昔々ある村におじいさん、おばあさんとその孫が住んでいました。子供の名前は、太郎と言いました。

この村は、時折鬼が来て悪さをしていき、困っていました。そこで村長が鬼のボス(鬼長)に掛け合い、定期的に貢物を差し出すことで村には来ないようにするということで話がつけました。

今回は、太郎がその貢物を持って行くことになりました。

おじいさん『太郎、村人の運命が掛かっているんだ。頼んだぞ。』

太郎『任せて、おじいさん。』

おばあさん『気を付けてね。少しぐらいなら貢物を食べてもいいからくれぐれも拾い食いしないようにね。』

村長『すまんな。今年は、不作でな。だからこれを連れて行ってくれ。』そう言って犬のポチを指した。

村長『ポチ、すまない。』ポチの頭を撫でる。

村長『太郎、ポチの身にどんなことがあっても見ない振りをするんだぞ。鬼にはかなわないからな。』と耳元で囁いた。

太郎『ポチ………。』

ポチ『クー――ン』

太郎は気を取り直して『行ってきます。』

 

太郎『まずは海辺に行って舟を探そう。ムシャムシャ。』

ポチ『ワンワン(そんなに食べると貢物が減っちゃうよ)』

太郎『ムシャムシャ。ポチ、大丈夫だ。お前は俺が守ってやるよ。』

ポチ『ワンワンワン(嬉しいけど、食べ過ぎだよ)』

太郎『ムシャムシャ。大分歩いたな。ここらへんで休憩しよう。何か食べるか。』

ポチ『クーン(まだ食べるの?)』

太郎『そうだ。ポチ、ちょっと荷物を見ててくれ。』そう言うと太郎はどこかに行ってしまった。

 

ポチ『(ウンチにしては遅いなあ)』あくびをしてから寝て待つことにした。

 

数時間後

ポチ『ワンワン(遅いよ)』

太郎『ポチ、見ろよ。』手には首を押さえられたキジと縄をかけたサルを連れて戻ってきた。

太郎『こいつらが居ればポチはなんとかなるだろう。よし出発しよう。ムシャムシャ。』

サル『キキッキー(助けて)』

キジ『ケーンケン(助けて)』

ポチ『ワンワン(僕が太郎さを説得するから)』

太郎のほうを向いて『ワンワンワワン(太郎さ、サルとキジを逃がしてあげて)』

太郎『ポチ、なんだ?身の危険がなくなりそうだから嬉しいのか。俺も嬉しいぞ。ムシャムシャ。』

ポチ『クーン(言葉が通じない…って、ずーっと食べてるけど貢物がヤバいよ)』

太郎『海だ。あそこに舟がある。でも道草をしたから今日はここで寝てから明日鬼ヶ島へ行こう。食べ物はいっぱいあるしな。』

そして、夕食後

太郎『お腹もいっぱいになったし、寝るかな。』

太郎は、ジーっとポチの顔を見て『大丈夫、一緒に帰ろうな。』

ポチ『クーン(どうしたらいいんだろう)』

次に太郎はサルの顔をジーっと見て『はあ~。』そしてキジを見て『フ~。』

太郎『どいつもこいつも可愛い目をしやがって。』そう言うとキジの首に巻き付けた縄とサルの体に巻き付けた縄を外して『ごめんな。もう行っていいぞ。ポチ、お前も行くんだ。』

ポチ『ワンワン(太郎さ)』

サル『キキ―』

キジ『ケンケン』

サルとキジそしてポチがどこかに行ったのを確認してから太郎は横になった。

太郎『今年は貢物が少ないからどんな目に合うだろうか。』そう思いながら眠りについた。

 

翌朝

『ワンワン』

『キキ―』

『ケーン』

太郎『うるさいな~って、エエ~!』

太郎『お前たち、どうして戻ってきたんだ。』

ポチ『ワンワンワン(太郎さ、一緒に行く)』

サル『キキ―(一緒に行ってやるよ)』

キジ『ケンケン(自分は飛べるからいざとなったら逃げればいいし)』

太郎『一緒に行くと言ってるのか?みんな自殺願望があるなんて、仲間にいじめられてるのか?』

サル『キッキッキー(ないない)』

太郎『何はともあれ腹ごしらえしよう。』

 

太郎『さあ、舟に乗り込むけど、問題発生だ。貢物がものすごく少なくなった。どうしよう。』

ポチ『クーン(食べ過ぎだよ。食べ物がほとんどないじゃん。)』

太郎『考えても仕方がない。出たとこ勝負だ。』

サル『ウキー(大丈夫かあ)』

 

太郎『見えてきたぞ、あれが鬼ヶ島だ。ムシャムシャ。』

キジ『ケンケン(不気味だな~)』

太郎『着いてしまった。行こう。』

太郎『もしもし、誰かいませんか?』

鬼A『誰だ?例の村の貢物を持ってきたのか。待ってたぞ。こっちだ。』

案内された場所には鬼がいっぱいいた。

鬼長『どーれ、今回はどんなものがある・か…な…ふざけてるのか!』

太郎『最近、不作続きで…。』

鬼長『その割には、お前は丸々と太ってるようだが、ああ!』

太郎『…人間は飢餓状態だとお腹が出るんです。』

鬼長『それでそこの動物はなんだ。代わりに食べろというのか?』

太郎『こいつらは、すごく優秀なんです。きっと役に立ちます。』

太郎『まず、ポチ。海で魚を取ってこい。』

ポチ『ワッ?(えっ)ワキャン(分かった)』海に走り出した。

太郎『キジ、鬼たちの髪にいるノミやシラミと食べてくれ。』

キジ『ケッ?(えっ)ケケケケーン(いやだけどやるよ)』鬼の頭に次から次に止まりノミやシラミを食べだした。

鬼たち『これは、なかなかいいな。頭が痒くなくなってきた。』

太郎『そうでしょう、そうでしょう。最後にサル、鬼たちの背中を掻いてあげてグルーミングだ。』

サル『キッ?(えっ)キキッキー(任せとけ、得意分野だ)』

鬼たち『これも、なかなかいいな。すごく気持ちがいいな。』

太郎『どうですか。貢物だけが全てではありません。形のないものでもいいものがあるんですよ。』

そのうち魚を取ってきたポチが戻ってきた。魚を置いて再度海に向かった。

鬼長『あの犬もなかなかだな。』

太郎『そうでしょう。今回は、これで許していただけないでしょうか。』

太郎は、なんとかなりそうだと思った。

鬼長『で、お前は?』

太郎『えっ?』

鬼長『お前は何ができるんだ?』

太郎『えーと、みんなに指示を出すのじゃダメ?』

鬼長『最近、相撲に凝ってるんだ。俺たちの相手をしてもらおうかな。』

太郎『相撲なら、得意な友達がいます。鉞担いで熊に跨るような奴ですけど、今度連れてきます。』

鬼長『お前でいい。おい、こいつに鬼流相撲を教えてやれ。いい余興になりそうだ。』

太郎は、鬼相手に相撲を取ることになった。しかしそれは頭突きあり、パンチあり、噛みつきありのいわゆる喧嘩だった。太郎はサンドバックとなり次から次に鬼たちの相手をすることになった。次の日もその次の日も。

数日後、かろうじて息はしているが動かなくなった太郎を見て、鬼長『太郎とかいったな。今回は、別の意味で面白かったぞ。気分がいい。これをやるからもう帰っていいぞ。』

ポチ『クーンクン(大丈夫?)』

サル『キー(ひどい怪我だよ)』

キジ『ケーン(よく頑張ったね)』

太郎『みんなありがとう。みんなで帰れるね。』

なんとか舟を漕いで例の海辺に着いた。

太郎は鬼長からもらったきびだんごを分け与えた。

太郎『お礼は、こんなものしかないけどごめんな。』

キジ『ケンケーン(ありがとう。じゃあね。)』飛び立っていった

サル『キキ―キッキー(ありがとう。十分だよ。)』林のほうに走って行った。

太郎『ポチ、俺たちも帰ろう。モグモグ、美味しいな。』

ポチ『ワン(うん)ワオオン(でもその怪我)』

太郎『心配してくれるのか。大丈夫だよ。ゆっくりしか歩けないけど。』

ポチ『クーン(…)ワン(ゆっくり歩くよ)』村の方に歩き出した。

 

村人『太郎、ポチも戻ってきたぞ。』

おばあさん『太郎、その怪我は?早く手当てを。』

村長『太郎、ポチを連れて帰ってくれてありがとう。ゆっくり休むんじゃよ。』

太郎は、右手の親指を立てて返事をした。

 

 

さあ、絵本を逆から見ていって話を作ったけど、あとは赤ちゃんになって桃に入らないといけないけど、どうしたらいいかな?

 

 

『ぐすっぐすっ』

『泣いているのかい、泣き虫だなあ。君は。』

『だって、この絵本を読んだら悲しくて…。』

『 “逆から桃太郎”?この絵本って誰か作ったの』

『うん、出〇杉君が作ったんだ。でも最後が悲しくて…何とかならないかなあ。』とチラッと青色のロボットを見る。

『分かったよ。“絵本入りこみ〇つ”さあいくよ。』ポケットから靴を出してそれを履くと絵本に吸い込まれた。

 

おじいさん『ヒ~!狸のお化け!孫を連れていくつもりか~!』

『誰が狸だ!』

『落ち着いて。太郎さんを助けに来ました。』

おばあさん『本当?もう返事もしてくれないの?』

『こんなときは“お医者さん〇バン”』

『ふむふむ、これはひどいな。このままだと助からないけど…。』

『助けられるんだよね。それなら早く治してあげて。』

『でも…出〇杉君がこの絵本をし〇かちゃんではなく君に貸すということは、きっと完成させたかったのだと思うよ。それならすることはひとつだ。』

『それはどういうこと?』

『君は実に単純で純粋なんだな。まあそれが君のいいところでもあるけどね。』

『太郎君は重傷です。助ける代わりにしばらく会えなくなるし、もう元の体ではなくなるけどいいですか。』

おばあさん『どんな姿でも助かるならお願いします。』

おじいさんも頷いて同意する。

『それでは、まずは怪我を治してと、そして“タイム〇呂敷”』赤ちゃんになる太郎。

おじいさん『なんと!太郎が赤ちゃんに』

『最後にこの大きな桃に赤ちゃん太郎を入れて完成。』

『これを川の上流から流しますので、おばあさんが拾ってください。』

『それじゃ、運ぶよ。』そう言って空を飛んで行った。

おじいさん『青狸の神様だ。』

 

その後、太郎は、桃から取り出され、桃太郎と名付けられた。

桃太郎は、鬼の強さを知っており、ハイハイできるようになると腕立て伏せをし、歩けるようになると足腰を鍛え、枝を振り回し、鬼に対抗できるように鍛えていった。そして元の大きさになるころには、とても強くなった。

桃太郎『おじいさん、おばあさん、今から鬼退治に行ってきます。できればきび団子を作ってくれませんか。』

そしてポチの子供を仲間にし、道中で、あのときのサル、キジの子孫をきび団子で仲間にして鬼退治をしたそうだ。

もちろん、ポチ、サル、キジはご先祖様から鬼の特徴を聞かされていたので桃太郎同様に圧倒的な強さで鬼に勝ったそうな。

 

おしまい。