大自然諷都会で育った僕は、いわゆる【ばあちゃん子】でした。
3文安いどころか、18文引き大安売りの【ばあちゃん子】少年タカシの
毎週の楽しみは、土曜夜7時の「まんが日本昔話」をばあちゃんの
足の間にもぐりこみ、一緒に見ることでした。
コタツの上には「スーパーサンエー」の大安売りのチラシを器用に折ったみかんの皮入れ。
そして
自家製の口が曲がるくらい塩カラい梅干しの入った「梅番茶」。
灰色の釉薬が小粋に垂れ下がった模様が今でも印象的な、ばあちゃん専用の湯のみ。
その横にいつもある、丸い筒のオブラートの紙箱。何種類もの薬。
湯につけてある入れ歯。
身長100センチにも満たないタカシの毎週土曜の夜7時前。
その視線には、いつもこのセットが目に入ります。
当時のテレビには、まだリモコンが搭載されておらず、「ガチャガチャ」まわすチャンネルが
全然不便とも感じなかったあの頃、きっと幸せな時間の一つがそこには流れていました。
その幸せな特等席で、タカシは色々な話をばあちゃんから聞きました。
戦争中、日本全体が食べるものがなく毎日おなかを空かせていた話。
一本の芋をめぐって、ガキ大将とタイマンを張って見事勝ち取った女学生時代の話。
家のすぐそばを流れていた「城の川」の上流でカッパと遭遇しビビッた話。
色々な話を、さも本当のことのように語ってくれました。
そんな数々の話が、まさか本当の話だったとは・・・・・・
その当時はまだ知る由もなかったのです
つづく