たとえば
声を出したはずなのに
出ていなかったり
見たはずなのに
マボロシだったのかもしれなかったり
重要ななにか、が欠けていたり
そのなにか、がなにか分らなかったり
得体の知れない恐怖や罪悪感とか
秋も深くなって
もうすぐにも冬の風が吹きそうな時期
刈り入れの終わった畑の真ん中に
一人で立っている
そして
世界で最後の馬車が
ぼくを乗せないで
丘の向こうへ去ってゆく
ぼくは
それを見送るばかりで
声に出して呼ぶこともできない
最後の馬車の話。
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