インドネシアに長期滞在していると、健康管理に気を付けていても大なり小なり病気になることがあります。日本から持ってきた常備薬で治ればいいのですが、それで具合が良くならないと何とも悩ましいことになります。にっちもさっちもいかなくなると、いよいよインドネシアのお医者さんや病院のお世話になることになります。

 

あるとき高熱が出て食欲も無くなり、2日ほど日本の薬を飲んでいたのですがことごとく効かないので、ジャカルタの日本人駐在員の情報網を頼って、日本に留学していたというインドネシア人医師を紹介されて行ったことがあります。ビルの中の一室に医院を構えているお医者さんで、日本語をしゃべるのでちょっと安心です。

 

熱を測って3~4分くらいの問診の後、100円玉くらいの大きな錠剤を処方されたので早速その場でその錠剤を、飲むときに喉につかえそうになりながら飲み込みました。すると飲んだら即効、2~3時間もしないうちになかなか下がらなかった熱が平熱になり、食欲も出てきたのです。いったいこの2日間の苦しみは何だったのだろう、と思うほど怖いくらい良く効いたので、3日分処方された残りの薬は飲まないでおいたのが、今から思うと幸いしました。

 

後日日本に帰ったときにかかりつけの医者にその話をしたら、日本だと副作用が出るので認可されない量の抗生物質(どおりで大きな錠剤だった)を、インドネシアでは普通に処方するので良く効くとのこと。だから律儀に出された薬を全部飲んでしまうと、こんどは肝臓を悪くしてしまうので要注意だというのです。現にその後のことですが、会社の取引先の銀行の日本人駐在員がインドネシアの薬が原因で肝臓を悪くし、任期途中で帰国せざるを得なくなったことがありました。

 

インドネシアの人たちは病気になるとどうするかというと、まず病院にはなかなか行きたがりません。理由は社会保険制度のないインドネシアでは病院の治療費は高く、庶民の懐ではまかないきれないのと、インドネシアの医者を信用していないからです。ではどうするかというと、街でよく目にするAPOTEK(薬局)で市販の薬を買い求めて治そうとします。ただその市販の薬も日本では劇薬扱いの成分などが含まれ、副作用が多いものもあり注意が必要なのですが、病院にいけなくて仕方なしにそれでごまかす人が多いようです。

 

また古くから民間療法で、それこそ祈祷まがいのことで治そうとする人もいます。風邪をひいて熱が出たときには、背中をルピア硬貨の大きいのであばら骨に沿って強く引っ掻いて赤くする、いわば乾布摩擦の原理で治す方法があり、私はおすすめしませんが日本人でも真似している人がいました。

 

お金持ちの人たちは大病になると、すぐにシンガポールやマレーシアの病院に入院するケースがよくあります。日本人駐在員も年1回の健康診断を、会社が指定する日本やシンガポールの医療施設で実施しているところが多くありました。昨今インドネシアの病院も最先端の医療設備が導入されているようですが、それを使える医者が間に合っていないのが実態なのです。

 

(夕暮れの海岸@チラチャプ)

 


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