演劇人生 -136ページ目

演劇人生

今日を生きる!

日中の暖かさは何処へやら、
肌刺す寒さを感じながら、自転車のペダルを踏んだ。

新宿から四谷を回り赤坂を目指す途中、
信号にかかり「うぅ・・・寒くなった」呟きながら、
向かいの舗道に眼を移すと、
腰に手をおき、背伸びをしたような格好の男を見た。
「うお~ッ!」男が吠えた。
信号が変わり道を渡ると彼のすぐ横を通る。
足もとにボストンバッグとショルダーバッグが置かれていた。
脱いだ上着がボストンの上にあった。
「うお~ッ!」
又吠えた。
「どうしたの?」
と声をかけたが、彼には届いたのかわからない。
再び、
「うお~ッ!」
と吠えた。
「大丈夫?」
もう一度声をかけた。
一瞬だが、ぼくを見た。
これは確実だ。
彼は、たとえ見なかったと言おうが、絶対に見た。
だが、彼はぼくの問いを無視して、また吠えた。
「うお~ッ!」
「やめた」
ぼくは心に呟いてペダルを踏んだ。

紀尾井坂をおりて赤坂に出た。

その途中、高村光太郎の書いた詩を思い出した。
「犬吠の太郎だ」
犬吠といえば、坂東太郎、利根川の河口にあたる。
その岬に知恵遅れの男がいて、
吠えているという詩だったと思う。
気の触れた智恵子とともに犬吠を歩いた時に出会った
情景を描いていたように思うが、おぼろげにしか思い出せない。
犬吠の太郎は何に吠えていたか思い出せないが、
今の男はどうなのだろうか・・・
おれを無視して、呼びかけに応えもせず、
何に吠えていたのか家に帰り着くまで考えていた。

家に帰ったら、テレビに、
北野タケシ氏が、フランスの芸術文化勲章、
コマンドール勲章受賞のニュースが流れていた。
「まさか、これとは関係ないだろうなァ・・・」

ふるさとを離れて暮らすメンバーが
年に一度集まる、関東天童会。
ふるさととは・・・山形県天童市です。

天童からは市長をはじめ市議会議長など30数名。
上京して数十年経ても、一向に直らないナマリが飛び交う。
昨年から司会をつとめています。

宣伝になりますが、市で農業に携わる若者達がつくった
連絡協議会Aanzadaのニュースをちょっと・・・

先ず、「あんつぁだ」とは「兄貴だ」とう意味。
兄貴でも、ちょっと敬意を込めたいいかたがコレ。
馬鹿にしたりした言い方は、「あんにゃ」と言います。
10代から30代の若者が集まって、
天童の農産物の全国直売や、

食農教育、環境保全活動を進めていくそうです。



携帯のカメラで全員入りきらず半分ずつ・・・といったら、
後ろ向きもいる統率のなさ・・・
こんなもんです・・・!



天童といえば、将棋の駒、温泉、さくらんぼ等のフルーツが名産です。

ふるさと・・・やはり父と母、そして、やさしさでしょうか。
ふるさとということばには、その響きがあります。

年に一度の集まりにやってくる人それぞれの心に、
ふるさとにしかない、やさしさを手繰り寄せたい気持を見たように思います。

なんとなんと・・・
この年で誕生会をしていただけるとは・・・
涙が出るほど嬉しい一日になりました。



BOIZWLシャンパンのロゼで乾杯!



手前左から、もずく酢、くじらの軟骨味噌 ネギのぬた、
わかさぎ天ぷら、寿司、菜の花、沢庵、パスタ、なめこおろし・・・etc.
後に、ハマ汁、たこ焼き、今川焼き・・・・
飲み物はシャンパン、バーボン、コニャック、梅酒、
かりん酒・・・コーヒー、紅茶、お茶・・・・
美味しい話の盛り合わせ・・・
そして、明るく屈託ない笑い声!
ご馳走さまでした。

知人からの電話の中で、友人が、
とうとうリストラになったという話があった。
20年勤めてきた製造の仕事だったというが、
取引の親会社から、会社ごとのリストラらしい。

経済的な問題もさることながら、
精神的ショックが心配のようだ。
「闘い続けてきたが、敗北した」
とガックリしているらしい。

「敗北」ということばでは、
ぼくの心に残っている一文がある。
ヘミングウェイの「老人と海」の中にある。
スペンサー・トレーシーが老漁夫を演じた
映画もあるが、
2日の格闘の末、舟をしのぐ大魚を捕獲する。
しかし、ハバナ港に帰ってくるまでに、
魚は食いちぎられて残骸になっていたという、
やりきれない話だったと記憶している。

そのなかで、
人間は敗北するようには出来ていない。
たとえ滅ぼされても、敗北はしない。
このことばだ。


ヘミングウェイがノーベル文学賞を受賞したのも
この「老人と海」がきっかけではなかったかと思う。

ぼくも時々、このことばを口ずさむことがある

その友人もショックのあまり、
敗北を口にしたかもしれないが、
立ち直って欲しいと思う。