<私の泊まったホテル・この裏に線路がある>
<革命広場・ 突き当りを右に行くと道外区>
窓を開けると朝の香しい空気が入ってくる
けたたましく鳥の鳴く声がするので
見ると、湖の岸の茂みにキジが居る。
”キジも鳴かずば撃たれまい”とは良く言ったものだ
気の強いキジは 人が居ようといまいとお構いなしに鳴く。
人間は年中繁殖するが、キジは今がそうだ。
目の前がテリトリーのオスは、メスを呼んでいるのだ。
数年前は 隣の境のオスと喧嘩していた。
大観園に戻ろう
なかにし礼の「赤い月」から以下引用すると
*
哈爾濱の街は「道理」と「道外」に大きく分けられている
「道理」にはロシア人、日本人、裕福な中国人が住み
ロシア風の街並みが整然と広がっていたが、
一歩「道外」に足を踏み入れると中国人街であり
貧民窟のボロを集める商人、物売り、苦力、
娼婦たち、不潔と無秩序が広がる世界だった。
冨錦街を五十メートル程入ると
大観園という看板の掛かった「大きな建物」があり
その入口が洞窟のように黒い口を開けていた。
その暗がりの中に痩せこけた死体が二、三転がっていた
*
豪壮な私の泊まったホテルの前の革命広場
綺麗な河岸公園、 しかしその河岸道を右へ行き
ガードをくぐると「道外」なのだった。
観光客は知らない
私は見た
七十年まえ 満州国が消滅するまで
そこに東洋一の<阿片窟>があった跡を。