<箸墓は卑弥呼の墳墓か>
久々にブックオフの百円本が当たった。
三塁打かひょっとするとホームラン。
「箸墓幻想」という本だ
だいたいこの装丁は金が掛かっている
出版社も毎日新聞社だ。
こんな本が百円だって
内田康夫の浅見光彦シリーズ
この浅見探偵が出て来る小説は
甘ったるい缶コーヒー見たいなもので
東京まで行く新幹線の中で読み切る
時間つぶし本だ
ただ「箸墓」(はしはか)というタイトルから
重たい内容かなと思って1か月くらい放って置いた。
ところが
この百円本は、カバーが厚紙をつかって
和紙のようにザラザラして気持ちが良く
つい読み始めた。
読み始めて五分
”当たった”という小躍りする感情に包まれた。
重い内容を「浅見光彦」の軽さが救う
< 箸墓古墳の傍の小道を通った事があった
まだ女遍歴が始まる前の性の衝動に
突き動かされていた学生のころ>
墓の環濠の淀んだ水に葦が生えて
暗く不気味に見えたのを覚えている。
私は立教の経済だったけど
文学部系の考古学研究会に入っていた
学閥で関東は縄文・弥生の研究ばかり
関西は古墳・天平奈良の遺跡発掘に分れていた。
私は歴史上に残る「時代」の<発掘>がしたかった。
京大は無理にしても、同志社に入れば
その「時代」の発掘ができたのかもしれない
と何度も思った。
関西に行く勇気が無かった
小説の舞台は柏原考古学研究所、
そこで殺人事件が起こる
東大寺から近鉄奈良駅に下がってくる道に
「奈良女子大」がある
そこの女子大生もからんでくる。
(奈良女子大 興味がある
馬酔木(あしび)の浄瑠璃寺で、四国出身の彼女に出会う)
新潟の田舎者はこんなシティウェーション憧れた。
舞台設定は興味があるところばかりだった
卵でとじた美味しいカツ丼を目の前にした感じだ。
これは十分にゆっくり味わねばなるまい。
(つづく)