勘右衛門過去あり。
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「はっちゃん…もっとぎゅってして…。」
「はいはい。」
皆が寝静まった夜。
一人部屋の俺は逃げ出した毒虫たちの回収をしおえ、少し温くなった風呂に入ろうと準備していたときだった。
スッという音をたてて勘右衛門は俺の部屋に入ってきた。
そして、いつもとは違う声色と、舌ったらずの言葉でいつものようにこの言葉を吐くのだ。
はっちゃん…俺に愛をちょうだい…。
そりゃあ、最初来たときは驚いた。
ただ、別に拒否する理由がなかったのでとりあえず、部屋に入ってきた勘右衛門を抱き締めた。
すると、勘右衛門は安心したように眠りについた。
そして、次の日、俺はあれはなんだったのか理由を聞いた。
勘右衛門のとこは、勘右衛門の他に二人の弟がいた。
勘右衛門の両親は、優秀で礼儀正しい次男と、可愛らしく愛嬌のある末っ子を可愛がったそうだ。
一方、勘右衛門はそのころ、頭をそこまで良くなく、愛嬌もなかった。
弟二人を構う両親を勘右衛門は一人、部屋の隅で見ていたそうだ。
寂しくて、悲しくて、弟二人が憎らしくて…そう思っている自分も嫌で…。
そうしているうちに勘右衛門は自分を守るために心に殻を作り、本当の自分を守った。
そして、そのまま忍術学園へ入学したらしい、家族と離れるため…。
その話をしていたとき勘右衛門は笑っていたが、悲しそうな目をしていた。
望みどうり力強く抱き締めてやると、勘右衛門は落ち着くように笑った。
「…勘右衛門…。」
「なぁにはっちゃん…」
「…俺の前では本当のお前…“尾浜勘右衛門”を見せてくれよな…。もう隠さなくていいんだよ。」
「………うん。」
胡座をかいている俺の体の上をまたがっている勘右衛門はさらに、強く俺を抱き締めた。
最初は、驚いたし、少し躊躇していたが、今では俺が、
「癖になりそう。」
勘右衛門に聞こえないように俺は呟いた。
