三浦綾子 | 演劇人生

演劇人生

今日を生きる!

先週の土曜日、

三浦綾子さんのファンのオフ会、

「光綾の会」の会合50回を迎えて、

ささやかなお祝いの会が催された。


私達の劇団も、

三浦綾子さんの作品の劇化を中心課題にして

演劇活動を続けている関係で、

9年前からお付き合いを続けている。


・・・といっても、

三浦綾子さんといえば熱心なクリスチャンだったので、

劇団も伝道を目的にしているように思われるが、

劇団員にクリスチャンは1人しかいないし全く違う。


三浦綾子さんは、戦時中小学校の代用教員から、

正規の教員となり、懸命に戦時教育に携わった。

子ども達に天皇の民としての教育を叩き込んだ。


そして迎えた敗戦。


自らが青春の情熱をつぎ込んだ教育が、

欺瞞と過ちに満ちたたものであったことに直面し、

その空虚さに気付いた彼女を悔恨と病に突き落とした。


結核に冒され、脊椎カリエスを病み、

7年間のギブスベッド生活を送ることになる。

その病が癒やされて後も大腸癌や心臓病等々に

悩まされ、病気の問屋とまで言われながら、

朝日新聞の懸賞小説に応募した「氷点」が選ばれ、

小説家の道を歩み始めた。

劇団生活
私達は、その生涯の殆どを、

命と向き合い生きてきた彼女の作品の全てに、

生きることの大切さ、

命の尊さの説得力の強さを感じたのである。


キリスト教に救いを求める読者もあるだろう。


ぼくは、命を授かり、今を生きているということを

自らに感じることに、すでに救いを求るべきは、

それは自分の存在なのであるという考えをもっている。


そして、その存在は身近に在る多くの人々や、

手にするあらゆるものによって育まれ、養われ、

成長し続けて今を生きている・・・

そう思うのである。


この夏、

野方区民ホールで「壁」を上演する。

これは、三浦綾子の「壁の声」を脚色したものだ。

ここでは、ぼくもみんなも、全て善人にであると同時に

罪人ではないのかという疑問を呈したいと考えている。


劇団生活

折りしも、裁判員制度1年である。

そして、三浦綾子さんのファンの集い50回の年である。

日本だけではなく世界の国々は混乱に満ちている。

きな臭ささも感じられる。

人間は、何故、人間として生きることを放棄したい

衝動に駆られるのか・・・

もっともっと、真剣に考えていいのではないだろうか。