小澤征爾先生との出会いは1993年サントリーホールでのウィーンフィルの演奏会でした。あの時はメンデルスゾーンの真夏の夜の夢の序曲、ベルクの管弦楽のための3つの小品、ブラームスの交響曲第4番をP席で聴いたのを鮮明に覚えています。あの時のウィーンフィルの響きの繊細さは強烈に印象に残っています。その後、ウィーンのムジークフェラインでボストンシンフォニーとのマーラーの3番、ウィーンフィルとのブラームス、ロストロポービッチがチェロ独奏でハイドン・ロココ・ドボルザークチェロ協奏曲、ウィーンのシュターツオーパーでの、イェヌーファやトスカといった公演を聴いたのを思い出します。どの演奏でもサウンドが物凄く明晰という事がぴったり当てはまる内容でした。小澤先生の中でサウンドに対するビジョンが明確・明快だったことの証なのだろうな~といつも思っています。
自分がヤマハホールやムジークフェラインで指揮をした演奏会にも来てくださったことがあり、本当に嬉しかったです。次の日にお礼を言いたくてシュターツオーパーまで行ったのも、今となっては良い思い出です。感謝しております。
何度か指揮のレッスンも受けて、ウィーンのhochschuleの201の教室で、いつもの部屋でいつもピアノを弾いて下さっている方々の前で小澤先生がベートーヴェンの交響曲第8番の指揮をされた時にサウンドが変容するのを目の当たりにしました。凄い瞬間・空間を経験することができました。今でも貴重な財産になっています。
世界中の音楽家や音楽ファンを魅了し続けてきた小澤先生には本当に感謝しております。
どうぞ安らかにお休みください。