「結婚が解消されましたので、司会解除してください」
・・・こんな電話が入ってきた。
最近珍しいことです。
婚約は、将来の婚姻を目的として交わされる当事者間の合意事項です。
結納は、口約束ではない証拠立てるための儀式ですが、
指輪の交換でも証拠になる。
いいえ、友人に紹介しても証拠として認められるそうである。
これは法律的な問題だが・・・
この二人はどうして解消になったのだろうか・・・?
分からない。
2~3週間前に新婦さんと、電話で会話を交わしたが、
明るい感じの声で、気持の優しさがにじみ出ている・・・と思えた。
声に丸みがあったが、ここに含みを感じないでもなかったが・・・
その新婦から数時間前に携帯に電話があった。
「折角、打ち合わせの約束までして頂いたのに・・・」
申しわけがないというものだった。
「事情はお伺いしても失礼でしょうから」
と、一方的な話を聞いても仕方がないと思ったところが、
「彼のお父さんの求めなんです」
彼は内科のドクターで、
彼女は看護師だそうである。
「彼のお父さんが、相手がいるので、私との結婚を解消しろ」
と、言われた彼は、それに従わざるを得なかったというのだ。
やはり、聞かないほうが良かった。
やりきれないしこりが心に残ってしまった。
僕には、どうしてもやれないことだし、
顔も合わせたことみもない僕が何を言おうと、
彼女には、いっときの慰めにもなるかどうか・・・
3ヶ月先に控えていた結婚が、
相手の一方的な理由で解消され、
同じ病院である職場にも顔を出せないだろうし、
彼女の心の傷はどんなか・・・と想像すらできない。
「仕方がございませんわ」
そう言ったまま、無言が続いた。
「子どもも処理するつもりです」
「そうですか・・・」以外にことばが出ない。
産みたいと言ったらしいが、数百万円の慰謝料を払って来て、
「縁がなかったことにして」
という結末らしい。
看護師であった彼女には、
「ドクターと結婚できる」という家族や親戚の期待とは違う、
彼に対する愛情があったようだ。
彼の父が探した相手は、
外科の女医さんだそうである。
やりきれない話である。