あのかっぱ三郎が新しい機材を購入した!との情報が何故かロイター通信から届いた。

彼がそこまで大物になったという現実に私は膝が震えた。

 

 

それと同時に意図せず涙がこぼれたのは私が年老いたから。という理由だけでは無いはずだ。

兎に角、私は彼のいる沖縄県へ飛んだ。

彼はまた靴流通センターへ来るようにと指示した。何故靴屋でインタビューするのか?

そんな疑問を掻き消す程、私は期待に胸を膨らませた。恐らくFカップほどはあっただろうか。往年の細川ふみえのソレだ。

 

 

 

すれ違う人々の視線が痛い。私を見ながら何処かに電話を掛ける人もいる。何故か遠くからサイレン音が聞こえる。

さぁ早く彼の待つ靴流通センターへ急ごう。というか逃げよう。

 

 

 

 

 

―――お久しぶりです。

かっぱ三郎(以下k)・・・・・・。

―――どうされました?

k:フーミン!

―――ち、違います・・。似てるけど違います!

k:あ、あぁ・・。すまない。フーミンは私が中学生の頃にお世話になってね・・。

―――お会いされた事があるんですか?

k:いや、そういうワケじゃないんだ(苦笑)しかし私は常にフーミンの事を考えていたよ。

―――そうですか。本題に移りますが、機材を購入されたそうで?

k:ああ、HeadRush Gigboardというアンプシミュレーターさ。

 

様々なアンプやエフェクターがモデリングされている。再現度もこの価格帯にしては中々リアルという話でね。

しかしその元となったアンプやエフェクターを私は一切使った事が無いんだ(笑)

―――使用してみての感想は?

k:タッチパネルで操作するというのが新しい試みじゃないかな。技術は日々進歩していくからね。

でも正直難しいよ(笑)というか非常にやりにくい!エディターとかも無いし!画面見ながらチマチマ操作や設定しないといけないのよ!

スマホも嫌いなのに!なんなのよもう!踏んづけちゃうんだから!!

―――(何故オネェに・・。)

k:すまない・・。すっかり取り乱してしまったね(苦笑)でも音は非常にクールだ。しかし私的に難点があってね。

―――?

k:激歪みが苦手な様でね。こんな時はやはりコンパクトの方が優れているなと心から思うよ。

時には激しい音を刻みながら自分の世界に入るのも必要なんだ。女性を相手する時のようにね。

―――そうなんですか?

k:そしてこう言われるんだ。「オメェAVの見過ぎなんだよ!」ってね(爆笑)

―――言われた経験は?

k:(長い沈黙)・・・・・。こういう発言は控えたいんだ。何故なら私はファンの悲しむ姿を見たくはないからね。

―――(オメェから振ったんだろうが)

k:・・・・・。OK分かった。白状するよ。そう言われた事は無い。というかそういう事になった事も無い。分かるかい?

―――(コイツ童貞なのか・・・。)

k:でも今日の君を見てると、そういう事になる気がしないでもない。ねぇフーミン?

―――ねぇムーミンみたいに言わないで下さい。機材の話をしましょうよ。

k:分かった・・・。白状するよ。この機材、使いにくくてあんまり使ってないんだ。だからよく分からないんだ。

―――(絶句)そ、そうなんですか・・・。

k:テキトーに操作してもそれなりにイイ音が出るからね。少なくともラ〇ン6よりはね。

―――せっかく手に入れたのに、もったいないとは?

k:今日一か月振りくらいに電源を入れたよ・・・。機材にも心があるからね。せっかくだから使い込んでみようかな。

―――是非使って下さい。

k:ありがとう。目が覚めた気がするよ。まるで幕末高校生の最終回のようにね(笑)

―――幕末高校生?

k:知らないのかい?フーミン主演のドラマさ。

―――本当にありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はフーミンの曲を聴きながらバスロマンの風呂に入り今後の身の形振りを考えていた。■■