インドネシアのジャカルタへ赴任が決まったときに、いろいろ即席の赴任準備をしました。インドネシア語初歩のレッスンは、ジョグジャカルタ出身の男性と結婚された日本人女性の先生から、マンツーマンで20時間ほど教わったでしょうか。そのくらいの勉強では日常会話まではまだまだ遠い程度で不安はぬぐえませんでしたが、実際にインドネシアの人と話す取っ掛かりといいますか度胸はつきました。

 

また日本にいるうちに歯の治療をしておけと言われました。私は子供のときから歯医者さんのお得意でいつ虫歯に悩まされるとは限らないので、日本語が通じないところで歯の治療をするのは心もとないですから、早速会社の近くの評判の良い歯医者に行って事情を話し、虫歯でなくても虫歯になりそうな怪しい歯は全部治療しました。

 

あの時大嫌いな歯医者に行っておいて良かったと思ったのは、インドネシアに赴任してから驚くべき事実を知ったときのことです。なんでもインドネシアの歯医者に行くなら歯を抜かれる覚悟で行け、と冗談でなく真面目に言われたのです。つまりインドネシアの歯医者さんは、虫歯になった悪い歯はたいてい治療することなく抜いてしまうというのです。中には食事に不自由するくらいまで抜かれてしまった人がいたそうです。

 

ジャカルタの街を車で走っていると「Doktor Gigi」(ドクトルは医者、ギギは歯で歯医者)の看板を見かけましたが、幸いなるかな私はドクトルギギのお世話にならずにすみました。だいいちインドネシア語の「ギギ」という言葉の音感が不安感をあおるというか、何となく日本語の「疑義」に聞こえたものでした。

 

歯の治療の他には、インドネシアへ行く前にB型肝炎ウイルスの予防ワクチンを接種した方がいい、と何かの案内に書いてありました。そこで赴任前の健康診断の際にお医者さんにそのことを尋ねましたら、何故かそのときに限っていつもとは違う若くて美人の先生で、ジーっと私の目を見つめながら「B型肝炎は濃厚な粘膜の接触が無ければ感染することはありませんよっ!」と、悪いことを企んでいる子供を諭すように言われてしまいました。もちろん反論などする余地なく予防接種をすることは無かったのですが、こちらも今日に至るまでズーっと陰性です。

 

(バリの海岸)

 


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