富貴竹の枯れた家。
♪不思議だわ私たち遥かなときを越えて
微笑み忘れずこの地球まで長い旅をしてきた
抱き合いましょうよ
祈りましょう二人で薔薇色の夢よ続けと
出来れば幸せ明日も咲くように
出来ればこの愛を未来へあづけたい
夢を育てるのよ とこしえまで
昔、「ママは小学四年生」と言うアニメがあって。
学校から帰ってテレビをつけたらちょうどやってた~ってことが何度かあったり、友人の一人が好きで見てて、面白いよ~って言ってたことがあってりで、エンディング曲を何となく、おぼろげに覚えているわけですが。
岩崎宏美の歌うこの曲、妙に耳に残ってて、時々気が付いたら歌ってたりします。OPも何故か覚えてる。内容は小学四年生の主人公のもとに未来から赤ちゃんがやってきた~って内容だった以外、記憶にないんだけど。
今日も気が付いたら、これを歌っておりました。
歌詞をちゃんと見たことないので、正しいんだかどうか分からないんだけどね。
そんなこんなで火曜日。
留可のいない夜は静か過ぎました。
ここ数日は動く元気もないし、鳴きもしないし、お気に入りの巣に隠れたままだし、たまに音を立てるといったらトイレだったり、吐いてたり程度だから、いても存在感がないなって思ってたんだけど、本当にいないのとでは全然違うね。
病院にいるって意識が強いせいもあるかもしれないけど、どうしようもなく寂しくてたまらなくて、寝る寸前まで、あと何時間……って数えてた。
朝起きたら、今度は時間の経過が早くて、早くしないと!って焦ってしまう。
どうにかいつもと同じくらいの時間に病院についたんだけど。
病院への道中、40分間、ずっと考えてた。
もし、今日の留可が昨夜より調子が良ければ。
もし、留可が少しでも楽そうなら。
それは、1日酸素室にいたことと点滴が効いた証拠だから、もう少しだけ治療を続けてみよう。毎日通院するのは、留可にとって辛いかもしれないけど、もし、少しでも元気が出てたら、それが「留可は元気になる」って証拠だと信じて、もう少しだけ留可に頑張ってもらおう。
だけど、実際に診察台で見た留可は昨日と大差なかった。
酸素室から出たせいか、呼吸が既に苦しそうだった。
先生も、「それじゃあ、連れて帰ってあとは自宅で様子を見ますか?」と言っただけだったから。
私は「はい」とだけ言った。
もし先生が、「昨日より楽そうでしょう?」とか「少し元気が出たみたいですよ」と言ったら、と期待してたけれど。
やっぱり現実は現実でしかないわけだ。
補液と注射をして貰って、キャリーに入れたら、自分で体勢を整える元気がない。
ふぅふぅ大きな呼吸を繰り返すだけ。
1日入院と昨日、今日の治療費を支払って、車に乗って。
帰ろうねって声をかけたら、小さな声で鳴いた。
3月13日から、今日まで。
留可は頑張って注射に耐えた。車にも耐えた。最後の1日入院にも耐えた。
先生は先生なりに努力してくれたし、私もママーンも努力した。
もうしてあげられることは何もない。
注射と補液に通えば、例えば、これから1年頑張って生きられるのだとして、何もせず自宅で過ごせば1ヶ月で死んでしまうとしても。
毎日、病院に行く時間になれば逃げ出して隠れて出てこない、近付くと警戒して逃げる。それを引きずり出して捕まえて押さえてキャリーに入れて、逃れようとするのを押さえつけて注射をして、恐い、痛い、嫌な思いをさせるのなら、苦しくても、自宅で過ごさせたい。
きっとこれも飼い主のエゴなんだろう。
少しでも楽に過ごさせるために、無理にでも病院に連れていったほうが留可のためなのか、嫌だけど、留可も楽になることを望んでいるのか、苦しくても家の自分の好きな場所で過ごすことを望んでいるのか、どっちなのか分からない。
分からないから、飼い主が決断するしかない。
どっちを選んだって、必ず後悔するんだけどさ……。
るーる、もう病院は行かなくていいよ。注射もやめようね。しんどいけど、家でにぃにとねぇねと玲緒と、一緒に寝ようね。
って声をかながら。
家に着いたとき、留可の顔が一瞬、嬉しそうになったので。
ずっとしんどそうな目でぼんやりしてたのが、一瞬だけ生気のあるしっかりした顔つきになったので。
それを返事だと信じて。
でも仕事してる間中、留守番してる留可が気にかかる。
もしかして、家に帰ったら留可が少しでも元気になってるんじゃないかとか。今日こそ何か口にしてくれるんじゃないかとか。しっかりした顔つきで、玄関に迎えに来てくれるんじゃないかとか。
奇跡なんて起きない、希望も期待も捨てたとか言いながら、それでも何かしら期待せずにはいられないんだね。
水を飲む力もないし、今の留可に出来ることは、お気に入りの巣とトイレの往復と、時々思い出したように別の部屋に移動してそこで蹲るだけなんだけど。
今日はまだ、大丈夫なの。
昨日1日の点滴と、今日の注射が効いてるから。
留可が辛いのは、明日から。
明日は今日より元気がなくなる。明後日は明日より元気がなくなる。
1日1日弱っていく姿を見るわけだ。
自分で選んだけど。
考えたら既に凹んで、見守る自信がない……。
話は変わって。
トイレに飾ってあった富貴竹、3つあった真ん中の小さい花瓶から枯れ始め、右の花瓶が枯れ始め、左の花瓶が枯れ始め、とうとう3つとも黄色くなってしまった。
水に挿してるだけで何の手入れも世話もしなかったから、枯れて当然なんだけど。
万年竹が枯れる家ってどうですか。
運にも富にも見放されたって感じがするよ。
その枯れたのが、なんだか無性に腹が立って、ママーンに片付けなさいといわれても2ヶ月ほど放置しておいたら、今朝みたら、左側のやつに小さい芽が出てた。
真ん中のは一番大きくて青々としてた葉が黄色を通り越して茶色になってきたのでもう絶対無理って感じだけど、右側のは奥に小さい緑の葉っぱが顔を見せてる。
おー、頑張ってんじゃーん。
留可のことですっかり忘れてたけど、今年で2年目になるはずだった金魚が1匹死んでしまって、寂しかったのさ。(残り1匹になってしまったよ)
植物でも、芽が出てくれるってのは嬉しいねぇ。
負けないでもう少し最後まで走り抜けて。
金魚でも、猫でも植物でも人間でも、生きて生きて生きて欲しいんだよ。
戦って戦って戦って、打ち勝って欲しいんだよ。
頑張ってくれ。
辛いだろうけど頑張ってくれ。
本当に負けないで欲しい。最後まで走り抜けて欲しい。
そう願って、祈ってやまないときに、ZARDの坂井さんの訃報はどうしようもなく辛いなぁ。
別にファンではなかったけれど、「負けないで」はすごく好きな曲だったんだよ。
因みに、上司宅の猫2匹は留可の実の兄弟です。
そのせいもあってか、上司殿は時々、留可の様子を尋ねて下さる。
1週間にかかる治療費に驚いたり、状態が良いと報告できたときは、喜んでくれたりとかね。
先日、久し振りに兄弟の内の1匹を見せて下さったよ。最近は時間がなくて、2階の仕事場に猫を入れられなかったから、本当に久し振りだったんだけど。
留可と模様が反転した子、物凄く元気そうに丸々と太ってた。
すくすく育ってます!健康優良児です!って感じで。
留可は春に去勢を予定してたのが、病気になって出来なかったから、もともと結構、細身な感じ。
病気になってから痩せて、絶食6日目にして体重はさらに減少。
無性に上司宅の猫がうらやましい。
この子の命を奪ってでも、留可に生きて欲しいって願ってしまうよ。