2024年3月16日土曜日

ガザ食料配給施設を攻撃 イスラエル軍の国際法違反が常態化

 悪逆にして獰猛と言うしかないイスラエル軍は、ガザの国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の食料配給施設を攻撃し職員を殺害しました。
 UNRWAによると、昨年10月の戦闘開始以降、150以上の施設が攻撃され、少なくとも職員165人が殺害されました。イスラエル軍に拘束され、虐待された職員もいるということです。
 ラザリニ同事務局長は「攻撃は食料が底をつき、飢餓が広がり、飢饉となっている地域もあるなかで行われた」と指摘した上で、「国連とその人員、敷地、資産は常に保護されなければならない」と述べ、「国際人道法をあからさまに無視した国連施設、筆列、人員への攻撃が常態化している」と批判しました。
 同軍は支援物資を待つ住民も標的にしていて、12日夕も北部ガザ市で物資到着を待って集まった人ぴとに発砲して6人を殺害し少なくとも83人を負傷させました。

 米国人権団体など25のNGOは12日、イスラエルヘの米国の軍事支援に「深い懸念」を表明し、「ガザでの人道大惨事への支持をやめよ」と求める共同書簡をバイデン大統領に送りました。そして米国の対外援助法は、米国の人道支援をその政府が妨害していると認識した時点で米国が軍事援助を行うことを禁じているとして、イスラエルへの援助が法令違反であると指摘しました。

 南米チリの法律家620人が11日、イスラエルは「人道に反する重大犯罪、戦争犯罪、ジェノサイド罪」を犯していると主張し、ネタニヤフ首相、ガラント国防相、軍幹部の逮捕状の発行を国際刑事裁判所に要請しました。

 米国サンフランシスコ国際空港で13日、ガザ地区での恒久的な停戦を求めて市民数百人が「自国の政府が残虐行為の共犯者になっている時に黙ってはいられない」として、「今こそ恒久的な停戦を」「来国はイスラエルヘの武器売却をやめろ」などと書いたプラカードや横断幕を掲げました,

 しんぶん赤旗の4つの記事を紹介します。
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ガザ食料配給施設を攻撃 イスラエル軍 国際法違反が常態化
                     しんぶん赤旗 2024年3月15日
【カイロ=秋山豊】パレスチナ自治区ガザで人道支援の中核を担っている国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は13日、南部ラファで食料と救命物資を保管する施設がイスラエル軍に攻撃されたと発表し、繰り返される国際人道法違反を批判しました。

 少なくとも職員1人を含む5人が死亡し、22人が負傷しました。SNSに投稿された動画には、ガザに残る数少ないUNRWAの食料配給施設の床に血が広がる状況が映し出されています。イスラエル軍はイスラム組織ハマスの司令官を殺害したと主張しました。
 ガザはイスラエルの軍事攻撃と封鎖で食料をはじめ住民の死活に関わる物資が圧倒的に不足し、人道的大惨事に陥っています。
 UNRWAのラザリニ事務局長は「攻撃は食料が底をつき、飢餓が広がり、飢饉(ききん)となっている地域もあるなかで行われた」と指摘した上で「国連とその人員、敷地、資産は常に保護されなければならない」と述べ、「国際人道法をあからさまに無視した国連施設、筆列、人員への攻撃が常態化している」と批判しました。
 UNRWAによると、昨年10月の戦闘開始以降、150以上の施設が攻撃され、少なくとも職員165人が殺害されました。イスラエル軍に拘束され、虐待された職員もいると伝えられます。
 同軍は支援物資を待つ住民も標的にしています。パレスチナ通信によると12日夕も北部ガザ市で物資到着を待って集まった人ぴとに発砲して6人を殺害し、少なくとも83人を負傷させました。
 イスラエルはハマスによる昨年10月の奇襲にUNRWA職員が関与したと主張。米国や日本などが資金拠出を停止し、UNRWAの人道活動が危機に陥っています。
 イスラエルのネタニヤフ首相は13日、オランダのルッテ首相と会談してガザからUNRWAを排除する意思を示し、オランダの資金拠出停止に謝意を述べました。


イスラエル支援は違法 25人権団体ら米大統領に書簡
                     しんぶん赤旗 2024年3月15日
【ワシントン=石黒みずほ」イスラエルがパレスチナ自治区ガザヘの支援物資の搬入を制限・遮断している問題をめぐり、米人権団体など25のNGOは12日、バイデン米大統領に対し共同書簡を送りました。NGOは、イスラエルヘの米国の軍事支援に「深い懸念」を表明し、「ガザでの人道大惨事への支持をやめよ」と求めました。
 書簡は、他国に軍事支援を行う米国の対外援助法について、米国の人道支援をその政府が妨害していると認識した時点で、米国が軍事援助を行うことを禁じていると指摘しました。現在、深刻な食料不足の状態にあるガザに対し、米軍が空中からの支援物資を投下し、バイデン大統領が一般教書演説(7日)で、食料や医薬品などを遅ぶ輸送蛤を受け入れる仮設桟橋の設置を米軍に指示したことに言及。これらの措置は、人道団体が訴えてきた通り、イスラエル政府が人道支援を妨害し、パレスチナ人を飢えさせていることを「公に認めているものだ」と表明しました。また米国の支援物資が遮断され、米国NGOのスタッフも攻撃で犠牲になっていることもあげ、イスラエルヘの軍事支援は同法に「明らかに違反」していると述べました。
 書簡には、米アムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、米オックスファム、クインシー研究所などが名を連ねています。

 戦闘参加の国民に「帰国時逮捕」明言 南ア外相
 南アフリカ共和国のパンドール外相は10日にプレトリアで与党アフリカ民族会議(ANC)が開いたパレスチナ連帯の会合で演説し、イスラエル軍に入隊して戦闘任務に就いている南アフリカ国民に対して、「われわれは用意ができている。帰国すれば、あなた方を逮捕する」と述べました。
 南アフリカは昨年12月に、国際司法裁判所(ICJ)に対し、イスラエルによるガザ攻撃がジェノサイド(集団殺害)条約違反だと心て提訴。それに先立ち、政府は、南アフリカとイスラエルの二重国籍者がイスラエル軍に入隊するか、入隊を検討しているとの報道を受けて、「このような行動は、国際法の違反や、さらなる国際犯罪を実行することになるため、南アで訴追を受ける可能性がある」と警告。南アフリカに帰化して国籍を取得した市民が、「南アが支持や同意できない」戦争に参加した場合には、国籍をはく奪する可能性があるとしていました。
 パンドール外相は演説の中で、参加者がそれぞれパレスチナと連帯する行動に立ち上がるよう呼ぴかけ。その一例として、エルアル・イスラエル航空に乗るのをやめることを挙げました。


イスラエル首相らを告訴 I CCにチリ法律家620人逮捕要請も
                     しんぶん赤旗 2024年3月15日
 南米チリの法律家620人が、パレスチナ自治区ガザで攻撃を続けるイスラエルのネタニヤフ首相らをジェノサイド(集団殺害)の罪で訴え、逮捕を求める告発状を国際刑事裁判所( I CC)に提出しまレだ。スペインメディアなどが13日報じました。
 報道によると、共同の告発状には、弁護士、外交官、国会議員らが名を連ねました。ネルソン・ハダド元駐ヨルダン大使ら代表者が11日、オランダ・ハーグのICC本部に告発状を直接提出しました。
 告発状は、ガザやヨルダン川西岸など占領地でのイスラエルの行動について、「人道に反する重大犯罪、戦争犯罪、ジェノサイド罪」を犯していると主張し、ネタニヤフ首相、ガラント国防相、軍幹部の逮捕状の発行を要請しています。
 ハダド氏は13日、メディアの取材に対し、ガザで行われているのは「非人道的で下劣な、残酷でいまわしい犯罪」であり、「無処罰であってはならない」と強調。イスラエルの基本的な目標は「全体であれ一部であれ、住民を一掃すること」、「自決権を持つ(パレスチナの)人々の民族的アイデンティティーを破壊することだ」と非難しました。
 ハダド氏はまた、昨年12月の国連総会では153カ国が即時の人道的停戦を求める決議に賛成したことに言及。同決議に反対し、国連安保理の即時停戦決議案にも拒否権を行使した米国の態度を「不当だ」と指摘しました。
 チリには、パレスチナ系住民が50万人近く居住しているといわれます。ポリッチ政権はイスラエルのガザ攻撃を厳しく批判し、1月にはメキシコと共にI CCに国際人道法違反の捜査を正式に要請。また、4月に首都サンティアゴで開催される国際航空宇宙フェアにイスラエルの軍事企業の参加を認めない決定を行っています。


黙っていられない 米サンフランシスコ ガザ停戦行動
                     しんぶん赤旗 2024年3月15日
 【ワシントン=島田峰隆】米西部カリフォルニア州のサンフランシスコ国際空港で13日、イスラエルが軍事侵攻を続けるパレスチナのガザ地区での恒久的な停戦を求めて市民数百人が宣伝行動に取り組みました,米メディアによると、市民らは空港の入り口やターミナルに集まり、「今こそ恒久的な停戦を」「来国はイスラエルヘの武器売却をやめろ」などと書いたプラカードや横断幕を掲げました。
 参加者の一人はABCテレビに対し「イスラエルがガザに対して行う戦争を世界は非難しているのに、米国の政治家は戦争を激化させ、ジェノサイド(集団殺害)に資金を出している」とバイデン政権を批判。「自国の政府が残虐行為の共犯者になっている時に黙ってはいられない。永続する停戦が必要だ」と語りました。

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やってる感すら希薄政倫審プロレス(植草一秀氏)ー政治資金規正法改正の具体的提案

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 政倫審が何度も開かれているが、対象の議員たちが嘘をついてもペナルティーがないから埒が明かずに「政倫審プロレス」とでもいうしかないと批判し、「犯罪者を厳正に摘発することができないなら、せめて実効性のある法改正を実現しなければならない」と述べ、その要点を述べました。
 具体的には下記の3点です。
1.同法21条の2の2項を削除し、政党や政党支部から議員個人への寄附を禁止する。
2.議員の資金管理団体、政治団体を総括する収支報告書の提出を義務付ける。
 不正な資金授受があっても帰属を特定できないと摘発できないとの主張があるので、これを防ぐために総括収支報告書の提出を義務付けるというものです。
3.連座制を導入する。
 連座制の導入はあまりにも当然のことです。
 そしてこの法改正の確約を予算案採決の条件に明示する必要があるとしています。
 極めて明快です。

 併せてまるこ姫の記事「世耕『刑事的には私は真っ白。だが職を辞した』唖然とする図々しさ」を紹介します。
 なお「くろねこの短語」氏もまるこ姫と同様の記事を出しているので、興味のある方は下記からアクセスしてください。
「自分は刑事的に真っ白」(世耕弘成)・・・検察がお目こぼししただけで、不記載はれっきとした犯罪だ!!(くろねこの短語)
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やってる感すら希薄政倫審プロレス
             植草一秀の「知られざる真実」 2024年3月15日
予算委員会が開かれているが予算の根幹の論議は皆無。
政倫審ばかりが何度も開かれているが政倫審が機能しないことなど開かれる前から分かっている。嘘をついてもペナルティーがないかららちが明かない。
質問をする側が決定的な証拠を握っていれば効果があるかも知れない。
しかし、質問する側が決定的証拠を握っていなければ当然のことながら成果は上がらない。
唯一の効果は「やってる感」。野党の側も一応「やってる感」を演出できる。
与党の側も「登場人物が安倍派幹部はけしからん」などと述べれば「やってる感」を演出できる。だから「政倫審プロレス」と表現している。

 

予算を通す前なら野党は条件闘争を展開できる。
「政治とカネ」の問題での成果は法改正。
犯罪者を検挙することが本当は必要だが、八百長検察が検挙するのだから何も期待できない。
日本では犯罪が存在しても犯罪者を無罪放免にする裁量権を検察が握っている。
検察とグルの勢力は犯罪を実行しても、よほどのことがない限り無罪放免にされる。
国家権力と対決する者は完全に無実でも犯罪者に仕立て上げられる。
密室の取調室では簡単に冤罪を作り出すことが可能であるからだ。
犯罪者を厳正に摘発することができないなら、せめて実効性のある法改正を実現しなければならない。


現在の政治資金規正法はザル法。ザルの目を埋めなければならない。
1.同法21条の2の2項を削除する。
政党や政党支部から議員個人への寄附を禁止する。
現在はこの抜け穴を用いて年に10億円もの寄附が行われ、その使途が一切公表されない。
この抜け穴を使っているのは与党だけでない。
野党も抜け穴を使って政治資金を飲み食いなどに充てている。
2.議員の資金管理団体、政治団体を総括する収支報告書の提出を義務付ける。
不正な資金授受があっても帰属を特定できないと摘発できないとの主張がある。
これを防ぐために総括収支報告書の提出を義務付ける。

3.連座制を導入する。
犯罪が行われても会計責任者だけが処罰されて最高責任者の政治家が罪を問われない。
こんなバカなことが許されてよいわけがない。連座制導入は当然のことだ。
この法改正確約を予算案採決の条件に明示する。


予算審議が止まれば批判が向かうのは与党である。
野党に本気で戦う意思があるなら、いくらでも戦えたはずだ。
ところが、野党は予算が年度内に成立する日程設定をすべて容認した。
国会で長い演説をしても何の意味もない。
もっとも、政令指定都市の首長選挙で自民党と相乗りする野党に与党と戦う意思があると見込むこと自体が間違いかも知れない。
「政倫審プロレス」が終わると参議院でも予算案が採決されて予算が成立する。
結局、国会は何の機能も果たしていない。


憲法は国会が国権の最高機関だとしているが機能が完全にマヒしている。
国会は何をするところか。予算と法律を決めるところ。
予算の中身の議論をしなければ予算委員会を開く意味がない。
法律案を審議しても核心の論争をしなければ何の意味もない。

政府は子供と接する仕事に就く人の性犯罪歴の有無を確認する「日本版DBS」を創設する法案を3月19日に閣議決定する。
法案の最大問題点は照会期間を拘禁刑で刑終了から20年、罰金刑以下で10年とすること。
刑法の「刑の消滅」の期間の2倍。この点に関する論議がまったく行われていない。
法体系の整合性が失われるが、問題点を指摘する専門家が著しく限られている。
この点に関する野党の問題提起がないことも重大な問題だ。

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世耕「刑事的には私は真っ白。だが職を辞した」唖然とする図々しさ
                     まるこ姫の独り言 2024.03.15
世耕は元からいけ好かない議員の一人だったが、この政倫審での発言の数々、この人物には付ける薬がないことが良くわかった。

随分と傲慢な考えの持ち主で・・・・

【速報】世耕氏「刑事的には私は真っ白。だが職を辞した」責任取ったとして議員活動に意欲
         3/14(木) 11:22配信 FNNプライムオンライン(フジテレビ系)
>自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件に関する参議院の政治倫理審査会が14日開かれ、安倍派幹部の世耕前参院幹事長は、自身の責任の取り方について「私は命をかけて参院幹事長を、参院自民党を盛り立てようという思いで4年3カ月務めさせていただき、その職を辞する決断をした。刑事的には私は、不起訴、嫌疑なしだから真っ白なわけだが、いろんな人にご迷惑をかけた政治的道義的責任を取らなければいけないという、思いで職を辞した」と説明した。

刑事的には白だといっても、そもそも「政治資金規正法」が一般人の何倍も優遇された法律だからじゃないか。
一般的な感覚とは程遠い「政治資金規正法」の抜け道で守られてきたからこそ、不起訴になっただけの話で、一般人の法律で裁かれたらとっくの昔にお縄になっていた。

やたら勘違いして、いかにも自分は何も後ろ暗いことはやっていないと思っているのだろうが、私たち国民からしたら、法の網をかいくぐって不正を働いて来た人で、立ち回りが巧いだけのずるがしこい人間との認識だ。

しかも「いろんな人にご迷惑をかけた政治的道義的責任を取らなければいけないという、思いで職を辞した」と言うのも頷けない。

この人は尊大で態度がデカいのがバレバレなのに、聖人のようなことを言うからバカバカしすぎる。

世耕は、職を辞したというが「参院幹事長」の役職を辞しただけの話で、本当にいろんな人に迷惑をかけたという気持ちで道義的責任を取るなら「議員辞職」をしたらどうか。

それだったら少しは世耕を見直すが・・・・
逆立ちしても世耕が言うわけないが。

たかが役職辞任を死ぬほど辛いみたいに話す世耕の小芝居。
世耕が自分を潔白だと言えば言うほど不信感が募る。

そして「昭和のスケベショー」の自分の秘書が参加していたことを認めて「ああいう写真を撮られるような行為をしたということは、極めて不適切だったと思う」と言ったそうだが、この発言も裏を返せば、バレなければ何をやってもよいという心の声が聞こえてくる。

そもそも、自民党議員の場合、裏金もカルト教団との選挙協力も、破廉恥ショーも、日常的に行われていたことで、安倍を銃撃した山上や、裏金をスクープした赤旗、そしてそれを告発した上脇教授のような方がいた事で表に出てきただけの話で、これも氷山の一角かもしれないとの思いはある。

自民党の場合、バレなければ何でもありの政党で、世耕の言う「刑事的には真っ白」もものすごい違和感がある。
裏金を散々作って蓄財しておきながら「刑事的には真っ白」と良く言えるよなあ・・・
ここにも「蛙の顔に小便」男がいた。

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バイデン政権は状況を逆転するギャンブルをするか(その1,2)

 櫻井ジャーナルに掲題の記事が2日に渡って連載されました。
 バイデンは一般教書でイスラエルのガザにおける虐殺を擁護し、昨年10月7日のハマスの奇襲=「テロ行為」にすべての根源があると述べました。
 ガザの犠牲者数は現在3万人超と発表されていますが、それはハマスの保健省が抑制的に発表しているのであって実際の犠牲者数はそれを遥かに超えているといわれます。
   ⇒ No. 2088 世界はガザの本当の死者数を計算しなければならない
 いずれにしてもこの期に及んで10月7日の犠牲を口実にするのは余りにバランスを失し過ぎていて、本気でそんなことを口にすることに呆れざるを得ません。
 かつてのナチスドイツの「世紀の蛮行」に匹敵する大悲劇をイスラエル自身が行っているのを米国は容認するだけでなく、積極的に資金を援助し、武器・爆弾を供給しているのですから、「共同正犯」以外のものではありません。
 記事は米国とイスラエルの腐れ縁や、米国がベトナム侵略戦争の口実に「トンキン湾事件」をデッチ上げるなどの代表的な例を紹介した上で、10月7日の攻撃の前にバイデン政権とネタニヤフ政権が事前に打ち合わせをしていたことが否定できないとし、新たな偽旗作戦が用意されている可能性があるとも述べています。
 米国は落ちるところまで堕ちたというよりも、いまやその本性が増々明白になったと見るべきでしょう。
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追い詰められたバイデン政権は状況を逆転するギャンブルをするか(その1)
                         櫻井ジャーナル 2024.03.15
 ジョー・バイデンを含むネオコン、つまりアメリカの好戦的なシオニストはウクライナでロシアに敗北、イスラエル軍によるガザでのパレスチナ人虐殺の共謀者として批判されている。この状況を逆転させるためには衝撃的な、ネオコンの表現を借りるならば「新たな真珠湾攻撃のような壊滅的な」出来事が必要だと考える人もいる。「偽旗作戦」だ。
 ベトナムに対する本格的な軍事介入を実現するためにでっち上げられた1964年8月の「トンキン湾事件」も有名である。アメリカの駆逐艦が北ベトナムの魚雷艇に砲撃されたとリンドン・ジョンソン大統領は宣伝して好戦的な雰囲気を高め、1965年2月には「報復」と称して本格的な北爆を始めている。
 ベトナムはフランスの植民地だったが、1954年5月にディエンビエンフーでフランス軍はベトミン軍に降伏しているが、その直前の1月にアメリカの国務長官だったジョン・フォスター・ダレスはNSC(国家安全保障会議)でベトナムにおけるゲリラ戦の準備を提案、国務長官の弟であるアレン・ダレスが率いるCIAはSMM(サイゴン軍事派遣団)を編成した。
 ところが、ケネディ大統領はアメリカの軍隊をインドシナから撤退させると決断、1963年10月にNSAM(国家安全保障行動覚書)263を出した。1963年末にアメリカの軍事要員1000名を撤退させ、65年12月までに1万1300名を完全撤退させるとされていた。アメリカ軍の準機関紙と言われるパシフィック・スターズ・アンド・ストライプス紙は「米軍、65年末までにベトナムから撤退か」という記事を掲載している。
 言うまでもなく、このNSAM263は実行されていない。ジョンソンは1963年11月26日、つまり前任者(⇒ケネディ)が殺されて4日後にNSAM273を、また翌年3月26日にはNSAM288を出して取り消してしまったのだ。(L. Fletcher Prouty, "JFK," Carol Publishing Group, 1996)
 ベトナム駐在のヘンリー・ロッジ大使と「大統領」は11月20日にホノルルで話し合い、「南ベトナムに関する討議」の内容を再検討してNSAM273を作成したとされている。この「大統領」がケネディだということはありえない。

 トンキン湾事件の前にもアメリカ軍は偽旗作戦を計画している。ソ連に対する先制攻撃を国民に容認させる雰囲気を作るために秘密工作を実行しようとしたのだ。
 その計画の中には、キューバのグアンタナモ湾に浮かぶアメリカの艦船を爆破、その責任をキューバに押しつけて非難するほか、マイアミを含むフロリダの都市やワシントンで「爆弾テロ工作」を展開してキューバのエージェントを逮捕、事前に用意していた書類を公表、さらに民間旅客機の撃墜も演出しようとしていた。「ノースウッズ作戦」だ。その先にはソ連に対する先制核攻撃計画が存在している。
 この撃墜作戦で拠点になるのはフロリダ州にあるエグリン空軍基地。CIAが管理している民間機のコピー機をこの基地で作り、本物の航空機は自動操縦できるようにする。その上でコピー機にはCIAの管理下にある人びとをのせて離陸、途中で本物と入れ替え、コピー機はエグリン基地へ降りる。無人機はフライト・プランに従って飛行、キューバ上空で救助信号を出し、キューバのミグ戦闘機に攻撃されていると報告、その途中で自爆するというシナリオになっていた。そのほか、数機のF101戦闘機をキューバに向かって発進させ、そのうち1機が撃墜されたように見せかける計画もあった。(Memorandum for the Secretary of Defense, 13 March 1962)
 この計画をライマン・レムニッツァー統合参謀本部議長は1962年3月に国防長官のオフィスで説明するが、ロバート・マクナマラ長官は拒否(Thierry Meyssan, “9/11 The big lie”, Carnot Publishing, 2002)、その数カ月後にレムニッツァーは大統領を説得するため、キューバにアメリカ軍が軍事侵攻してもソ連は動けないと説明するが、これは無視された。
 そして1962年10月にケネディ大統領はレムニッツァー議長の再任を拒否する。その時、レムニッツァーへ欧州連合軍最高司令官にならないかと声をかけてきたのがシチリア島上陸作戦以降、彼を出世街道へ乗せたハロルド・アレグザンダーだ。イギリスの貴族階級に属する軍人で、イギリス女王エリザベス2世の側近として知られている。
 ケネディ大統領だけでなく議会の中にもこうした好戦的な軍人を懸念する人物がいて、上院外交委員会では軍内部の極右グループを調べはじめる。その中心になっていたのがアルバート・ゴア上院議員(アル・ゴアの父親)だ。調査の結果、そのグループにはレムニッツァーのほかエドワード・ウォーカー少将、ウィリアム・クレイグ准将が含まれていることが判明する。
 ケネディ大統領はイスラエルの核兵器開発には厳しい姿勢で臨んでいたことが知られている。イスラエルのダビッド・ベングリオン首相と後任のレビ・エシュコル首相に対し、半年ごとの査察を要求する手紙をケネディ大統領は送付、核兵器開発疑惑が解消されない場合、アメリカ政府のイスラエル支援は危機的な状況になると警告している。(John J. Mearsheimer & Stephen M. Walt, “The Israel Lobby”, Farrar, Straus And Giroux, 2007)
 言うまでもなく、イスラエルはその後も核兵器の開発を進め、1986年10月5日付けのサンデー・タイムズ紙に掲載された内部告発者のモルデカイ・バヌヌの話よると、イスラエルが保有する核弾頭の数は生産のペースから推計して150から200発。水爆の製造に必要なリチウム6やトリチウム(三重水素)の製造を担当していたバヌヌは水爆の写真を撮影している。また中性子爆弾の製造も始めていたとしている。(The Sunday Times, 5 October 1986)
 ケネディ大統領が1963年11月22日に暗殺された後、副大統領から昇格したジョンソンのスポンサーはアブラハム・ファインバーグ。アメリカン・バンク&トラストの頭取を務める親イスラエルの富豪だ。ジョンソンの中東政策はこの人物のアドバイスに従っていたという。この大統領交代でアメリカ政府のイスラエルに対する姿勢は大きく変わった。

 現在のアメリカ大統領、ジョー・バイデンは自らがシオニストだと言うことを公言、世界ユダヤ人会議から政治的シオニズムの創始者にちなんだ賞を授与されている。昨年10月にはイスラエルでベンヤミン・ネタニヤフ首相らと会談した際、バイデンは「シオニストであるためにユダヤ人でなければならないとは思わないし、私はシオニストだ」と発言していた。また2007年には「シャロームTV」のインタビューでも自分はシオニストだと主張、息子のボー・バイデンがユダヤ系のハリー・バーガーと結婚したとも語っている。このジョー・バイデンがイスラエル、そしてベンヤミン・ネタニヤフ政権に厳しい姿勢で臨むことは考えにくい。(つづく)


追い詰められたバイデン政権は状況を逆転するギャンブルをするか(その2)
                         櫻井ジャーナル 2024.03.16
 アメリカが中東で侵略戦争を本格化させる切っ掛けは2001年9月11日に引き起こされたニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)に対する攻撃だが、その直前、ジョージ・W・ブッシュを担いでいた勢力は厳しい状況に陥っていた。その状況を9/11が逆転させたのである。
 この攻撃では世界貿易センターの南北ツインタワーだけでなく、攻撃を受けていない7号館(ソロモン・ブラザース・ビル)も爆破解体のように崩壊している。
 このビルで最大のテナントは金融機関のソロモン・スミス・バーニー(1988年にソロモン・ブラザースとスミス・バーニーが合併してこの名称になった)で、47階のうち37階を占めていた。それ以外には国防総省、ニューヨーク市のOEM(緊急事態管理事務所)、シークレット・サービス、CIA、SEC(証券取引委員会)、IRS(内国歳入庁)、FEMA(連邦緊急事態管理局)が入っていた。
 タワーに航空機が激突した直後、7号館の23階に入っていたOEMに人がいないことをニューヨーク市住宅局に勤めるバリー・ジェニングスと弁護士のマイケル・ヘスは確認しているが、その際、ビルの中で正体不明の人物からすぐ立ち去るよう言われたと話している。当日、OEMにいたルドルフ・ジュリアーニ市長によると、南北両タワーが崩壊するという警告が午前8時46分から9時59分の間にあったとABCニュースのインタビューの中で答えている。調査委員会によるとOEMの職員が避難したのは9時30分、NISTによると9時44分頃。ジェニングとヘスの証言が正しいなら、サウス・タワーに旅客機が突入する前にいなくなっていたことになる。
 ジェニングスとヘスのふたりは階段で降り始め、8階にたどり着いたときに大きな爆発があったという。そのとき南北タワーは崩壊していない。その後、ヘスは爆発があったとする当初の証言を取り消し、ジェニングスは2008年9月に直線道路で自損事故を起こして死亡した。
 10時45分にCNNは世界貿易センターで「50階建てビル」が崩壊すると伝え、16時54分になるとBBCのジェーン・スタンドレーは肩越しに7号館が見える状態でそのビルが崩壊したとレポートしている。これは有名な映像で、見たことのある人は少なくないだろう。実際の崩壊は17時20分だ。

 当時、ブッシュ陣営の「財布」的な存在だったエンロンの破綻は不可避の状態で、シティ・グループとワールドコム倒産も表面化していた。そうした問題に関連した文書が7号館で保管されていたのだが、ビルの崩壊で無くなってしまった。金塊も消えたと言われている。
 2001年9月10日にドナルド・ラムズフェルド国防長官は2兆3000億ドルの行方がわからなくなっていると発表しているが、その関連文書はペンタゴンに保管されていた。ラムズフェルドがその発表をした翌日、世界貿易センターとペンタゴンは攻撃されてビルが崩壊、重要資料はなくなっている。
 この頃アメリカでは少なからぬ「イスラエル人美術学生」が逮捕されている。イギリスのテレグラフ紙によると「9/11」の前に140名のイスラエル人が逮捕され(Telegraph, March 7, 2002)、ワシントン・ポスト紙によると事件後にも60名以上が逮捕されている。(Washington Post, November 23, 2001 )合計すると逮捕者は200名に達する。
 捜査が始まる切っ掛けは、2001年1月にDEA(麻薬捜査局)へ送られてきた報告で、イスラエルの「美術学生」がDEAのオフィスへの潜入を試みているとする内容だった。遅くとも2000年にはそうした動きが始まっているとされている。別の報告では、多くのDEA職員の自宅をイスラエル人学生が訪問している事実も指摘されていた。どこかでDEAに関する機密情報がイスラエル側に漏れている疑いが出てきたわけだが、この「美術学生」の正体は不明だ。
 拘束されたイスラエル人の中にはモサドのメンバーも含まれ、ポラード事件以来の重要なスパイ摘発だと言われたが、こうした出来事も9/11によって吹き飛ばされた。

 アメリカのFOXニュースが2001年12月に放送した番組によると、1997年にロサンゼルスで麻薬取引やクレジット・カード詐欺などの捜査が行われた際、捜査官のポケットベル、携帯電話、あるいは自宅の電話が監視されていることが発覚、イスラエル系の電子通信会社アムドクスが疑われた。9/11の後に逮捕されたイスラエル人の1割はアムドクスの社員だったという。
 会社側は情報の漏洩を否定しているものの、1997年にベル・アトランティックがホワイト・ハウスに新しい電話回線を設置した際、アムドクスも協力している。そこで、米政府高官の電話がイスラエルに監視されている可能性がある。
 現在、ガザで繰り広げられている虐殺の序章は昨年4月に始まっている。イスラエルの警察官が4月1日にモスクの入口でパレスチナ人男性を射殺、4月5日には警官隊がそのモスクに突入したのだ。
 ユダヤ教の祭りであるヨム・キプール(贖罪の日/昨年は9月24日から25日)の前夜にはイスラエル軍に守られた約400人のユダヤ人が同じモスクを襲撃し、ユダヤ教の「仮庵の祭り」(昨年は9月29日から10月6日)に合わせ、10月3日にはイスラエル軍に保護されながら832人のイスラエル人が同じモスクへ侵入している。
 そして10月7日にハマスを中心とする武装勢力がイスラエルへ攻め込んだのだが、このハマスはイスラエルがPLOのヤセル・アラファト対策で創設した組織だ。
 ムスリム同胞団のメンバーだったシーク・アーメド・ヤシンは1973年にイスラエルの治安機関であるシン・ベトの監視下、ムジャマ・アル・イスラミヤ(イスラム・センター)を、そして76年にはイスラム協会を設立し、1987年にイスラム協会の軍事部門としてハマスは作られた。
 2004年にヤシンとアラファトは暗殺されているが、シーモア・ハーシュによると、09年に首相へ返り咲いたネタニヤフはPLOでなくハマスにパレスチナを支配させようとした。そのため、ネヤニヤフはカタールと協定を結び、カタールはハマスの指導部へ数億ドルを送り始めたという。
 その後、ハマスの内部に反イスラエル色の濃いグループも誕生し、昨年10月7日の攻撃の数カ月前、ハマスはヒズボラやイスラム聖戦と会議を開いていたと言われている。こうした組織は戦闘情報を交換していたようだ。

 こうした状況の変化はあるが、ハマスの攻撃をアメリカやイスラエルは事前に知っていたことをうかがわせる動きが見られた。
 例えば武装グループが突入した数時間後に2隻の空母、ジェラルド・R・フォードとドワイト・D・アイゼンハワーを含む空母打撃群を地中海東部へ移動しているのだが、事前に情報を持っていなければ、こうした迅速な動きはできなかっただろう。
 また、ガザはイスラエルが建設した事実上の強制収容所。巨大な壁に取り囲まれ、電子的な監視システムが張り巡らされている。人が近づけば警報がなり、地上部隊だけでなく戦闘ヘリも駆けつけることになっている。

 バイデンのシオニスト発言やこうした状況を考えると、10月7日の攻撃の前にバイデン政権とネタニヤフ政権が事前に打ち合わせをしていた可能性も否定できない。彼らには西側の有力メディアという強力なプロパガンダ機関が存在していることもあり、新たな偽旗作戦が用意されているのではないかと推測する人もいるのだ。(了) 

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