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「父は優しい人だったわ」


スカヤは聞きもしないのに 身の上を語り始めた


<おいおい 俺は犯罪人かもしれないんだぜ>


スカヤの「心のカンヌキ」が外れる音がした

そうすりゃ 俺だって日本男児だぜ

ノモンハンに先祖が一万五千人眠っておられるんだ

おれ一人位 この地に眠ったって どうって事はねェ

私は覚悟を決めていた。

この道 突き進んでやる。


スカヤの父は木材の輸入をやっていた

私の想像だが、シベリヤの不法伐採に

からんでいたのではないか

そうでなければ 死ぬものではない


輸入シベリア木材の三分の一は不法伐採だ

趙も格安のそれを買っている。


家庭では優しい父だったが、

外では強面の不法商人だろう


勿論 スカヤは知らないし

私も見たわけではない


お母さん はどうなの」

「母は父を愛してたわ」

「父を亡くして五年 父の蓄えも

無くなって この商売に半年前に入ったのよ」

「モンゴル人がこの店のオーナーよ」

「多分 ここの公安と繋がってるわ

此処 部分だけ 声を落として言った。


スカヤの父は分け前を巡っての争いで

腹を刺されたのだ。



        (つづく)

一方 同じホロンバル平原のノモンハンでは

「辻政信」と言う陸軍大学三番で卒業の関東軍参謀が居た

彼がソ連の覚悟、装備、を見誤って、始めた戦争、

無知、無定見、無責任 こんな奴が指導者だった。


戦車ゼロ対四百、わが軍が届かない長距離砲のソ連、に対して

劣悪な装備で立ち向かった陸軍は互角以上の戦いをした

火炎びんが主な対抗手段、 裸で走って行って戦車の飛び乗り

入口に火炎瓶をぶつける、これで結構ソ連の戦車は燃えた。


帝国陸軍は「けな気」である。

勇士は今もホロンバル眠る