『ウサギと幽霊』演出日記・25 | カラサワの演劇ブログ

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3月22日(水)

 

話の根幹に関わる部分で、ある女優が最初つけた演技とは別の思いで演じたい、という意見を昨日、メールしてきた。それもアリだな、とは思ったが、そうなるといくつかの部分で齟齬が生じる。それを解決するアイデアひとつ、思いついて午前中いっぱいかけて書いて、その女優にメール。

 

返事が来て、やはりいまいちピンと来ない様子。では、他の部分を削るなりなんなりして対応しようか、ということにとりあえずしておく。午前中の作業が無駄になった形だが、必ずしも無駄ではない。あらゆる可能性を考えてパターンを作るのは必要なことだ。

 

今日のチームに出るいのいみーこ用の衣装を試着用に持っていったが、これが大当たりで、シュールで可愛い。見るだけで爆笑。ただしどんな衣装かは本番までお預け。

 

本日の稽古場にはと学会のひえだオンまゆら女史がお見えになる。この日記にもたびたび登場する単語である新興宗教について、彼女にレクチャーをお願いしたのである。もともとひえださんは演劇少女で、中・高・大とずっと演劇部に所属していたのだそうである。先日のと学会例会で、ぜひ稽古場に行ってみたい、との話があって、宗教チームの稽古がある本日、お出ましを願ったもの。

 

かなりユニークなキャラなので役者連中が驚かないかと思っていたが、最初こそざわざわしていたものの(笑)、その説明する宗教団体の特長や種類などの詳しさにはみんな感服し、引き込まれたようで、演技指導の秋葉ちゃんやemyu:など、熱心に聞き入っていた。

 

そっちはスムーズに行った一方で、稽古は荒れ模様。一カ所でもギャグを多く入れたい(入れないと不安)な役者チームと、笑いにくいものは削っていきたい演出チームの間に乖離が生まれている。

 

また、冒頭に書いた改稿問題も、その女優さんが悩んだあまり役者の一人に原稿を送って相談したらしく、そのことをその役者さんが口にしてしまったために、ちょっと演出チームに緊張が走った。まあ、その場ではみんなオトナで収まって、午前中に私が改稿した案も秋葉ちゃんの賛成を得たので、それを後押しとして

「これで行きましょう」

と決定。

 

うちのユニットは自由に役者さんに意見を出してもらい、いいものを取り入れていく方式を特長としている。セリフのひと言ひと言に役者さんの意思を盛り込んでいきたいのが私の意向だ。ただ、やはり演出チームがボトルネックにならないと混乱を来し、船頭多くして……の状態になる。そこだけはきちんとしないといけない。

 

ひえださんと一緒に居酒屋で飲み。最初は和気あいあいで進んでいったが、やはり酒が回ってくるといろいろオカシクなっていき、役者のひとりがかなり強い調子での座組批判をはじめた。前にもそれは聞いていて、きちんと答えている問題。それを蒸し返すのは、本心というより、いろいろな細かいところでの不安や不満を、その問題に代表させて言っているのだろう。それは理解できるが、ゲストのいる前でわざわざ言うか、とちょっとカツンときて、私も反論、というかカラんでしまった。

 

まあ、そのテンションはすぐ収まって、ひえださんに

「ごめんなさい、恥ずかしいところお見せして」

と謝ったら、

「いえ、素晴らしいです。昔の演劇部を思い出しました。やはり今でも演劇の方たちは、毎回こういう熱い議論をしていらっしゃるのですね! 感動しました! いいものを見せていただきました!」

と、むしろ喜んでくれた(笑)。いや、気をつかってくれたのかもしれないが。とはいえ、これのおかげで、アツくなっていた役者も私も気を抜かれた形でおさまってしまった。素晴らしい!

 

帰宅、ちょっと横になったら3時過ぎまでグー。目がちょうど覚めたあたりで、秋葉ちゃんから慰めメールが来ていた(笑)。いやいや、大丈夫です。