6月 5日 月曜日 

 

朝 池袋で無線が鳴る

情報開示ボタンを押すと ほーー これは この前の・・・

確か 新宿の日本語学校へ通う 香港人のチンさんだ

20歳そこそこ 親が結構な会社の社長なのだろう

今は勉強のため 5年ほど日本に滞在している

時間になると チンさんがやってきた

どうやら まだ 私には気付かないようだ

ドアを閉めて 声をかける

「チンさんと会うの2回目なんだけど覚えてますか?」

「ん・・・そうですか・・・あーーー おーーー 覚えてますよ

 2回目ですね 偶然ですね お久しぶりです。」

すでに会話には問題ない程度の日本語力は持っている

そして日本の文化もかなり理解している

東京のいろいろな都市も遊びも私より知っているだろう

新宿が学校 新宿 池袋はもちろん

銀座 六本木もよく遊びに行くそうだ

日本語学校へ通い 夜遊び 食事もいいものを食べているようだ

家賃は15万は下らないだろう いい親に恵まれたと言う事だと思う

私の子供にはとても真似させてあげられない

ここまで自由にお金を使わせてあげれば 語学はもちろん 国際感覚も育ち

日本を相手の商売であれば 誰よりも自信を持って臨めるだろう

あくまで見た目年齢だが 大学へ通う頃から5年間は日本にいる

「あと何年ぐらい日本にはいるのかな?」

と聞くと 親父もそろそろ年だし手伝わないといけないから

そろそろ帰らなければなりません という返事

しっかり 次期社長という認識 親への感謝も身についているようだ

「東京は大分覚えたようだけどそれ以外の日本は行ったことあるのかな?」

「京都 大阪 北海道も行きましたよ!」

返す言葉もない 近場の日光東照宮くらい進めようかと思ったが

それ以上のところを回っている

「京都は最高です。奇麗ですね。タイにも一週間ほど行きましたが

 あんまり奇麗じゃありません 日本は最高ですね」

ラーメンが大好きだが 少しメタボ体系 最近は控えているという

「最近は寿司を出前でとるんです でも

 おなか一杯食べるには 5・6千円はかかりますね」

どの程度の出前を取っているのか分からないが

おそらく出前専門のよくあるバイク配達のものだろう

寿司はヘルシーだと思っていたようだが

「すし飯を作るには酢だけ混ぜるだけじゃないんです

 結構な砂糖を混ぜているんです。

 すし飯は決してヘルシーではないですよ」

と教えてあげた 

すき焼きも大好きだと言っていた

考えてみれば中国料理と違って日本食は油が少ない

その分ヘルシーというイメージもあるけど

寿司・すき焼き ともに結構な糖分を使っている

味が濃くなければ 美味しいとは思わない

味の薄いラーメンで美味しいものはない

油ギトギトか 塩・醤油の濃い味 または砂糖系の甘味

美味しいと感じるものはそれを寛大な心で受け入れることだ

美味しいとは 幸せを感じること

幸せとは 寛大な心がなければ感じられないものと言う事もできる

チンさんの親の 与え続ける寛大さを偉大とも感じる

もし私に同じだけの財力があったとしても

そこまで自由にやらせることができるか?

その寛大さには 得体のしれないものも感じている

ただ チンさんは 親への感謝もある

そして 一度目の出会いから タクシーを降りた後

頭を下げてお礼を言い 見送る謙虚な姿勢がある

チンさんの親の寛大さが

いずれ幸福を呼ぶ気配が私を支配した

それもまた チンさんの親の 徳の為せる業 と言う事ができる

徳がなければ お金を与え続けるという行為は

マイナスだと思えているからだ

「またお会いしましょう!」

「はい。私朝は毎日タクシーですから また会いましょう!」

そう言ってタクシーを降り ホテルマンのように頭を下げ見送ってくれた

 

さあ 朝の歌舞伎町だ 客はいくらでもいる

しかし 新宿のお客の単価は低い

そういうイメージが私にできている

それでも客の多い歌舞伎町は私の好きな街

というより 生活の糧としてもらっている 感謝する街なのだ

しかし単価が安いのだ 3人ほど 3桁のお客を乗せて

3人目を新宿駅東口へ送り届ける 

その先のタクシー乗り場におばあちゃんが待っていた

「広尾の日赤病院までお願いできますか?」

「かしこまりました」

2千5百円の女神(恵み)様 新宿を抜け出た安ど感もあるにはあった

広尾 六本木 虎の門 赤坂

ここら辺が 私がというより売り上げのいいタクシー運転手が集まるところ
そくらへんで その日 その時 いかにいい客に巡り合えるか
それが面白いところでもあり 難しいところ
日々勝負 これが私が最近よく口にする言葉なのだニヤリ
 
この日の昼の売り上げはいまいちだった 
夕方雨が降る 結構な激しい雨だ
雨が降ると 途端にお客様の数が増える
というよりタクシー足りない状態となる
この雨の降った2・3時間で 昼間の遅れを取り戻した
しかし 月曜の夜は弱い 夜の売り上げが伸びない
タクシー運転手には ミラクル という言葉がある
あるというより 私はそう呼んでいる
ミラクルがあれば 8万に届く
半ミラクル 万しゅう(一万を超えるお客様)があれば7万に届く可能性がある
この日は半ミラクルに近い 万しゅうがあった
それは六本木から西東京市 高速を使わない万しゅうのことだ
高速を使い30分で稼げる一万と 下道で1時間かけて稼ぐ一万
その30分の差が総営収に響いてくる
この日の半ミラクル万しゅうでは 7万には届かなかった
今の私は 総営収7万が一つのボーダーラインとなっている
今日は何かが足りなかった 日々勝負の勝負に負けた気分だ
その何かとは何か? 徳なのか それとも・・・ 
何かとは目に見えないものであることは確かなこと
それを スピード とか 奪い合い とは結びつけてはいけないと思っている
右車線から 強引にスピードでお客様を拾うタクシーももちろんいる 
一人のお客様を奪い合うシーンは一日に何度か見る
また お客様を取った 取られた という感情は 
全てのタクシー運転手が感じる運命でもある
私が言う 日々勝負も その感覚から生まれたものだ
ただ 何かが足りなかった その何かとは
勝った という気持ちではいけない
奪った という気持ちではいけない
できれば 授けてもらった というものであって欲しいと思っている
スピードで空車タクシーを追い抜き
その先のお客様を拾う そういうやり方をする人もいる
その気持ちも大切だとは思う ただ
それでは辿り着けない 7万 8万で あって欲しいと思っている
今日は 私の 奪い合う気持ち 営収を気にする気持ちに負けた
空車の状態で 何処に行ってもいい状態で
急に左へ行こうと思いハンドルを切り
自転車とぶつかりそうになる危ない場面もあった
感情の落ち着き 受け入れる徳の深さが足りなかったのだろう
この後 有休を取り 5連休をする
月12出番である私は 一日休めば 4連休となる
そこに出番変更を加えて 今回は5連休を取る
高1の長男の運動会もある 
その他 いろいろなことをしようアップ
この3出番 7万に届いていない
仕切り直して 心を整えなおして
ミラクルのある仕事へ辿り着きたいと思っている音譜
 
本日の総営収 69620円也