基準を超えるベンゼン・ヒ素が検出される。
 ・補助315号線下の汚染が除去されていない事実が発覚。ベンゼン・シアンが700倍超。

 ②豊洲新市場の土壌汚染対策は法的に問題はないのか?


 ◎土壌汚染対策法のうえでは汚染の除去の義務付けはない。しかし、法令に基づく土壌汚染状況調査は義務付けられている。
 ◎土壌汚染対策法では、ベンゼンなど汚染の恐れのある区域の表層ガス調査を義務付けているが、地下水調査で代替している。
 ◎土壌汚染対策法では10mのボーリング調査が基本だが、東京都はYc層が均一に広がる不透水層だとしてやっていないため、深度方向の調査が明らかに不十分。
 ◎土壌汚染対策法改正に伴い、帯水層の底面調査が義務付けられたが、そもそも土壌汚染状況調査報告書(応用地質株式会社)に偽装があり、300区画以上の調査に不備。
 ◎環境基準の10倍を超えるヒ素を自然由来だと主張し、残存したまま。
 ◎豊洲は東日本大震災で数百メートルにわたって液状化。汚染地下水があふれ出すも、専門家が目視で「安全」を確認?本来ならば『指定調査機関』の調査を要する。

 ③豊洲新市場用地の土壌汚染対策は万全なのか?

 ◎豊洲新市場用地の汚染は複合汚染だが、東京都はたまたまみつかった汚染物質だけを処理している。
 ◎土壌汚染対策にあたっては、汚染区画の10m四方を矢板で囲んで汚染度と地下水を処理し、また埋め戻す。最後に矢板をぬくことになる。が、他の区画から汚染地下水が流れ込めば元の木阿弥(もくあみ)となる。
 ◎豊洲新市場用地は地下水位が海面より高く、管理することは困難。
 ◎地下水管理システムの揚水井戸は、詰まる。

 ④その他の問題

 ・そもそもなぜ豊洲用地が空き地だったのか?この移転計画自体が、問題物件の土地を解決する手段だったのではないか?土壌汚染対策費用問題に、すでに都民の税金858億円が投じられている。
 ・今だけでなく、、将来にわたって50年、100年の安心・安全が必要。
 
  (続く)