軍事ジャーナル(12月29日号)

米国の映画産業の興行収入が大幅に減少しているらしい。今までブラピとアンジーの人気だけに頼って、漸く興行収入を維持していた様なものだから無理もないとも言えるが、同時にこれは米国の衰退を象徴している点で興味深い。
 米国映画が巨大産業になったのは実に第1次世界大戦(1914-1918)の時だ。米国政府は戦意高揚映画を次々に作らせ、おかげで米映画産業は巨大国策産業へと発展した。戦後は戦争で疲弊した欧州映画界を尻目に巨大資本力に物を言わせて世界を席巻し、米国の国威発揚と米国文化の輸出にこれほど貢献し続けてきた産業は他にない。
 米国文化などと言っても、アメリカの文学、音楽、美術、演劇などの世界への影響力は限定されており、米国映画の影響力に遠く及ばない。米国映画イコール米国文化と言ってもいいぐらいである。
 そのいわば米国文化帝国主義の中心であった映画産業にいよいよ衰退の危機が訪れた。時あたかも米軍が財政危機のために海外駐留を維持できなくなり、撤収を開始した年に当たる。米軍が海外展開を始めたのも実は第1次世界大戦であり、米国の映画の歩みと軍事の歩みは完全に一致するのである。
 おそらく今後は米軍が巨大軍事産業からサイバー軍事に縮小していくように米国映画もインターネット社会での生き残りに賭けるのであろう。

 さて日本の映画はといえば、やはり寒々とした見通ししかない。小品にはいいものもあるようだが・・・。
  最近、無料映画サイトGyaO(ギャオ)でちょっと面白い映画を見つけた。「ワルボロ」:1980年頃の立川市を舞台にした青春ツッパリ・ムービーだが、この中で朝鮮学校の学生の様子が描かれている。

 私は1970年代に高校生だったが、私の高校にもツッパリと呼ばれる不良グループがいてよく朝鮮学校の生徒たちと悶着を起こしていた。どうしてそうなるのか?当時の私にはよく分からなかったが、この映画を見て初めて分かった。
 朝鮮学校の無償化が問題となっているが、実態を知る手掛かりを与えてくれる。ちなみに新垣結衣の映画デビュー作でもある。音声は若干聞き取りづらいのでイヤホーンを使うとよい。
http://gyao.yahoo.co.jp/