一日一日、
精神と肉体がぴったりフィットしていることは滅多にない。
今日は朝から都内を走り回った。
・・・といっても自転車でだが。
期限ギリギリの原稿を届けたり、
料金未納で、
「お客様の都合で・・・云々」というメッセージを解除したり、
大事にしていた遺品のシルバーのモンブラン万年筆、
ブラックとブルーの、やはりモンブランのボールペン一本ずつ、
ウォーターマンのボールペン・・・等々、
ペンケースごと落として、警察に届けに行ったり、
送る約束をしていた書物を、
エッチラオッチラ セブンイレブンに運んだり・・・
まぁフルに動いて帰宅したが、
その道すがら自転車のペダルを踏み踏み考えた。
おれは何故生きているのだろうか。
何故、この年になっても演劇などに夢中になっているのだろうか。
一度、役所に相談にいった。
「金を貸してくれませんか」
「食えないの?」
だったら劇団などやめるのが先決でしょうと言われたことがある。
「生きて行こうとしたら、先ず食べなきゃ」
「何故食べるんですか?」
「生きるためよ」
「何故生きるんですか?」
「命をつなぎとめるためよ」
「何故命をつなぎとめるんですか?」
「生きるためよ」
このような問答をしたのを思い出す。
演劇をしているのは、演劇がぼくの生きる道だだからで、
生きるとは、この道を歩くことなんですといっても通じなかった。
「それをやめろというのは、道を捨てろということですか?」
生きる道を捨てて自殺しろってことですか、
と言ってはみたものの、脅しているように感じて、こっちが折れた。
「演劇はやめませんが、何でもして働きます」
「明日の飯を食うために働きます」
だから何でも仕事を下さい・・・これは惨めな気分です。
誰かに「挫折を味わったのね」
といわれたが、これは挫折ではない。
挫折をしたら首を括っていますもの。
こんなことを思い出しながら、
神宮球場、青山一丁目、乃木坂、六本木と回って、
帰ってきた。精神と肉体がピタ~ッとフィットした瞬間は、
何と、美味しいレトルトパックの赤飯を頬張った時だった。
だからぼくの中で
プツ~ゥン!
という音は、まだしていない。