北斗現れるところ乱あり!
これはかの名作〝北斗の拳〟の名言なのだが
この言葉はかっぱ三郎も例外ではないだろう。
「意外に思うかもしれないが、私はほっともっとの弁当が好きなんだ。」
かっぱ三郎は、かつて僕のインタビューにこう答えたことがある。
かつて人類の祖先が弁当というものを知ったとき、彼らは狩猟や収穫の喜びを祝う祭祀において、ほっともっとを用いたに違いない。
自分の感性を信じて弁当を買う。だから面白いのである。
~中略~
キッズよ、冒険しなさい。そうすることによって、自分の感性は磨かれていく。
どこかにマニアックな精神性を残しておくこと。これが意外に重要だ。
「この前もほっともっとに行ったんだ。」
悪魔の黒い洗礼を受けたかっぱ三郎と、天使の化身ほっともっとの激しい戦いは、ここにヘヴィ・メタルの“美”を完成させた!
「そこでティーンエイジャーと思わしき女性店員がこう言ったんだ。」
「ご飯無いんで、おかずのみの注文になります。とね。」
退廃の湖の中で平然と水浴びをしているようなこのほっともっとのアティテュードは
古臭くて現代的という大いなる矛盾を抱えながら、手加減することなくかっぱ三郎の心の中に遠慮なく入り込んでくる。
「え?今炊いてるって事?そう聞いたのさ。そしたら」
「いえ。このお店にはお米がありません。」
かのイーグルスの名曲〝Hotel California〟に
1969年からそのお酒はありません
という有名な歌詞があるが
ソレを彷彿させる言い回しだったとか。
「じゃぁサンエー※注で米買ってきたら?と問うたら」
「ほっともっと指定のお米以外提供出来ません。だとさ。」
※注 沖縄県のローカル大型スーパー。2022年県内企業売上高ランキング1位
ほっともっとがどういうお店であり、彼らがどんなことを考えているかは、僕にはよく分かる。
彼らとはそういう付き合いをしてきたつもりである。
彼らのニューアルバムが『KEEP THE FAITH』だとなった時、実は唸りながらもその背景に見えるものがあった
「お米が無いのは彼女のせいじゃないのはわかっているよ。だから彼女の言う通りにしたんだ。」
「というか、そもそも家でご飯は炊いてたからね(大爆笑)」
かっぱ三郎が依然として新鮮な気持ちで「Dream On(ご飯炊いたよ!)」と叫べるのは、その純粋な心に忠実だからである。AEROSMITHに感動したファンもまたしかりである。
「しかし、どう考えても弁当屋でお米が無いってのは無理があるんだ。」
「例えれば、風俗で嬢がいないのと同じ事だよ!」
ソリッドで、最高のサウンドを得るためにはライヴ(60分15000円)をダイレクトで録音することだ。
ライヴ(60分15000円)に絶対の自信を持っているバンド(風俗店)は常にそう考えている。
それは嬢不在の風俗店も例外ではなかった。
「いつも私はからあげと野菜炒めを食すんだけど」
「通常からあげ4個入りなんだが、今回は6個入ってたんだ。」
「そういう心遣いにやられたね。」
今僕はからあげ6個という文字を心の中にしっかりと入れ墨をした。
人知れずその入れ墨を思い浮かべては、そっとその名前を口ずさんでみる。
か・ら・あ・げ・6・個。素敵だ。
陽炎のようにあのからあげ6個が舞う。
色褪せることのない想い出と、消えることのない伝説が、今、目の前で深く刻み込まれていく。
そこに、かっぱ三郎はたしかにいた・・・・・・
【’23.6.1 伊東性測/SEI-ITOH】
えっと、元ネタ知ってる人いるのかな?