風に舞いあがるビニールシート (文春文庫)/森 絵都
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なんだかますます本ばっかり読んでいます。
直木賞の短編集です。
6編の短編からできているのですが、
特に1話目の「器を探して」の最後に描かれている、
女性のしたたかさがどんでん返しのようで良かったです。
また短編のテーマが少しマニアックで
5編目の「鐘の音」という短編は、
なんと仏像修復師を取り扱っています!
仏像を造る人が仏師で(火の鳥鳳凰編の茜丸です)、
それを修復する人が修復師、
主人公は仏像おたくで一度は仏師を志したものの、
自分の造る仏像に魂が入っていないことに気づき、
仏師を断念、修復師として修行中、
という屈折した設定なのですが、
内容もかなり専門的なんですね。
修復しに行ったお寺の仏像を見てその仏像について議論が交わされるのですが、
その名前が
不空羂索観音像
なんかもう、一気に読者を引き離しにかかったな、という感じです。
ふくうけんじゃく
と読むようですがまるで聞いたことのない名前ですよね。
それでその手が結んでいる印の形が違う、
とかそういう話になるわけです。
仏像の世界も奥が深いんですね!
(そういえば最近仏像萌えが流行ってますね)
そしてクライマックスでその不空羂索観音像がもともとは違う仏像であったことがわかるんです!
そう!
実は、、、
准胝観音像だったんです!!!
(゜д゜)。。。
という感じでますます置いてきぼりをくらってしまうんですねw
でも最終的には話がまとまっている。
なんだかまわりくどいですが、
この作家さんはそういったマニアックなテーマを扱いながら、
それで読む手が止まってしまうことなく読み進められるような筆力の持ち主だということなんです。
他の短編についても同様に少し変わった職業が出てきますが、
物語の根底に流れる部分はどんな人でも共通で、
それを改めて気づかせてくれるってことなんでしょうね~。
では最後に不空羂索観音と准胝観音を見比べてみましょう!
准胝観音
なんか写真だと全然違いますね(^_^;)
准胝観音は“仏母”ということらしいんですが、
確かになんか癒されます☆