続・我輩は犬である(2) | 演劇人生

演劇人生

今日を生きる!

名前のことでもう一つ。

すでにお知らせしたが、

我輩は野良・・・といっても神宮外苑の一角で拾われたのも、

まだ1歳にもなっていなかったので、

「野良」という仕分けられ方にはいささか抵抗がある。

しかし、主人も野良からイメージした「人形の家」のノラを基にして

作者のイプセンを我輩の名前にしたのには間違いのないところである。

主人が演劇人でなければ、

ポチとか太郎とかのありふれた名前になったかもしれない。

それを思えば、幸せだといえるような気がする。


ところで、もし我輩が猫だったらどうだろうと思うことがある。

アメリカの短編小説作家で有名なO・ヘンリーの名前が、

拾って来た野良猫の名前らしいから、

もしかすると「ヘンリー」になっていたのではあるまいかと思ったりする。

ヘンリーでは何処にでも転がっていそうな名前だし、

犬でよかったという気持ちは変わらない。


ギ~ッ!!!

車の急停車音と同時だった。

「キャ~ッ!」

女性の悲鳴が響いた。


「やったな?」

咄嗟に我輩の脳裏をかすめたのは、

「仲間がはねられた」

という思いだった。


悲鳴を上げたのは飼い主だと分かった。

「ヨドっ!」

飼い主の奥さまが涙声でヨドの名を呼び続けていた。


我輩の住まいからは、詳しくは見えないが、

その光景は想像できる。

「ヨドちゃんは大丈夫だろうか?」


続く・・・