デザイン性のある美しい背表紙・漱石図書室にて
外国の本をそれほど読んだわけではないので、はっきりしたことが言えませんが、日本の本の装丁は素晴らしいと思います。最近は、写真や空白を強調した装丁、または文字が大きな装丁が目につくような気がします。
LP主流時代は、よく「ジャケ買い」をしました。ジャケットだけ見て、自分の感性にあうなぁと思えば購入。「ジャケ買い」して聴いてみると、大抵は好きな音楽でした。もちろん、外れもありましたが。
本の装丁も私にとっては、同じ気持ち。けっこう、「ジャケ買い」しています。
装丁家、新版画家・橋口五葉(はしぐちごよう)。
今回、この人の装丁を見たくて新宿区にある「漱石山房記念館」へ赴きました。
漱石山房記念館・入口正面のパネル
記念館横にある「道草庵」の中にお目当ての橋口五葉の装丁本が飾られています。
橋口五葉(1881~1921)は、鹿児島県生まれ。漱石が熊本の第五高等学校へ赴任中に知り合います。漱石の推薦で『ホトトギス』の挿絵を手掛けるようになりました。そして、東京美術学校(現東京藝術大学)在学中に『吾輩は猫である』の装丁を手掛けたことが、五葉の大きな飛躍となります。この装丁は、日本の近代装丁の第一号と言われているそうです。
『吾輩は猫である』下編(明治40年)
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先日、ブログのお友だちがパユさまのコンサートへ行ったと記事にしていました。うかつでした。今回のコンサート、聴き逃しました。お友だちの話では、バロックを結構吹いたそうです。
「パユさま」。いつしかだれが言い始めたのか、フルート奏者のエマニュエル・パユは「パユさま」と呼ばれるようになりました。多分・・・「ヨンさま」あたりの時代からかしら。「さま」にふさわしい高貴でいて美しい音色を奏でる方なのです。今回は、「漱石~五葉~パユさま」の流れはいかがでしょうか。
J.J.Quants-Capriccio in G major /Emmanuel Pahud
J.J.クヴァンツ-カプリチオ ト長調/エマニュエル・パユ
エマニュエル・パユ(1970年~)は、スイス出身のフルーティスト。23歳でベルリンフィルハーモニー管弦楽団の首席奏者に就任し、途中退団したが現在は復帰。現代を代表するフルーティスト。日本への来日も多い。楽曲の作者は、ヨハン・ヨアヒム・クヴァンツ(1697~1773年)。ドイツの作曲家であり、フルーティストであった。
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橋口五葉は、その後、絵葉書のデザイン、日本画を経て、かねてから興味のあった浮世絵に傾倒。新しい木版画と言われた「新版画」の世界へと進みます。脳膜炎により39歳の若さでこの世を去りました。
『吾輩は猫である』中国版/何やら色っぽいです。
漱石山房記念館では、会館5周年を記念して10月8日~11月27日まで「夏目漱石と芥川龍之介展」を予定しています。秋の気配を感じながら日本文学に触れてみるのもいいかもしれませんね。
漱石の書斎・漱石山房記念館にて
ペーパーレスの時代になりましたが、いつの時代も音楽好きがLPレコードを愛聴するように、本好きは紙書籍を愛読するのではないでしょうか。
月曜日
今週も
こころのネジをギコギコ
今日もお読みくださりありがとうございました。