見えない方がいい幽霊 | 演劇人生

演劇人生

今日を生きる!

ブログネタ:怖い話、教えて!! 参加中
本文はここから

幽霊・・・
ある香りとともに現れるのだが・・・
いや、
最近は見えなくなったのでこころ穏やかだが以前はよく見た。

よく心霊スポットといわれる場所があるが、
たいていは危険度の高いところ・・・現れやすいところだ。

墓地ではほとんど見たことがない。
最近は夜中に青山墓地を抜ける道を自転車で通るが、
絶対といえるが出ない。

千駄ヶ谷の幽霊トンネルでは、
一度気配を感じただけで、
いまは出ないのではないかと思う。
昨日も雨上がりの中、
そのトンネルを通って帰ってきた。

2,30年前は、
雨の日によく見た。

さいたまの街中から外れた路地を歩いていると、
ぷ~ん・・・とおしろい(和風のパフューム)のような香りが鼻先をかすめると・・・・
身を縮めた。

それが合図のように、
数メートル先に、幽霊らしき姿が現われるのだ。
「・・・?」
一瞬、誰かがいると思うのだが、
顔をみせずにうつむき加減に立っているその姿は、
命のあるものではないことが分かる。

その瞬間、背筋に悪寒が走る。

「幽霊だ」

そのような経験を数度した。

あのころは精神的に最悪の状態にあった。

身内のものが亡くなる前夜には、
必ず襲われる悪寒、
数年会っていない友人の後姿を、
会うはずもない銀座や新宿で見て数日後、
亡くなったことを知らされる経験は珍しくないが、
これには嫌悪感はない。

だが、
香りの後にフイッっと現れる幽霊という奴は、
後に残る嫌悪感がある。

見ないほうがいい・・・というよりも、
見えない方がいい。

いま振り返っても、
おぞましさしの残像しか残らない思い出だから。