士は当に己に在る者を恃むべし。

動天驚地極大の事業も、

またすべて一己より締造す。

(言志録一一九条)


丈夫は自分自身の持てる力だけを武器に生きるべし(他人を頼るな)、

天を動かし地を驚かすようなとてつもない事業であっても、

全て自分ひとりの力で生み出すものである。

最初から他人の金や力をあてにして事を行うものではないという心構え。

毀誉得喪(きよとくそう)は、真にこれ人生の雲霧(うんむ)なり、

人をして昏迷せしむ。

この雲霧を一掃すれば、すなわち天青く日白し。

(言志耋録二一六条)


他人にそしられたり、誉められたり、成功したり失敗したり…

これは人生につきものの雲や霧のようなものである。

ところが人間はこの雲霧にとらわれ迷わされて、心を暗くさせられてしまう。

こんな取るに足らない雲霧を心から一掃してしまえば、たちまち青天白日、爽快な人生を送ることが出来る。


謗(そし)られれば腹が立ち、誉められれば得意になる。
成功すればドヤ顔で、失敗すればこそこそと隠れる。

雲や霧のようなものとはいうものの、

雲霧に何時もどっぷり浸かって過ごしていると、これが当たり前になってしまう。

一言で言うと人間が出来ていないと云うことか…反省














面(おもて)は冷(れい)ならんことを欲し、

背は煖(だん)ならんことを欲し、

胸は虚(きょ)ならんことを欲し、

腹は実(じつ)ならんことを欲す。

(言志録一九条)


頭脳は正しい判断が出来るよう冷静でありたい、

背中は人を動かせるよう暖かくありたい、

胸中は人を受け入れられるよう虚心坦懐(きょしんたんかい)でありたい、

腹は物に動じないよう胆力を充実させたい。

…人間はこのようにありたいものである…


どれも難しい、もしどれか一つを択ぶとすれば、私は「背は煖(だん)ならんことを欲し」たい。