「インドネシアにも紅白幕があるのですね?」と尋ねられたのは、ジャカルタの私の勤務していた会社に、日本から出張に来ていた人と車に乗っていたときのことです。彼は車の窓から道端の露店に並んだ赤と白ののぼりを見ていました。

 

8月17日がインドネシアの独立記念日というのは、前に「17の日」のところで書きましたが、それはちょうど独立記念日が近づいてきた頃でした。ジャカルタの街のあちこちで、インドネシアの独立記念日の式典やお祭りの準備が始まっていて、建物の塀や電柱、家の軒下に赤と白のツートンカラーのインドネシア国旗が装飾されていました。その飾り用の国旗や国旗を90度回転させのぼりのようにした旗が、道端の露店にも並んでいたのです。

 

赤と白のツートンのインドネシア国旗はインドネシアではメラプティと呼ばれていて、メラは赤色のことで自由と勇気を表し、プティは白色で正義と純潔を意味します。国旗は赤と白を横に半分ずつ配置していますが、独立記念日の街の飾り用に縦長ののぼりのような旗が作られて、それは縦に赤と白が配置されるので露店でそののぼりがいくつか並ぶとまさに日本の紅白幕と似て見えるのです。

 

(チルボンの王宮前に並んだインドネシア国旗)

 

このメラプティ(紅白)の由来は、インドネシアを植民地にしていたオランダの国旗の、赤・白・青のトリコロールの下の青をカットしたものとか、中世のジャワの王朝が紅白の旗を使っていたという説、はたまた太平洋戦争中にインドネシアを占領していた日本の日の丸の影響だなど、諸説あるようです。

 

(メラプティをイメージした軒下の飾り@ジョグジャカルタ)

 

メラプティと言えば東京新宿の大久保に、メラプティカフェというインドネシア料理店があります。大久保は日本のコリアンタウンで有名になった街で、今では多国籍エリアとして様々な人種が入り混じり、イスラム教徒のためのハラール食品店やモスクまであって、JR大久保駅近くにはインドネシア食材専門店もあります。

 

そのメラプティカフェには、日本に住んでいるインドネシア人たちが夜な夜な集まり騒いでいると聞いたので、様子見がてら行ったことがあります。JR新大久保駅から歩いてすぐのところで、店に行く目的が無ければちょっと立ち寄り難い、だいぶ古くなったビルの2階の一室にあり、スマトラのパダン出身の女将がきりもりしていました。店の中はカウンターにインドネシアのワルン(露店)にあるようなショーケース、壁際には木のベンチシートがあって、インドネシアを演出していました。

 

友人たちとメニューを見ていろいろ注文すると、今はナシゴレンと茄子の炒め物しかできない、と言われ仕方なくそれを頼みましたが、ナシゴレンの上の目玉焼き(写真下)もインドネシア的でした。日本では珍しいインドネシアのカラオケがあったので、インドネシアの歌を1曲歌って帰りましたが、日本にある他のインドネシア料理店と違い、日本に住んでいるインドネシア人たちの郷愁をそそる店なのだなぁ、と思いました。

 

 


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