これを読んで「自分がよく寝ていることをうしろめたく思わなくなった」

という感想を聴くたび、とても嬉しいです。

 

「白河夜船」という小説のあとがきに、

著者である吉本ばななさんがそう綴っていた。

 

駅前の本屋さんが閉店してしまい、

なかなか近所で本を買うことができなくなったので、

 

近頃は、本棚の中の奥の奥の方で眠っているずいぶん昔に読んだ小説を

引っ張り出しては繰り返し読んでいる。

 

そのうちの1冊が「白河夜船」だった。

 

主人公の寺子は、

ひとりでいるときいつもいつも眠っている。

 

恋人から毎月振り込まれてくるびっくりするくらいの額のお金があるから

なんにもすることもなく、

お昼間は洗濯や自分のための買い物をしたりしながら、

あとはゆっくりと眠り続けている。

 

 

寺子の恋人の妻は、

病院のベッドで一年ちかく目覚めることなく眠り続けている。

 

 

寺子のともだちのしおりは、

お客と添い寝をする、というなんとも不思議な仕事をしていて、

 

自分が疲れちゃってることすらわからなくなってる疲れ果てた人たちのとなりで、

いつその人が目を覚ましても大丈夫なように一晩中眠らずに寄り添っている。

 

「そういう疲れた人のとなりに眠っていると、

 その人の心の暗闇を吸い取ってしまうのかも」

と語っていたしおりは、

ある日、睡眠薬をたくさん飲んで死んでしまう。

 

 

 

と、

ぜんぜん上手に物語の内容をここに綴れないんだけれど、

 

 

読み終えた後、

やっぱり

自分がよく寝ていることをうしろめたく思わなくなっていた。

 

わたしは

見かけによらず以外と根が真面目なので(自分で言う)、

 

ぼーっとしたり、

ごろごろしたり、

うたた寝からそのまんま寝続ける、

みたいなことが大好きなのに、

 

そのあと

ものすごく自分がさぼっていたような気がして

そわそわしてしまったりする。

 

 

 

いろんなことをなしにはできないし、

なくなることもないんだけど、

 

生きてりゃぜったい眠くなる。

 

ここ数年、

今までで一番よく眠ってる。

毎日、毎日。

 

そんなときに偶然手に取った「白河夜船」は、

おさぼりしているという罪悪感をほんわりとなくしてくれた。

 

もしかして、

この本が添い寝してくれていたのかしら、なんて思ったり。

 

そういえば

今宵はまあるいお月さまが見えるらしい。

 

 

お団子、食べたいな。

 

と、

いつだって食べることばっかりなわたしなのでありました。

 

*今日の出演者*

段ボールの三日月の下で眠るとぽんくんと足元で添い寝するハエくん。

悪い夢を食べてくれる段ボールのバクくん。

まあるいお月さまに向かって歩いていく段ボールの子象くん。

 

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