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<私の泊まったホテル・この裏に線路がある>


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<革命広場・ 突き当りを右に行くと道外区>





窓を開けると朝の香しい空気が入ってくる


けたたましく鳥の鳴く声がするので

見ると、湖の岸の茂みにキジが居る。

”キジも鳴かずば撃たれまい”とは良く言ったものだ


気の強いキジは 人が居ようといまいとお構いなしに鳴く。 

人間は年中繁殖するが、キジは今がそうだ。

目の前がテリトリーのオスは、メスを呼んでいるのだ。

数年前は 隣の境のオスと喧嘩していた。


大観園に戻ろう

なかにし礼の「赤い月」から以下引用すると


哈爾濱の街は「道理」と「道外」に大きく分けられている

「道理」にはロシア人、日本人、裕福な中国人が住み

ロシア風の街並みが整然と広がっていたが、

一歩「道外」に足を踏み入れると中国人街であり

貧民窟のボロを集める商人、物売り、苦力、

娼婦たち、不潔と無秩序が広がる世界だった。


冨錦街を五十メートル程入ると

大観園という看板の掛かった「大きな建物」があり

その入口が洞窟のように黒い口を開けていた。

その暗がりの中に痩せこけた死体が二、三転がっていた



豪壮な私の泊まったホテルの前の革命広場

綺麗な河岸公園、 しかしその河岸道を右へ行き

ガードをくぐると「道外」なのだった。

観光客は知らない

私は見た

七十年まえ 満州国が消滅するまで

そこに東洋一の<阿片窟>があった跡を。