今日は『ベルファスト』という映画のお話をのっけましたが、

少し誤解を招いてしまう書き方だったかなと思い、反省しています。

確かに宗教観の対立(プロテスタント対カトリック)により、

分断が引き起こされる物語ではあるんだけど、

決して終始重苦しい雰囲気が漂う殺伐とした物語ではありません。

主人公の少年バディとその家族の日常がメインとなった物語です。

なので、もしご覧になられる際は、そこまで身構える必要はないでしょう。


で、バディが暴動に巻き込まれて、略奪が行われるスーパーマーケットから

洗剤を持ち帰ったところお母さんは激怒して、バディといっしょに

略奪が行われている危険なスーパーマーケットに行って


「棚に戻しなさい!」


と一喝するわけで、それがとてもかっこよかったと書きました。

わたし、このシーンを観たときに、あれを思い出したんですよ。

伊坂幸太郎さんの小説、確か『魔王』の中で語られていたエピソードを。


本当のことかはわからないけど、イタリアの独裁者だったムッソリーニが

処刑をされた際に、いっしょにムッソリーニの恋人も処刑されたそうです。

で、その遺体が逆さ吊りにされるんだけど、ムッソリーニの恋人は

スカートを履いていて、風やらなんやらのせいでスカートがめくれて

下着があらわになってしまったそうです。

それを見ていた観衆たちは下卑た笑いを浴びせたそうですが、

そんな中で一人の青年がムッソリーニの恋人の遺体の側に行き、

スカートがめくれないように留めてあげたそうです。


多分、ほとんどの人はそんなことできないと思います。

で、『ベルファスト』の比較として『蝶の舌』をあげたんですけど、ほとんどの人は


グレゴリオ先生にお父さんがスーツを仕立ててあげたことは絶対に言っては駄目よ!

と釘を刺すモンチョのお母さんにしかなれないと思います。

ギターを教えてくれた店長が出てきたのを見て、

言葉を無くし固まるお兄ちゃんにしかなれないと思います。

グレゴリオ先生の姿を見て、号泣し、

それでも罵声を浴びせざるをえなかったお父さんにしかなれないと思います。


「棚に戻しなさい!」と一喝するバディのお母さんにはなれないし

スカートを留めた青年にはなれないし、

胸引き裂かれる思いで叫んだモンチョにはなれないと思います。


だから、本当に陳腐な言葉になってしまうんだけど、

他に言葉が見つからないので敢えて言うと


そういう人は本当にかっこいいと思うし、

そういう人に憧れます。


ということで『ベルファスト』というお話、


機会があれば、一度ご覧になられて下さい。


というようなことを、ぐだぐだしゃべって、だらだら書いています。



次回予告



新天地にはきっと明るい未来が···



こんな未来を望んではいなかった···

桃色のディストピア!


※事情により予定を変更する場合もあります。