『関心領域』


ここは楽園ね


ミッドランドスクエアシネマ2で観ました!



こんばんは🌙

映画館では後の方の席を選びがちですけど、たまに(空いてなくて)前の方の席に座ると、これはこれで悪くないな・・・と思ういちかです。

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基本的にお客さんの少ない映画を観がちだからね!


でも今回はさすがの話題作!

前の方しか空いてなくて、前の方で観てきたよ。

てか、シネマ1(超大作、話題作寄り)じゃなくてシネマ2(準新作、マイナー寄り)なことにびっくりした!

ということで、超適当な概要です。

⚠WARNING⚠

いつもどおり大したことは書いていませんが、一応それなりにネタバレしています。

あらかじめご了承の上お進みください🙇‍♀💦

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その日、誕生日を迎えたルドルフは


愛する妻ヘートヴィヒと、5人の子どもたちと、複数のお手伝いさんたちとともに幸せに暮らしていました。

都会の喧騒から離れた郊外に建てられた豪邸には


美しく手入れされた花が咲き誇る大きな庭があり


かわいいわんこや馬もいる


そんな幸せな、夢のような暮らし。
ですが、その家の隣には1枚の塀を隔てて-

この世の地獄が広がっていました



ということで、話題の超大作はアウシュビッツ収容所のすぐ隣の邸宅で暮らす、ナチス親衛隊SSの中佐にしてアウシュビッツの司令官だったルドルフとその一家を描いたお話だね。


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何だかとんでもなさそうな映画だ・・・


だけど、マシュマロちゃんが想像するようなことは何も起こらないよ。

いや、起こっているんだけどあえて見せない感じかな。

血の一滴だって映らない。


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どういうこと?


お話自体は幸せな暮らしを満喫するルドルフ一家の話なんだ。

妻のヘートヴィヒにしてみれば、ようやく手に入れた夢のような暮らしで子育てにも理想的な環境とのことだったんだけど、


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すぐ隣に地獄があるのに?


うん。

で、ルドルフの転勤(出世によるもの)が決まって引っ越さなきゃならなくなるんだけど、妻が駄々をこねた結果、ルドルフが単身赴任をすることになる。

それからしばらくして、ルドルフがもうすぐ帰れるかも!ってところで物語が終わる。

ただ、それだけの話なんだよね。


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???

何でそんな話が話題になるの?


地獄の描き方が斬新だったからかな。
さっきも言ったとおり、アウシュビッツという地獄を直接見せることはないんだよ。

『セブン』でさ


ジョン・ドゥの箱の中身をあえて見せないじゃん?
でも、箱の中に何があるかは当然分かる。
それがずっと続く感じかな。
確かにアウシュビッツの中は一切映さないんだけど、いたる場面で昼夜を問わず悲鳴や怒号、銃声が聞こえるんだよ。
あと、焼却炉の煙突が煙や時折炎を上げるのが見えるぐらいで。
そういうものを見聞きしながら、ルドルフ一家は毎日暮らしているんだ。

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うわ・・・

それが理想的な環境なの?

絶対にそんな暮らしは嫌だ!


この映画、人々の“無関心”を抉った〜みたいなことを言われているけど、“無関心”というよりは“見て見ぬふり”の方が相応しいんじゃないかな?
お手伝いさんも含めて、みんな見て見ぬふり、というか聞いて聞かぬふりをしている。
ただ、子どもは反応することもあるし、わんこもわんわん反応してたけど。

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そんな見て見ぬふりをし続けられるものなのかな・・・


①それが怖いところでもあるよ。

“慣れ”というか、それが当たり前になってしまった部分もあったのかもね。

だけどやっぱりそれは異常な環境で、途中でヘドウィグのお母さんが遊びにくるんだけど、結局そんな環境に耐えられずに次の日こっそりと置き手紙を残して帰っちゃったよ。

いちか的にこの映画で他に怖かったのは・・・


②自称“アウシュビッツの女王”こと妻のヘドウィグが、ユダヤ人をディスりながらも収容されたユダヤ人が身につけていた高い服や宝石をくすねていたこと。


高そうな毛皮のコートをゲット♪


後述することと矛盾してるんだけど、そんだけ憎悪し忌み嫌う相手のものをくすねるって、どういう心境なの?

1mmも分からん。


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物は別なんじゃない?

あまいものは別腹的な。


にしても、あさましすぎん?


③子どもたちと川で遊んでいたルドルフが、ユダヤ人の骨が流れてきたことに気付き慌てて子どもたちと家に帰る。

で、これでもかというぐらい全力で体を洗い、子どもたちもお手伝いさんに洗わせたこと。

やってること“えんがちょ”じゃん。


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そんだけ忌み嫌ってるのに、彼らが身につけていた物をくすねるのは確かに意味不明だ・・・


でしょ?

そんなことを国家総出でやっていたってことは、本当に恐ろしいと思う。


④新型焼却炉のプレゼンで、人間の単位を〜人じゃなくて〜体と言っていたこと。


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ナチュラルにユダヤ人を人間だと思っていなかったんだな・・・


日本でも731部隊が捕虜をマルタと称していたっていうしね。

人間だと思うと耐えられなかった部分もあるのか、本気で人間だと思っていなかったのか・・・

ただ、何故か後半のヘス作戦の話では〜人になっていたけど。


⑤ルドルフがパーティー会場を上から見下ろしながら「(ここにいる)全員を毒ガスで殺す方法を考えていた。 ここは天井が高いから理論的に難しい」と、とんでもない職業病を発症していたこと。


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常により効率的に人を殺す方法を模索していたのか・・・


やべえ殺人鬼みたいに自分の楽しさや快楽のためじゃなくて、あくまでも仕事としてこんなことを考えているのがヤバい。


『マーターズ』


の、組織の一員たちも、ルドルフみたいな人だったのかねえ・・・


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そんな映画といっしょにするなよ!

でも、そういう状況だったら、誰もがそうなっちゃうんじゃないの?


そうだろうね。

国や社会の大きな流れからはみ出てしまうと殺されてしまうって状況で、異常なことを異常だと言える人はほとんどいないと思うし。

わたしなんかは今現在そういう状況にはないから好き勝手なこと言えるけど、あんな社会であんな状況だったら、きっと見て見ぬふりすると思う。

誰でもルドルフになる可能性はあると思う。

でも、それでもせめて


『蝶の舌』のモンチョのお父さんみたいに


号泣しながらグレゴリオ先生を罵倒する人間ではいたいと思うけどね。

何もできなくて、最後の最後で保身に走らざるをえなかったあさましい人間だとしても・・・


で、ここから映画に対するイチャモンなんだけど


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つけるのかよ!

このまま終わればいいのに!


いつもは書かないことも多いんだけど、こういう映画だからこそ、こちらも思ったことを正直に書こうと思うんだ。

いちか的にはルドルフが転勤するところまでで終わっておけばもっとよかったと思うし、転勤後はあんまり「関心領域」じゃなくなってしまった気がするんだよね。

それから、これは本当に怖い映画だし、こういう映画は貴重だと思う。

過去の悲惨な戦争の記憶はどんどん失われてきていて、語り部も少なくなってきている。

そういう悲惨な記憶や記録はちゃんと残さないと、都合よく解釈されて極度に美化され利用されてしまう可能性がある。

だけど、この映画はちょっとアート方向に振りすぎている気がしたんだよ。

あんまり比較するのはあれなんだけど


『縞模様のパジャマの少年』


の方がキツかったし。

『関心領域』はわたしの感性がクソだし、さして知識もないってのもあるんだけど、ちょっと理解できない部分もあったんだよね。

唐突に差し込まれる暗視カメラみたいな映像とかさ。

けっこう実験的な作品だと思うんだけど、仮にこれがアウシュビッツを描いた作品じゃなかったらどういう評価になっていたかが気になってしまう。

総評としては、衝撃的な作品だし本当に怖い映画なんだけど、おもしろくはない(エンタメ的にではなく、ね)作品だったかな。

それでも一見の価値はあると思うし、機会があれば一度ご覧になってみてください。



それでは

今回もありがとうございました♡

バイバイ!またね♡

Salut(サリュ)♡