名探偵のままでいて | 明日こそスキップ

明日こそスキップ

独断と偏見の読書感想とひとりごとを書いてます

 

 

かつて小学校の校長だった切れ者の祖父は

七十一歳となった現在、幻視や記憶障害といった症状の現れる

レビー小体型認知症を患い、介護を受けながら暮らしていた
しかし、小学校教師である孫娘の楓が

身の回りで生じた謎について話して聞かせると

祖父の知性は生き生きと働きを取り戻すのだった!
そんな中、やがて楓の人生に関わる重大な事件が……

     (あらすじより…)

 

このミス大賞受賞作です…

作者は長年放送作家として活躍している方で

帯の「心温まる安楽椅子探偵」という一文に惹かれ

予約していました…

 

連作というのも好みだし

恍惚の人らしい言動と知性的な言動が交互に現れる

おじいちゃんのキャラも哀しいけど素敵…

(改題したという題名もホロリときますよね)

特に知性的なおじいちゃんの決め台詞…

「楓、煙草を一本くれないか」から始まる推理が

古き良き時代のミステリを彷彿させる語り口調で

楽しく読みました!

楓をめぐる二人の対極的な男性のキャラもいいし

物語のツボを心得ている作家さんだと思われます…

 

細かいことを言えばミステリとしてはちょっと

強引というか雑なところもあって

そこは選考委員の評価が分かれている原因のようですが

次回作以降が楽しみな作家さんだということは

間違いないと思うので期待してます…

 

余談ですがこのお話は鮎川哲也賞の

最終選考に残った作品を書き直したものだそうなのですが

講評でその点が「このミス」っぽくないとも言われてて

一口にミステリ系の文学賞と言っても

いろいろあるんだなと思いました!

読む方は(私だけかもですが)気にしないけどな…

 

さて、次読んでる作品も

タイトルに「名探偵」がつきます(汗)

その次はミステリではない予定なのですが、さて…