久々にメディアに大々的に取り上げられ、宣伝費も莫大であろうと思われる「碁盤斬り」。


期待値も膨らみ、ワクワクして初日の上映を観てきた。


初回はやや左寄りからの鑑賞。

江戸時代の生活そのままのリアル感の照明。

蝋燭や行燈だけの画面は暗い。

座席が悪かったのか、暗すぎて表情が見にくく感じた。

江戸時代の浪人だか、格之進は品があり、碁を打つ手はとても美しい。

あらぬ濡れ衣をかけられ、それだけで切腹をしようとする格之進の気持ちは、現代の私には到底理解できない。

これが武士道というものか。


予告編で観た台詞が、こんな場面で使われているのか!と、自分の予想との違いの驚きもあった。


1回目の鑑賞はなんだか不完全燃焼のような気がした。


鑑賞後、パンフレットを買い、隅々まで読み、監督の拘り等が分かり、それらを踏まえて観た2回目。


私の観る目が覚醒した。


2回目はほぼ正面の6列目。


この映画は近くで観た方が良い。

出演者の細かい表情がとてもよく分かった。

格之進の気持ちの推移もしっかりと受け止めることができた。


暗いと感じた画面も慣れたせいなのか、2回目は光の陰影の美しさを感じた。


草彅剛の演技にものめり込んだ。

碁を打つ手、目の変化、静から動へと変わる演技、斎藤工が感心していた殺陣の凄さ。

どれもこれも素晴らしかった。


そしてそれは草彅剛だけではなく、出演者全員が素晴らしかった。


どの場面に出ているどの演者の演技にも唸った。


映画で撮ることの素晴らしさが初めて分かったかもしれない。


光の明暗もさることながら、音にも聞き入った。


碁を打つパチンという音。

長屋の屋根を直すトントンという音。

行燈がジュジュッと燃える音。

江戸時代の生活の音があちらこちらから聞こえてくる。


その拘りを見つけるのも楽しい映画かもしれない。


2回観たら、またすぐに観たくなった。


派手さはないが、確実に評価されるべく作品だと思う。


ぜひぜひ映画館で観てほしい。