アイドルというと、昭和の時代に活躍した懐かしいタレントを連想する人が多いと思います。アイドルは英語の「 idol 」で、辞書を引くとまず「偶像」と出てきますが、「偶像」と言われてピンとこない人が多いのではないでしょうか。

 

日本でよく言われる「八百万の神」のような多神教に対して、唯一無二の神を信仰するのが一神教と言われます。この一神教の多くはキリスト教やイスラム教、ユダヤ教で、キリスト教の旧約聖書はユダヤ教の聖典であり、またイスラム教の啓典のひとつとなっていますが、この旧約聖書には偶像崇拝を戒め唯一無二の神を信仰することが何度も書かれているのです。代表的な箇所が次の通りです。「あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。あなたはいかなる像も造ってはならない。上は天にあり、下は地にあり、また地の下の水の中にある、いかなるものの形も造ってはならない。」(新共同訳聖書出エジプト記20章3〜4節)

 

2001年にあるイスラム原理主義者が、アフガニスタンのバーミアンにあった世界的な仏教遺跡の大仏を破壊した事件は、偶像崇拝を禁じたイスラム教徒の行為が現実化したわかりやすい例です。こうした過激な活動をするのはごく一部のイスラム教徒なのですが、彼らの日常の礼拝の場であるモスクを見ても、白を基調にアラベスクの幾何学模様が施され、質素そのもので偶像の入る隙間は見られません。

 

(イスティクラル・モスク@ジャカルタ)

 

インドネシアのジャカルタで生活していて感じたのは、そういった偶像を避けている空気が自然に街に漂っていることです。特にそのことを感じたのは、お隣のタイの首都バンコクへ行ったときでした。東南アジアの国の首都という点でジャカルタと似ているところが多いのですが、バンコクではカラフルな仏教寺院の佇まいや仏像を街のあちこちで見かける点で、ジャカルタとの違いを感じました。

 

(ワットポーの涅槃像@バンコク)

 

日本でよく道端で見かけるお地蔵さんのようなものも、ジャカルタにはありませんでした。NHKの人気番組「チコちゃんに叱られる!」の中で、「日本にキャラクターがいっぱいいるのはなぜ?」という問題が出たことがあって、答えは「八百万の神様がいるから」でした。なるほどいわゆる「ゆるキャラ」なるものは、インドネシアでは流行らなかったようです。

 

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