※今回、しゃべっていることと書いていることが全く異なります。

本当は別にしたかったけど、面倒くさいのでまとめましたw


ちなみに書いたことはフィクションです。


あくまでフィクションですからね!



長いから遠慮なく戻ってくださいね




どこにでもいる、ある低俗な人間の名前に関するお話をしましょう。

その人間はとてもちっぽけでみっともなく、限りなく黒に近い灰色をしているといいます。

実在するその人間の名前を借りて、このお話を書きました。


『市佳』


という新しい物語です。


今日は来てくれてありがとう。




以前友人から、

「名前は変えないの?」

と聞かれました。

「多分替えられない。名前を変えることすら、

他の人と同じようにはいかないんだよね」

私は言いました。

「だから、他の人が羨ましいし、妬ましい」

とも。

「じゃあさ、仮に名前をつけるならどんな名前がいい?」

と聞かれ、そのとき初めて考えました。

私の名前。

私の名乗りたい名前···

一体何がいいんだろう···



本来自分の本当の名前は他の誰かに決めてもらうものです。

それは親かもしれないし、姓名判断とかそういう類の人かもしれません。

自分で自分の本当の名前を決める人というのは極々一部だと思います。

そんなことを考えられるのは中々出来ない経験だと思います。

(なんだか新鮮で楽しいな)

と私は思いました。

(子どもの名前を考えるときも、こんな気持ちになるのかな?)

と、ふとそんな私には縁のないことを考えたりもして。

でも楽しくて、心地よかった。



結局その場では名前の候補すら出せずに、

それからふとした拍子に自分の名前を考えるようになりました。

私の本当の名前はいかにも男とでもいうような名前で、かつ古風な名前です。

漢字こそあまり使わない文字の組み合わせだったとはいえ、

その名前の響きが幼い頃からずっと嫌でした。

せめて中性的な名前であればよかったのに···

漢字は違うけど、同じ名前の有名人がニックネームのような感じでその名で呼ばれ、

それに便乗するかのように私は名字ではなく名前で呼ばれるようになりました。

私はその有名人を目にするのも嫌なぐらい嫌いになりました。

そんなことですら私は簡単に人を嫌いになることができてしまうのです。

おそらく嫌がる人は少ないと思います。

でも、私は嫌だった。


(私をその名前で呼ぶな!)


たとえ親しみを込めてその名前で呼ばれたとしても、

それだけで私は拒絶してしまう、心の狭い人間でした。

未だに本当の名前で呼ばれると、言葉にできない複雑な気持ちが湧き上がります。

きっとその時は、

ただでさえ鋭くて可愛げのない目がほんの少し鋭くなっていることでしょう。

まるで自分を嘲笑われているかのようで。

目を逸らしたい現実を突きつけられているかのようで。


その名前で私を呼ぶな。

うるさい、黙れ、と。



色々な名前が浮かんでは消えていく中、

あるとき、私の中で一つの候補が浮かびました。


“いちか”


(私が思いついたにしてはいい響きの名前だな···)

自分自身はそう思いました。

少し変な名前かな···?

とも思いましたが、調べてみると実は人気のある名前なんだそうです。

それから私は自分のことを“いちか”と呼ぶようになりました。

私が勝手に。

私の心の中で。



病院のカウンセリングを受けた際に、

「名前は決めているの?」

と聞かれ、そこではじめてわたしは他の誰かに自分のことを“いちか”と名乗りました。

「いい名前だね。いちかさん。漢字はどう書くの?」

と聞かれ、

「まだ決まっていないんですよ」

と答えました。

「一に花とか華とかいいよね」

なんて話を少ししましたが、私は正直上の空でした。

私が自分で決めた自分の名前を自ら名乗り、

それを他の誰かに呼んでもらえたのがうれしかったから。

少し照れくさかったから。

それは小さくて、些細なこと。

今までに感じたことのない喜び。



本当は漢字は決めていました。

でも、まだその名前を名乗るべきではないと思ったから、私は言わなかった。

それは今の私にはあまりに重すぎるから。

私を縛り続けている名前、ひとつの呪い、そこから文字を一つ取りました。

結局、全てを捨てる勇気はないから、理由をつけてしがみついている。

今までの全てを否定してしまうと、本当に何も残らない気がして。

否定したいけど、それを忘れては絶対に駄目だという戒めを込めて。

お前はしょせんその程度の人間だという戒めを込めて。



“市”


〇〇市、市場の市。

どちらも人の集まり、賑わい。

交流。社会。移り変わり。

わたしには似つかわしくない文字。

だけどそれらは人が去っていく場所でもあり、その意味では私に相応しい文字。

相反する意味を内包しているかのようで、私には相応しいとも感じたから。

呪いであり、戒めであり、相応しくもある文字。

そこにもう一つ意味を込めて。



“お市の方”


美しく、聡明だったと言われるお市の方。

わたしからはかけ離れた存在。

だからこそ、そうありたいというおこがましい願いを込めて。

同時に波乱万丈な生涯だったと言われるお市の方。

おこがましいけど、ほんの少しだけ自分を重ねて。



そして、“か”には私にはない文字を選びました。



“佳”


佳作の佳、佳境の佳。

優れた、めでたい、美しさ。

どれも私にはないもの。

それゆえに、そうなりたいという祈りを込めて。

そうして出来た名前。



“市佳”


今はまだ“いちか”に留まるけれど、

いつか私が私なりに納得したそのときは“市佳”を名乗ろう。

そして、もしも変えることができたのならば、

そのときは“市佳”を本当の名前にしよう。

私が自分で決めた、この名前を。

呪い、戒め、願い、祈り···

それらを込めた、私には相応しくなくて、相応しくもあるこの名前を。

そんなときは来るのだろうか?

きっと来ないだろう。

だけど、

それでも、

ほんの少しだけ夢を見ることをどうか許してほしい。

ほんの少しだけ淡い希望を持たせてほしい。



どこにでもいる、ある低俗な人間の名前に関するお話。

その人間はとてもちっぽけでみっともなく、限りなく黒に近い灰色をしているといいます。

実在するその人間の名前を借りて、このお話を書きました。



もしも願いが叶ったその時は、きっとここでの名前も変えるでしょう。

新しい名前。

何がいいだろうか?

···

······

·········


············



アンジェラ?(笑)


No more! no more! This pain must end!!


アンジェラ姐さんはわたしの永遠のヒーロー!!


今日は来てくれてありがとう♡

バイバイ♡