俄かに読まれるようなった「蟹工船」
このような記事が新聞や雑誌を賑わしたのは4年ほど前でした。
臨時雇いのような雇用関係から、
景気が下向いた途端に容赦のない派遣切りが行われた。
マンガ喫茶やロストハウスが公園等にあふれかえった。
不要になった労働者が、
使い捨て労働力として首切られる・・・
「蟹工船」に描かれた悲惨な雇用状態を髣髴とさせる現状に、
口から口に伝えられて生まれたリバイバルだったのだと思う。
当時の蟹工船内起きた死亡事件記事
このような事件が相次いで起きていた
上演する「母」は、
この多喜二の母セキの物語である。
小説家の息子を持ちながら、
学校にも行けずに育った母セキは字を読めなかった。
なんとも皮肉な話だが、
当時の女性で字を読めたほうが珍しかったかもしれないのだ。
多喜二は、その生活の中から、
たくましくも優しさに満ちあふれた母の姿を目の当たりにして育った。