
私は小粒 派!
ソムリエ・・・
本来は、食事にあったワインを選んで
お客さんに提供する資格者をいうらしい。
フランスでは国家資格だそうだが、
最近は○○ソムリエという名称がやたら目につく。
だったら、わが国の食文化を代表する納豆吟味の
国家資格として納豆ソムリエがあってもいいかも・・・
ところで、自称納豆ソムリエ、
最近極上の納豆を発見したそうである。
その納豆は菌糸よし味よしだが、
食べたところが某牛丼店・・・
何度も「美味い!」を繰り返しても誰も注目しない。
「この納豆は美味いッ!」
と、具体的商品名を口にすると、
冷ややかな眼が返ってきたという。
そして耳に入ってきたのは・・・
「牛丼店で納豆美味いとはバッカじゃねェ?」
という衝撃的なささやき声だった。
そうか・・・納豆ソムリエは一つ大きな過ちをおかしていた。
牛丼ソムリエの資格を持っていなかったのだ。
だが彼は最後の抵抗を試みた。
「牛丼を売る店が、これほど美味しい納豆を、
何処から仕入れているんだね」
この問いが発せられると、
数人の客が、「アラカルトで納豆一つ」
と注文の声を上げたのである。
その数分後、
「これは美味い」
「確かに美味い」
その声に慌てたのは店員だった。
俄かに冷蔵庫に走り何かを調べ始めた。
納豆ソムリエは小さな笑みを浮かべながら、
「この製造元を調べてくれないか」と、
店員の背中に問いかけた。
数人が同調した。
「ね、何処の納豆?」
答えは「不明!」である。
納豆ソムリエは、
「これほど美味しい納豆は何処の店舗を探してもなかった。
製造元を調べておいてくれないか」
こういうと、お金を払って出て行った。
確かに、某牛丼店の納豆は、
何処のスーパー、食料品で売っている
納豆よりも美味かった。
その・・・豆は小粒であった!
あの納豆ソムリエが、その店を再訪したか定かでない。
我輩も、
あの納豆が何処で作られたか、
その店の前を通るたびに、
気になって仕方がないのである。