「手紙を書くと気持ちをまとめることができる」
と昨日のライブで日食なつこさんがおっしゃっていました。
それにあやかったわけじゃないけど、言葉にしてみました。


わたしは自分のことを限りなく黒に近い灰色だと思っています。
とはいえ黒にはなれなくて、どこまでいってもしょせんただの灰色。
そんなことを思いながら書きました。
何度も書いたことだし、またかよって感じだけど、もう少しだけ書きました。
愚痴ではないけど気持ちのいいことは書いていないので、遠慮なく戻ってください。
軽蔑されてもしょうがない、わたしの気持ち。
深淵に沈めるつもりだったけど、深淵もクソもないよな。


わたしはいわゆるMtFです。
ですが、身長178cm、体重62kg、足のサイズ26.5cm、
肩幅42cm、眉骨もごついし、顔も大きいし、女性的な要素は限りなく低いです。
それぐらいの女性なら別にいるんじゃない?
って思うかもしれないけれど、
実際に目にしてみれば、いかにわたしが女性からかけ離れているかがわかります。



マスクしてるからこんなもんですんでるけど、外したら大概だよ。


開き直った“ふり”をして、人目を気にしない“ふり”をして、
かっこつけた“ふり”をしているけど、本当は怖くてしょうがないです。
視線を感じることは多いし、目があって慌てて目をそらされることも多いです。
何気ない会話のなかで、「どこが女?」とか「おっさんじゃん」とか
「もう諦めろよ」と言われることも多いです。
一時は言われなくなったんだけどな。
気にしない“ふり”をして冗談や強がりをうそぶくこともあるけど、
やっぱり複雑な気分になります。
わたしは心の何処かでは人を信用しきれていないから、
「きれいになったね」とか「もう女の人じゃん」とか言われても、
やっぱり信じられなくて、ただの配慮だろ?なんて思ってしまいます。
ご時世もあるし。

結局どこまでいってもただのオカマ。
あの頃と同じ、韓国のオカマ。
いや、それ以下で、ただの髪の長い変態のおっさん。
それがわたしです。

会社でのカミングアウトというかやり取りが何だかんだうまくいっているのは、
単純にLGBTを邪険にしづらい業界だからです。
わたしは某新聞社の印刷工場の現場に勤務しています。
その新聞は左寄りの新聞ということもあって、
なおさらLGBTを邪険にしずらいところがあるのでは?とわたしは思っています。
だから表面上はともかく、腹の底では何を思われているかなんてわからないし、
そもそも現場ではあからさまにわたしを避けるようになった人も陰口をたたく人もいます。
ただ、わたし相手に迂闊に口を出すといつわたしに噛みつかれるかわからないし、
上記の理由で直接は言われないだけで。
わたしはそれをうまく利用しているだけにすぎません。

パス度とかを抜きにしても、
わたしが100%女性として社会に埋没することはあり得ません。
そもそもの話、わたしは韓国人なので日本の方のように性別を変更するどころか
名前を変えることすらできません。
しかも名前はどう聞いても男性名でしかありません。
ぶっちゃけ“友市”だからね。
そんな名前の女の人いますか?
韓国名を受け入れることができれば名前を変えることはできますが、
わたしは韓国人ということも受け入れたくはない。
散々嫌な思いをしてきたから、もうだめなんです。
本当の名字は蔡(さい)です。
韓国読みなら“チェ”だよ。
そんな日本人いますか?
チェ・ゲバラの“チェ”は
「おい!」っていう呼びかけに使う言葉で愛称みたいなもんだからね。
でも、わたしのは本名。
名前だけなら、“蔡(チェ)市佳”にならなれるのに、
それを受け入れられることもできないんだから本当に身勝手で救いがない。
帰化申請だって、ほぼ間違いなく通らない。
一族に犯罪者、というか反社会的な人、
ぶっちゃけヤクザなのかマフィアなのか知らんけど、そういう人も何人かいる。
無理だよ。

何がいちかだよ。
どんなに見た目が完成されたとしても名前も性別もそのままでは、
あくまでも男でしか有り得ないし、そもそも見た目も無理だからね。
正直どうにもならない。
八方塞がり。
性同一性障害でも性別違和でも呼び名はなんでいいけど、
本当にこれはわたしにとって呪いだよ。
そこに韓国籍という、あくまでもわたしにとっての呪いが合わさり、
わたしの呪縛となった。
ここに精神病でも合わさっていたら、多分もう首を括るしかなかっただろうな。
それが良かったのか悪かったのかはわからないけど。

そんなことは最初からわかっていたのに、
それでも多少の夢を見て女性化を始めたわたしは本当に馬鹿だよ。
それなりの大金を入れていっちょ前に手術の予約までとってさ。
もちろんわたしは自分の体に嫌悪感があるから、
やること自体は間違っているとは思わないし、やりたいと強く思う。
でも、なりたいものになれないのがわかっているのに、
そんなことをするのは滑稽だとも思うし、そう思われても仕方ないとも思う。
“おばさんのようなもの”っていうのは結局ただの強がりだよ。
精一杯の強がり。
現実はただの韓国人の変態のおっさん。
この先わたしはどうなるんだろう?
このままでもどうなるかわからないけど。
本当にクソのような人生だし、クソな未来しか見えない。
進むも退くも留まるも全部クソ。

わたしも時々LGBTに関して、
というかTの中でもMtFに対して好き勝手言うことあるけど、
その根底にあるのはただの嫉妬なんだよ。
あなたたちが羨ましくてしょうがないし、妬ましくてしょうがない。
キラキラと輝く人はもちろん、闇にまみれた人ですらも。
少なくとも変わろうすれば変われる可能性があるんだから。
わたしなんかよりはるかにハードルは低いよ。
わたしは優しくなんかない。
知的なんかじゃない。
ただの妬み僻みの塊だよ。
他人と比べてもどうにもならないことはわかっている。
それでもわたしと代われるものなら本気で代わってほしい。
わたしに優れた部分があるのかどうかわからないけど、
わたしの良いところ全部をあげるから代わってほしい。

本当のところ、社会に迷惑をかけて狂わせるのはわたしなんだと思う。
自分勝手な主張を無理矢理押し通そうとするような人たちではなく。
そして、そんな人すらわたしは妬ましくて仕方がない。
救いがない。
消えるべきはわたしなんだよな。
そんな勇気はないから、何かに依存して目をそらしているだけで。
何が佳境だよ。
ここはただわたしが目を逸らすための場所でしかない。

こんなことを書きながらも、何食わぬ顔で明日は映画のお話をのっけて、
ライブのことをおしゃべりするんだろうな。
へらへら笑いながら。
ずっとそうやってきた。
結局ずっと何も変わっちゃいない。

救いなんかないし、少しでも夢なんかみなければよかった。
後悔はしていないし、このまま終わるつもりもないけど。
もちろんわたしなんかよりずっと苦しんでいる人はたくさんいると思う。
でも、少なくともわたしよりはなりたいものになれる可能性があるはず。
だから、せめてあなたたちを応援させてほしい。
そして、わたしにあなたたちを嫉妬させてほしい。

だめだな。
やっぱりうまくまとめられないな。
自分の思いすらうまく言葉にできない。

そういえば、昨日ライブ会場に向かう際の車の中で、
久々に日食なつこさんの『エバーシルバー』という曲が流れました。
ライブでは聴けなかったけど、いい曲だと思います。


『エバーシルバー』
光に向かい行く者は 一足ごとに振り返るんです
後ろに伸びる長い影 いつになったら切り取れるんです

光に向かい行く者を 遠目に眺めるあたしなんです
影と戦う人々を 指さしながらもうらやむんです
見えなくなったその残像が ただただ 黒い

取り残されたこの場所に 暗い明るいの境はない
影に終われるおそれもない かわり照らし出されることもない
いつも曖昧な輪郭だって 明日が見たい

灰色 なんて呼ばれた 光の当たらぬ場所で
あたしは光になります その名前はエバーシルバー

光に向かい行く者は いつか己も光になる
なんてことも知らずあたしは あの夜あたしを見捨てた
あなたのように燃え続ける 火力はもうないけれど

灰色 さらには一瞬 それでも確かにここで
あたしは光になります いや違うね

灰色 なんて呼ばせない 見たんだろう
ひるがえったそれがあたしです 銀色になった
Never gray, I'm ever silver


わたしはきっと光にはなれないし、きっとずっと灰色のまま。
だから、あなたたちは

どうか光に、銀色になって。