さて植松さんのインタビュー、続きです。

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Q:ところでカプースチン作品と最初に出会ったのはどの曲ですか?
A
:8つの演奏会用エチュードの第1番「プレリュード」でした。あるピアノ情報関連HPのトップページにこの曲が流れていたのです。MIDIファイルでしたけれど。



Q:今おっしゃった「電子ピアノとPCを接続した上で確認しながら」とは、具体的にはどのような方法ですか。PCに録音して楽譜と見比べるということですか?

A:基本的にはその通りで、それをリアルタイムで見比べるということです。
これはPCで音楽を作成するソフトによくある「リアルタイム入力機能」を用いたものです。この機能は電子ピアノ上で押した鍵盤がリアルタイムでディスプレイ上の五線譜に表示されるというもので、拍子とテンポをあらかじめ設定して、ソフト上のメトロノームに合わせて演奏して使用するものです。人間の打鍵にはタイミング誤差が必ず生じるので、一定の間隔で打鍵していると思っていても、PCから見ればわずかにずれていることになります。そのずれを自動的に無くしてくれる「クォンタイズ」という機能があり、私が練習として使用する場合は、通常8分音符の精度で設定するところを32分音符の精度に上げて練習しています。この場合、32分音符以上のずれが発生してしまったときには、それがすぐディスプレイ上に32分音符として表示されてしまうので、そうならないようにリズムに気をつけて練習することになります


この仕組みは、客観的に打鍵のタイミングを確認できるため、今までリズム感は良い方だと思っていた自分のリズム刻みが実はかなり不正確だという事実を認識させてくれますので、リズムの正確性を追求する面ではとても良いツールなのだと思います。この方法は以前はまっていた音楽ゲームからヒントを得ました。

(参考)植松さんが使用しているソフトの該当部分の説明です。
http://www.ssw.co.jp/products/ssw/mac/sswlt30m/seq2.htm

Q今回「ピアノソナタ第10 23楽章」を選曲した理由は?
Aあまり演奏されない曲を演奏したいと思ったためです。

Qカプースチン本人にはどんなことを伝えたいですか?
A多くの素晴らしい曲を世の中に送り出していただき、どうもありがとうございます。カプースチンの曲は聴いても弾いてもエキサイティングな気持ちになります。これからも私達を魅了する曲を作り続けてください。


貴重なお話をありがとうございました。





:カプースチン作品を練習する際は、他の人の作品とは違うことをやっていますか?
A
:私も皆さんがどのようにカプースチンの作品を練習しているのか、とても興味があります。私の場合はリズムの正確性に重点をおいた練習をしています。メトロノームはもちろん使用するのですが、それ以外では、自分が正しいリズムで弾けているかを客観的に知りたいため、電子ピアノとPCを接続した上で自分の演奏をPC上で確認しながらリズム補正を行うなどしています。