L.97

 次に、商人は言う。「私には裕福な友人がたくさんいますが、

彼らがお金で私を買い戻してくれるかどうかは非常に疑問です。

私たちは逆境の時、友人たちを信頼すべきではありません。

順風の時には友人がたくさんいるように見えますが、

逆境の時、私たちに(友人からの)援助はなくなるのです。

私はある詩人がこの事について書いた詩の二行を覚えています

 

L.104

 運が良ければ、あなたにはたくさんの友達がいるでしょう。

もし天気が曇り(逆境の時)なら、あなたは一人になるでしょう!

(オウィディウス「悲しみのうた」Ⅰ.9.5-6 の引用)

 

L.106

 水先案内人「これらの詩人を誰が書いたのか私は知らない。

ところで彼の名前を覚えているか?」

 

 商人「もし私の記憶が間違っていなければ、

これらの詩は優れた詩人であるオーディウスによって書かれました。

彼自身、逆境に迫られた時、友人たちから見捨てられた。」

 

L.111 

 水先案内人「オーディアスの言ったことは真実ではない。

なぜなら、真の友情や信頼はまれだが、

すべての友人が偽りや不誠実なものを愛するわけではないからだ。

 

詩人のエンニウスの方がはるかによく言い当てている。

 

困った時の友が、真の友。

 

L.115

 真の本物の友人は、順風の時や逆運に見舞われたりした時に

決して援助を絶やさない人物の事である。

私には、お金が必要なときでも、何か他のことが必要なときでも、

逆境のときにいつも助けてくれるところの沢山の友人がいる。

というのは、私はよく友人に手をさしのべてきた。

やみくもに私に助けを求めようとした友人は一人もいなかったからである。

したがって、誰もが私の親切に感謝しているのだよ。