電話が来た。
「化け猫のお芝居書いてくれる?」
「う~ん・・・」
返事を濁した。
「劇場をおさえますから」
なお更返事に困った。
「その猫、どうして化け猫になったの?」
「猫じゃなく、人が化け猫になるの」
「どうして?」
「猫にのり移ってね・・・」
「自分の可愛がっている猫とかに?」
「その辺はどうでもいいの」
いよいよ分からなくなった。
「今なら劇場おさえられるのよ」
支離滅裂になってきた。
以前、入江たか子さんという女優は
化け猫女優と言われていた。
華族出身だったそうで気品があったという。
原節子、山田五十鈴と並んで
日本女優三大美人の一人と言われたらしい。
あまりにも美しすぎる女優さんだったようで、
それがもとで化け猫にされたという話もある。
「わたし入江たか子さんみたいに
なりたいのよ」
・・・といわれるに及んで、
「ぼくには書けない」
というと、
「また電話するからね」
と、切られた。
・・・さて、また来るのかなァ