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   <クリスティ-ネ・カウフマン>


この写真の女優を知っているだろうか

60年代を彩った我らのマドンナである。


高校時代 新潟の”バネが飛び出した椅子”の

映画館で心を奪われた女優である。


そのタイトルは忘れたが「隊長ブーリバ」か

「ポンペイ最後の日」だったと思う。


新潟の繁華街を歩くと、

カレー皿より大きなクッキーの缶が並んでいた。

その缶の印画写真がこれだった。


でもポケットの中にはそれを買うお金が無かった。


クリスチーネ・カウフマン

それ以来この名を忘れた事はない。



ナイルクルーズ船は夕刻出航した

船尾のデッキに立っていると

もう一隻 同じ大きさの船が後を追ってくる


乗客が多く二隻クルーズらしい。

ナイルはこんな上流でも川幅は広い

水の色は青くて綺麗だ


岸辺には椰子と緑の畑があり、すぐ後ろには

砂漠が迫っている。

この砂は赤く、目が細かく粉のようだ


左岸に夕日が落ちて、

ディナーの案内が船内に流れた。


客はほとんどが欧米系でアジアは

我々瞑想ツアーの人間だけだった。


最上階の食堂に三々五々人が集まって

くる。

私の部屋は船底から二層目

階段をだいぶ昇らねばならない

私の前を欧米系の親子三人が行く。

もれ聞く言葉はドイツ語だ。


その娘はスラッとして

ハッとする美しさだ


<クリスチーネ・カウフマンに似ている>

私の心臓はどきどきと鳴った。


     (つづく)