まずはここから!
ブラックソックス事件(ブラックソックスじけん、Black Sox Scandal)は、
1919年アメリカメジャーリーグワールドシリーズで発生した八百長事件。
優勢を予想されたシカゴ・ホワイトソックスがシンシナティ・レッズに
3勝5敗と敗退(当時はワールドシリーズは9試合制)
結局、1919年のワールドシリーズ は、シンシナティ・レッズが5勝3敗で制することになった。
シリーズ前からささやかれていた賭博がらみの八百長疑惑が真実味を帯び、
地方新聞の暴露記事がきっかけとなって結果的にホワイトソックスの主力8選手が、
賄賂を受け取ってわざと試合に負けた容疑で刑事告訴された。
「ワールドシリーズを金で売った」この事件は、米野球界のみに止まらず、
アメリカの精神的国技として野球をなかば神聖視する風潮のある米国社会全体に衝撃を与えた。
この事件を基に作られたのが
ジョン・セイルズ監督作品、「エイトメン・アウト」です。
悲運の8人(アンラッキー・エイト)
を演じたのが・・・・
チック・ガンディル(マイケル・ルーカー)
スウィード・リスバーグ (ドン・ハーヴェイ)
オスカー”ハッピー”・フェルシュ(チャーリー・シーン)
バック・ウィーバー (ジョン・キューザック)
エディ・シーコット(ディヴィッド・ストラーザン)
レフティ・ウィリアムズ (ジェームス・リード)
フレッド・マクマリン (ペリー・ラング)
ジョー”シューリス”ジャクソン(D・Bスウィーニー)
オーナーのチャールズ・コミンスキー(クリフトン・ジェームス)のケチケチ精神のため、
クリーニング代を選手が負担することや、
年俸がなかなかあがらない等々でチームの中では選手たちに不満が募っていたといいます。
いつも薄汚れたユニフォームを着ていたので
ホワイトソックスはこの事件の前から”ブラックソックス”と揶揄されていました。
タイカッブとシューレス・ジョー
そんな噂に目をつけたのがシカゴマフィア。
賭け屋のビル・バーンズをクリストファー・ロイドが演じています。
八百長首謀者になったのは元ボクサーだったチック・ガンディル。
カード、競馬、ボックシング、ありとあらゆるものを賭博にしてビジネスを
打ち立てていた彼らは選手を抱きこんで
「もうけ話」を吹きかけていたのです。
ドキュメンタリーの「TOKYO-JOE」を見たばかりなので、
やはりこの時代のシカゴはマフィアが相当暗躍していたんだなと思いました。
もうやりたい放題だったんでしょうね。
この話にのっかる選手、迷いながらも、チームメイトを売りたくなくて
名前だけ貸す選手、はなから反対した選手・・・・
華々しいワールドシリーズの裏ではこんな選手同士のいさかいがあったのですね~~。
ゲームの最中もハップ(チャーリー・シーン)がポロっと落としたりすると
バック・ウィーバー(ジョン・キューザック)や
キャッチャーのレイ・ショーン(ゴードン・クラップ)が
「ちゃんとやれよ!」と憤慨しています。
更衣室でも仲間割れがひん発していました。
チームの要、ピッチャーのエディ(ディヴィッド・ストラーザン)は
肩を壊していたし、安月給だしで、最初は八百長話にのっかるのですが、
やっぱり「自分の野球がやりたい」と迷います。
シリーズ途中では三者三振を見事に決めて、
シンシナティ・レッズに圧勝を決め込んだこともある。
イチローがルーキー最多安打の記録を塗り替えたときに
名前があがったのが素足のあだなを持つジョー・ジャクソン。
彼までが八百長に加担していたということで、裁判所に赴くジョーに
「ウソだといってよ、ジョー」とこどもが叫んだという有名なエピソードも
きちんと盛り込まれています。
奥さんたちも「この試合は楽勝だったのに・・」
と落胆したり、励ましたり・・・
随所に野球好きなこどもたちが登場し、選手の気持ちを迷わせています。
野球はやはりみんなの夢であり、希望であったはずじゃないか・・・
というジョン・セイルズ監督の厳しくも静かな視点なのでしょうね。
![愛情いっぱい!家族ブロ!-要所要所にこどもたちを配しているのもうまい](https://stat.ameba.jp/user_images/20090322/09/kapuseruzamurai/c5/e9/j/t02200308_0541075810155448303.jpg?caw=800)
マフィアとの誓い、胴元が破産したので、選手には一切お金は入ってこない。
でも八百長試合を裏切ったら家族はどうなると思う?と脅される選手もいました。(レフティ)
ホワイトソックスのキッド・グリーソン監督(ジョン・マホーニー)はそんな彼らを知りながら、
けして見てみぬふりではなく、「立ち直ってファインプレーを見せてくれるはずだ」と
見守っていました。
事実に基づいて手堅く作られていますが、けして実録風、ドキュメンタリー風に
ならずに、アメリカンドリーム、ノスタルジー、そんなものを感じさせる
ヒューマンドラマになっています。
チームメイトの群像劇にもなっており、八百長事件を軸に揺れ動いたそれぞれの
登場人物の心情がよくわかるようになってます。
さすがは名脚本家ジョン・セイルズ。
彼自身、この八百長事件をスクープする新聞記者の役で登場。
選手達を静かに見守っています。
わたしはジョン・セイルズ監督は非常に過小評価されていると思います。
インデペンディント界のクリント・イーストウッドといっても過言ではないでしょう。
他の作品群も地味ですが非常にいいです。
前半の野球の試合シーン、後半の裁判シーンもあきさせることなく、
釘付けに・・・
「魔がさしたんだ」涙ながらに証言したエディの言葉が印象的でした。
そして監督の「彼らはいい選手だ」という一言にもぐっとこみあげるものが。(涙)
この事件を発端として野球界にもコミッショナー制度がもうけられました。
結局八百長事件に関して選手たちは無罪となりました。
しかし球界からは永久追放されてしまいます。
エイトメン・アウト・・・・8人の追放者たち、それぞれの人生はいったいどうだったんでしょうね。
選手達は
「俺たちは追放されるが賭け事を首謀した奴らはおとがめなしで裏でもうけている。
これこそ八百長じゃないか」
と怒っています。証言書が謎の紛失をしたりして、この裁判事態本当に八百長っぽかった。
WBCで盛り上がってますが、現在では安心して?ファインプレーが
見られる状況にあるのかな?そんなことちらっと思ったりして・・・
この事件の何年後かに名前を変えて3流チームでプレイしている
ジョー・ジャクソン。
いや、彼ほどの強打者がこんなチームにいるわけないよ。
野次馬達はそういいます。
それを見守るバック・ウィーバーはベンチでその選手の
プレイを静かに見守る形で本作はしめくくられます。
なんとも苦さの残る佳作だと思います。
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