インドネシアには海のシルクロードの中継地として、古くから東西のいろいろな文化が入り込み、音楽でも青銅製の楽器ガムランを使った古典音楽から、現代的なリズミカルな音楽まで種々あって、中には日本でも知られている歌もあります。

 

だいぶ昔に日本でヒットした「かわいいあの娘」(”ノナマニス”、ノナは女の子でマニスはかわいいの意)という歌は、インドネシアの民謡を日本語に訳詩したものです。「かわいいあの娘はだれのもの♪かわいいあの娘はだれのもの♪かわいいあの娘はだれのもの♪あの娘はひとりもの♪」という歌で、インドネシア語の歌詞もほぼ同じ意味です。誰でも一度は聞いたことがある歌だと思います。

 

「ブンガワンソロ」(”ソロ川”)という歌は、中部ジャワから東ジャワのスラバヤに流れるソロ川を往来する商船の情景を歌い、クロンチョンというポルトガル音楽の影響を受けた曲で、戦時中インドネシアにいた日本の兵隊たちに親しまれ、戦後日本でも松田トシが日本語の歌詞を付けて歌いヒットしました。

 

(ブンガワンソロ)

昔この商船はソロ川を上って、いにしえの都があった中部ジャワへの物資の運搬をしていたのですが、帰りの船で中部ジャワの山々から採掘された銀を、ソロ川の河口の港町スラバヤへ運んでいました。インドネシアを植民地にしていたオランダはその銀を、当時銀と金との交換レートが良かった日本の長崎に運び、金と交換してもうけていたのです。スラバヤはこのようにして昔から栄え、今は首都ジャカルタに次ぐインドネシア第2の都市となっています。

 

 

ちょっとユニークな音楽ではダンドゥットというものがあり、インドのビートのきいた音楽に似ていて、日本で言えばさしずめ演歌のような位置付けですが、庶民に根強い人気があります。パーティーなどでダンドゥットの曲を流すと、大人から子供までみんな腰をくねらせながら踊り始め盛り上がるのは良いのですが、なかなか終わらなくなってしまうのが困りものです。もっともこのダンドゥットはちょっと下品だといやがるインドネシア人もいます。

 

ポップスのような現代的な音楽も盛んで、若手の歌手が歌っているものの中には日本人にも親しめる曲がたくさんあります。インドネシアで歌手というと、バタック族というスマトラ島北部の地方の出身者が多いと言われているのですが、バタック族にはクリスチャンが多く、子どものころから教会に通って讃美歌を歌っているので、音感が良くなって歌がうまいと聞いたことがあります。

 

(ダンドゥットの歌で踊る人たち@バンドゥン)


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