じつは……、と言うほどのこともないのですが??
じつはこの度、なにを間違ったか、映画に出ちゃいました。

撮ったのは一ヶ月ほどまえだったか。

どう考えてもハズかしいだろ。

だいたい、ぼくに役者がつとまることなど到底ありえない話なんである。

だから出演の話が来たときにそっこう断った。

断ったのだが、監督になんやかんやと言いくるめられ、ついでに酒も入っていたもんだから、なんとなくやる方向になってしまった。


もっとも、映画と言っても、劇場でやるような大作ではなく、三十分程度の短編映画である。あるいは、こういうのは自主映画とも言うのかもしれないが、ただしプロデューサー以下、制作スタッフはみなプロの方だし、ほかの出演者も立派な役者さん。

某大手のプロダクションに所属していたりもする。

そして、そのほとんどの方は初対面同然で、もう、ますます右も左もわからない状態である。
そもそも、なぜこんなことになったか。


仲間とやっているイベントに来ていた女流監督が、次の作品の役柄にDJが登場するので「DJが出来る貴方にぜひ出てもらいたい」とのことだった。

無理に演技をする必要もなく、ふだん通りでいい、でも、ちゃんとDJが出来る人にお願いしたいから、というようなニュアンスだった。

そのくらいなら出来なくもないかな、とおもっていたのだが……。
ところが。

後日、脚本が届くと、たしかにDJの役柄ではあるが、予想以上に立派なセリフがズラーッとならんでいた。

しかも、ソイツはDJでありながら、この世の神の存在を理解している、言ってみれば、預言者のようなトンデモナイ役だった。


一生懸命セリフを覚えても、まったく頭に入ってこないのは、その預言者DJが言うセリフが、いちいち説教じみていたり、壮大なことをエラソーにのたまっているからで、いったいこれをどうふだん通りに演じればいいというのか。


いや、それ以前に、ぼくにはどうやら「演じる」の「エ」の字が一ミリも備わっていないようだ。一度、事前に役者一同集まってのセリフ合わせというのをやったのだが、ぼく以外の方々はいきなり入り込むように熱くセリフを読んでいた。

ぼくだけは、棒読みもいいところだった。
しかも、台本を目のまえにしているのにもかかわらず、噛みまくっていたのだから救いようがない。たしか、突然まとまったお金がいるときにキャッシングローンが便利みたいだな。