§8.カッパの授業プリント例

8.「音楽は世界を変えられるか?」 NO.1

 

特集「音楽は世界を変えられるか?」 NO.1

※2017年に政治経済の授業で用いたプリントです。以下にこの一連の特別授業の計画を示しておきま

 す。なおこの授業は定時制にて視聴覚室を用い、一回90分の授業で年度最初の授業で行われたもので

 す。90分という時間的余裕がかなりあるという条件下で初めて成立する内容となっている点、あらか

 じめご了承ください。

 

政治経済特集授業 手順

1.    音楽は世界を変えられるか―心を動かし、行動を変える試みとして―

導入:ボブ・ディランのノーベル文学賞について口頭で以下の質問を投げかけてお  

   く。次の動画を視聴する上での下地を用意しておくことが主な狙いなので、答えは

   この段階では不要であり、「投げかけておく」だけで良い。

       ・歌手として初の受賞・・・ディランの歌詞の何が評価されたのか?

       ・プロテストソングの第一人者・・・彼は何を訴えてきたのか?

       ・音楽は世界を変えられるのか?・・・過去の事例を見てみよう?

ONE OK ROCK 「Be the light yuki mizobata  2013/05/06 7:53

 かなり辛い場面が続くので、視聴が厳しい人はあらかじめ目を伏せても構わないことを言っておいてから視聴させたい。同様の趣旨でつくられた動画は数多いが、ここで紹介されている動画や写真はよく考えられ、きちんと精選されている。やや長いが最後まで視聴させたい。

ウィーアーザワールド:東日本大震災(2011年)ハイチバージョン東北地方太平洋

 沖地震 「We are the WorldPray for Japan

 冒頭の2分だけ視聴。上の曲以外ではマイケル・ジャクソンの曲が多用されていることに注目させることが狙いなので、途中で切り上げる。

 

 プリント前文の穴埋め

 

マイケル・ジャクソンの試み

 以下、ウィキペディアから抜粋。

「WE ARE THE WORLD」(1985

 キング牧師らの公民権運動にも加わってきたハリー・ベラフォンテの構想をもとに、イギリスで活躍するミュージシャン、ボブ・ゲルドフが提唱したバンド・エイドの大成功(1984年)に触発され、アフリカの飢餓と貧困問題を解消する目的で作られたキャンペーン・ソング。

 作詞・作曲はマイケル・ジャクソン(当時27歳)とライオネル・リッチーが共作で行い、プロデュースはクインシー・ジョーンズが担当した。参加アーティストの数が45人と多い上に、非常に豪華な顔ぶれのため、公のコンサートでロング・バージョンがフル・コーラスで歌われたのは1985年「ライブ・エイド」、2001年のマイケル・ジャクソンのソロ活動30周年記念コンサート、2009年7月7日のマイケル・ジャクソン公開追悼式の3回である。

 1985年当時、アメリカ国内だけでシングル400万枚、アルバム300万枚を売上。最終的にはアメリカだけで800万枚のシングル(7インチと12インチの2形態)が売れ、全世界では2000万枚以上の売上を記録している。シングル・アルバム・ビデオの合計で6300万ドルの収入となり、すべての印税はチャリティーとして寄付された。ビルボード(Billboard)誌では、1985年4月13日より4週連続で1位を獲得。1985年ビルボード誌年間ランキングでは、第20位。

 アルバムの制作過程も詳細に映像で残されている。We Are The World メイキング 日本放送バージョン 小林克也ナレーション&字幕版(一部のみ)」の冒頭部分と57:00からこの動きのきっかけを与えたボブ・ゲルドフの発言は必見。前述したようにゲルドフは1984年の「バンド・エイド」の発案者でチャリティ・シングルDo They Know It's Christmas?」(4:02)を発売し、売り上げをエチオピアでの飢餓救済にあてた。当時のイギリスを中心に活躍していた人気ミュージシャンが大動員され、ポール・マッカートニー、ジョージ・マイケル、ボノ、ボーイ・ジョージ、デビッド・ボーイ、フィル・コリンズらが参加。このアイディアはマイケル・ジャクソンらに受け継がれた

 

 エチオピアの飢餓:サヘル地方(サハラ砂漠の南縁の砂漠化)では国連の統計によると8億人が栄養不足。サヘルでは4人に1人、ある統計では5秒に1の割合で子供たちが主に飢えを原因として死んでいるという。だとすれば1分で121時間で720、この授業が終わるうちに実は千人以上の子供たちが死んでいたことになる。1日で1万7千人余り。大人も含めれば125千人(東日本大震災の犠牲者を上回る)。年間では2000万人が死んでいたわけだ(第一次世界大戦の犠牲者に匹敵)。

 なぜこのことに世界は沈黙してきたのか?背景に開発途上国への無理解と差別意識が先進国に蔓延していたにちがいあるまい

 世界の富豪上位8位までの人たちの総資産は資産下位層の37億人分と同じであり、格差と差別の問題が極端に拡大しつつある

 空腹のまま小学校に通う子供たちは途上国で6600万人(日本の人口の半分)アフリカだけで2300万人。WFPは年間32億ドル(4000億円相当・・・日本の富豪1位の総資産よりも少ない)あれば6600万人分の学校給食を支援できると試算。

 なぜ日本の富豪は支援しない?

 しかし、あの時、アフリカ系黒人ミュージシャンは先頭に立って動いた。

 

 東日本大震災でも翌日の3月12日には「USA for Haiti」バージョンが「PRAY FOR JAPAN」の言葉とともにYoutube上にアップされた。さらに次に触れる「HEAL THE WORLD」もアップされている。

 熊本大地震(4月14日、16日)では4月18日にUSA FOR AFRICA」バージョンがアップ。コロナ禍においてもこの二曲はYoutube上にあげられている。

 つまり大きな自然災害などが起きるたびにマイケル・ジャクソンの曲が世界中を駆け巡る。それはなぜだろう?

 

 プリント穴埋め

 

ヒールザワールド(1992 オフィシャルビデオ 6:22)視聴

 プリント穴埋め

 

・ジョン・レノンの「イマジン」(1971

視聴:東芝EMIVTR「Imagine―John Lennon」(308のもの。次のプリント「①忌野清志郎の「イマジン」(1989)につなげる。

 

 プリント穴埋め

 

 

 以下はプリントの内容

 

 2017年を迎えて今、世界はどんな困難に直面しているのでしょう?飢餓、貧困、戦争、テロ、地球温暖化・・・そんな世界の状況をよそに1月21日、行われたアメリカ45代大統領のトランプ氏の就任演説は「アメリカ ファースト」を合言葉にアメリカの偉大さを取り戻そうという、自国中心、内向きの空疎な内容に満ちていました(演説内容は次回確認)。およそ歴代大統領の就任演説としてこれだけ地球規模の視野を欠落させた、アメリカさえ良ければいいという自己中心的でナルシスティックな演説は無かったと思われます。

 前大統領のオバマ氏はアメリカ史上初の黒人大統領として注目され、その就任演説(2009年1月21日)には180万人もの観衆がワシントンに押し寄せたといいます。一方でトランプ氏は70~90万人の観衆しか集まらず、逆にトランプ就任に反対する人々がワシントンに50万人余り集まり、反対デモや反対集会の方が盛り上がっていたようです。エルトン・ジョンやセリーヌ・ディオンといった有名人が就任セレモニーへの出席を拒否しただけでなく、60人もの国会議員が就任式をボイコットしたことの意味はきわめて大きいと思われます。

 トランプ就任は世界中に反響を呼び、世界各地600か所で反対集会やデモが行われ、参加者は合わせて250万人を突破したといいます。そして金正男氏が2月13日に暗殺され、しかも北朝鮮はミサイルの発射実験を繰り返して周囲を恫喝しています。東アジアの政治情勢も極めて不安定となっています。とっくに一国のみの平和主義や繁栄主義が通用するはずがない時代になっているのにあのトランプ氏の就任演説はいかにも時代の流れに逆行した、残念でお粗末なものであったといえましょう。

 さて世界は様々な困難に直面しているようですが、それらの問題を少しでも解決し、居心地の良い世界に変えていくにはまず何が必要となるのでしょう?それは間違いなく、「気持ち」だと思うのですが、皆さんはどう思いますか?

 たとえどんなに困難な問題が立ちふさがっていようと絶望せずに希望と信念をもって熱い気持ちで問題解決に向かっていけば事態を、世界を少しだけでも改善できると信じたいものです。そういえば実際、前大統領のオバマがキャッチフレーズにしたのは「チェンジ」と「イエス、ウィー キャン」でした。

 ならばできるだけ多くの人々の気持ちを揺り動かす方法とは何でしょう?心を打つ感動的なスピーチでしょうか?キング牧師の名演説(差別の学習で紹介)は確かに人々の心を揺さぶるものがあります。しかしスピーチはある程度の理解力を必要とするものであくまでも大人向けのものであり、子供たちの気持ちは動かせません。これから大切なのは子供たちの心をも揺さぶるメッセージでしょう。未来は子供たちの手に握られているからです。

 ネットの発達によって素晴らしいメッセージが瞬く間に世界中を駆け巡る一方で、悪意に満ちたゆがんだメッセージも世界中に発信されています。番狂わせと言われたトランプ当選は、ツイッターを軸とする情報操作が成功した結果でもあるといわれています。ネット上の情報は政治的な思惑によって操作されている危険性があり、アテにできない側面もあるでしょう。しかしアテにできる情報なのかどうか見きわめる分別を子供たちに期待してはいけないのです。とすれば子供たちにどういう方法でどんなメッセージを伝えたらいいのでしょう?

 まずは音楽のメッセージ性が役立つのではないでしょうか?2016年のノーベル文学賞を受賞したのはミュージシャンのボブ・ディラン(社会を批判するプロテストソングの一人者として1960年代、すでに若者にとってカリスマ的存在)でした。音楽の世界で子供たちにも伝わる社会的なメッセージをも発信し、世界中に大きな影響を与えてきたミュージシャンとしてはディランのほかにジョン・レノン(伝説のロックバンド「ビートルズ」のメンバーだったが解散後もソロで活動)、マイケル・ジャクソンらが挙げられます。レノンは1980年12月に暗殺され、マイケルは2009年、薬物によるショック死を遂げています。まずはマイケル・ジャクソンが世界に向けた社会的メッセージのポイントとなる二つの動きを紹介しましょう。

 

1.マイケル・ジャクソンの試み

①「We are the World」(1985年)

 エチオピアの飢饉、餓死問題を救済するためにアフリカ系黒人ミュージシャンが核となって「USA for Africa」を立ち上げた。きっかけは黒人差別撤廃を掲げた公民権運動にも参加してきたベテラン歌手のハリー・ベラフォンテ。中心となったのは当時人気絶頂だったマイケルとライオネル・リッチー、それにプロヂューサーのクインシー・ジョーンズの三人。この曲の作詞作曲はマイケルとライオネルの二人である。総勢45人のミュージシャンを結集してアルバム作りが行われたが、その中にはスティービー・ワンダー、レイ・チャールズ(スティービーとレイは二人とも失明していながらミュージシャンとして当時)、ダイアナ・ロスといった黒人たちに加えてビリー・ジョエル、ポール・サイモン、ボブ・ディランらユダヤ系のミュージシャンらも協力していた。シングルレコードがアメリカだけで750万枚も売れたヒット曲で、世界中の総売り上げは6300万ドル(=70億円)。そのすべてはアフリカ救済に寄付された。

 なお2010年のハイチ大地震のときもライオネルとクインシーが中心となって「USA for Haiti」を立ち上げ、前年に亡くなったマイケルの遺志を引き継いでいる。

②「Heal the World」(1992年)

 戦争と暴力から子供たちを守ろうとマイケルが世界に呼びかけた曲。「We are the World」と違い、マイケル単独の動き。当時、彼は整形疑惑(皮膚移植等。実際には尋常性白斑という病気)にさらされ、金銭目当ての訴訟に忙殺されていたがこの年、「Heal the World」基金を設けて特に難病患者救済に取り組んだ。しかし彼はこの曲がリリースされた翌年、児童に対する性的虐待の容疑で最大の危機にさらされることになる(2005年に無実の判決)。しかもこの曲はアメリカではヒットチャートで27位に終わった。アメリカの社会は大成功を収めていたマイケルを温かく受け入れることは無かったのである。他方、スペインでは1位となるなどむしろ国外での反響が大きかった。日本でも東日本大震災の直後(2011年3月11日~)から再びこの曲がネット上で盛んに再生されるようになった。

 ここではオフィシャルのVTRではなく、スペインのVTRを鑑賞。以下、歌詞の和訳を最初の部分だけ紹介しておく。

 

 女の子のセリフから・・・

私たちの後の世代について考えてみて。 私たちの子供、そのまた子供たちのためにもっといい所にしてあげたいよね。その子供たちに「この世界は自分たちのためにみんなが良くしてくれたんだ」って思ってもらえるように。そしたら その子供たちだってもっともっと良い世界にしていけると思うな。

 

君の中に愛があるってこと、僕は知ってるよ。

愛さえあれば未来はもっと輝いて見えるはずさ。

愛があればもう泣くことなんかないよ。

愛があれば何の苦しみも悲しみも感じないはず。

あらゆる命を大切に思う心があれば、きっとそこにたどりつけるよ。

小さなところから始めよう。愛にあふれる世界を作るんだ。

世界を愛し、もっといい世界にしていこう。

君と僕のためにも すべての人たちのためにも。

 

今この瞬間にも命を失っていく人がいる。

命あるものを大切に思うなら

君と僕のためにもっといい世界にしていこう。

なぜ偽りのない愛があるのか知ってる?

愛は強くて、喜びだけを与えてくれるものだからさ。

愛することができればきっと恐れなんて感じられなくなるのさ。

2.ジョン・レノン(1940~1980)の試み

 伝説のロックバンド「ビートルズ」の一員として作詞作曲を数多く手がけたレノンはビートルズ解散後もソロ活動を続け、ソロになって彼自身が最高傑作と認めたのが1971年に発表された「イマジン」。当時、アメリカはベトナム戦争が泥沼化し(1973年にベトナムから撤退)、国内に厭戦気分が強く蔓延していた。レノンはこうした状況の中で反戦の立場からこれを作詞作曲したようである。ただし元来が内向的な彼は、実際にはそれほど社会的な活動に積極的な関わりは持っていないとされる。

 残念ながら、1980年12月8日、レノンは熱狂的なファンだと自称する男に自宅前で射殺された。その死はキング牧師やケネディ大統領と比肩されて世界中に衝撃を与えた。

 以下、歌詞の和訳を紹介しておこう。

 

 想像してごらん。天国の無い世界を。

 想像してみようよ、簡単なことさ。

 僕らの足元には地獄は無く、上にあるのは青空だけ。

 想像してごらん。今日という日を生きているみんなを。

 想像してごらん。国境のない世界を。

 難しいことじゃないさ。

 殺すことも殺される理由も無い。

 宗教も存在しない。

 想像してごらん。平和な世界に生きているみんなを。

 君は言うかもしれない。

 僕を夢見る人だと。でもそれは僕だけじゃない。

 いつか君も仲間になってくれるといいな。

 そして世界はきっと一つになっていく。

 

 

特集:音楽は世界を変えられるか? NO.1

  )組(  )番(         

 2017年を迎えて今、世界はどんな困難に直面しているのでしょう?飢餓、

    )、戦争、テロ、地球温暖化・・・そんな世界の状況をよそに1月21日に行われた(      )45代大統領の(      )氏の就任演説は「アメリカ

        」を合言葉にアメリカの偉大さを取り戻そうという、自国中心、

    )の空疎な内容に満ちていました(演説内容は次回確認)。およそ歴代大統領の就任演説としてこれだけ国際的視野を欠落させた、アメリカさえ良ければいいという(      )的でナルシスティックな演説は無かったと思われます。

 前大統領の(     )氏はアメリカ史上初の(    )大統領として注目され、その就任演説(2009年1月21日)には180万人もの観衆が首(       )D.C.に押し寄せたといいます。一方でトランプ氏は70~90万人の観衆しか集まらず、逆にトランプ就任に反対する人々がワシントンに50万人余り集まって逮捕者が200人を超えたといいます。就任式よりも就任反対デモや反対集会の方が盛り上がっていたようです。エルトン・ジョンやセリーヌ・ディオンといった著名な芸能人が就任セレモニーへの出席を拒否しただけでなく、60人もの国会議員が彼の就任式をボイコットしたことの意味はきわめて大きいと思われます。

 トランプ就任は世界中に反響を呼び、世界各地600か所で反対集会やデモが行われ、参加者は合わせて250万人を突破したといいます。(     )氏が2月13日に暗殺され、しかも(     )はミサイルの発射実験を繰り返して相変わらず周囲を恫喝しています。東アジアの政治情勢も極めて不安定となってきました。とっくに一国のみの平和主義や繁栄主義が通用するはずがない時代になっているのにあのトランプ氏の就任演説はひどく時代の流れに逆行した、残念でお粗末なものであったといえましょう。

 さて世界は現在様々な困難に直面しているようですが、それらの問題を少しでも解決し、居心地の良い世界に変えていくにはまず何が必要となるのでしょう?それは間違いなく、世界を変えたいという「     」だと思うのですが、皆さんはどう思いますか?たとえどんなに困難な問題が立ちふさがっていようと絶望せずに希望と信念をもって熱い気持ちで問題解決に向かっていけば世界を少しづつでも改善できると信じたいものです。そういえば実際、前大統領のオバマが選挙運動中にキャッチフレーズとしていたのは「     」と「          」でした。

 ならばできるだけ多くの人々の気持ちを短期間で揺り動かす方法とは何でしょう?心を打つ感動的なスピーチでしょうか?(     )牧師の名演説(後で紹介)は確かに人々の心を揺さぶるものがあります。しかしスピーチはある程度の理解力を必要とするものであくまでも大人向けのものです。子供たちの気持ちは動かせません。これから大切なのは子供たちの心でさえ揺さぶるメッセージでしょう。未来は子供たちの手に握られているからです。

 (    )の発達によって素晴らしいメッセージが瞬く間に世界中を駆け巡る一方で、悪意に満ちたゆがんだメッセージも世界中に発信されています。番狂わせと言われたトランプ当選は、(       )を軸とする情報操作が成功した結果でもあると一部でいわれています。ネット上の情報は政治的な思惑によって操作されている危険性があり、アテにできない側面があるでしょう。アテにできる情報なのかどうか見きわめる分別を子供たちに期待してはいけないとすれば子供たちにどういう方法でどんなメッセージを伝えたらいいのでしょう?誰にでも分かりやすくて共感しやすい方法とは?

 2016年の(      )文学賞を受賞したのは長年ミュージシャンの世界ではカリスマ的な立場であり続けた         (社会を批判するプロテストソングの一人者として1960年代から活躍)でした。ノーベル賞選考委員会が大衆音楽の世界で活躍してきた人物に史上初めて賞を与えたことはあらゆる点で画期的といえましょう。しかも過去疑惑の多かった(    )賞ではなく文学賞なのですから、彼はアカデミズムの世界からも高く評価されたといってよいのです。彼の受賞を機に

    )のメッセージ性が今後、一層注目されるに違いありません。

 社会的なメッセージを込めて楽曲を手掛け、世界中に大きな影響を与えてきたミュージシャンとしてはディランのほかに         (伝説のロックバンド

       」のメンバーだったが解散後もソロで活動)や晩年はマスコミから残念な扱いを受けてきた(            )らが挙げられます。

 レノンは1980年12月に暗殺され、マイケルは2009年、薬物によるショック死を遂げています。まずはマイケル・ジャクソンが世界に向けた社会的メッセージのポイントとなる二つの動きを紹介しましょう。

 

1.マイケル・ジャクソン(1958~2009)の試み

①「We are the World」(1985年)

 1985年、(       )の飢饉、餓死問題を救済するためにアフリカ系黒人ミュージシャンが核となって「USA for Africa」を立ち上げた。きっかけはかつて(     )運動にも参加してきたベテラン歌手のハリー・ベラフォンテ。中心となったのは当時人気絶頂だったマイケルとライオネル・リッチー、それにプロヂューサーのクインシー・ジョーンズの三人。この曲の作詞作曲はマイケルとライオネルの二人である。

 総勢45人のそうそうたるミュージシャンを結集してアルバム作りが行われたが、その中にはスティービー・ワンダー、レイ・チャールズ(スティービーとレイは黒人であるとともに          )、ダイアナ・ロスといった黒人たちに加えてビリー・ジョエル、ポール・サイモン、ボブ・ディランら(     )系のミュージシャンらも協力していた。当時、シングルレコードがアメリカだけで750万枚も売れた大ヒット曲で世界中の総売り上げは6300万ドル(=70億円)に達し、そのすべてはアフリカ救済に寄付されたという。

 なお2010年の(     )大地震のときもライオネルとクインシーが中心となって「USA for Haiti」を立ち上げ、前年に急死したマイケルの遺志を引き継いでいる。

②「Heal the World」(1992年)

 (    )と虐待から子供たちを守ろうとマイケルが世界に呼びかけた曲。「We are the World」と違い、今回はほぼマイケル単独の動き。当時、彼は整形疑惑(皮膚移植等。実際には尋常性白斑という病気)にさらされ、さらに彼の莫大な財産目当ての(    )に忙殺されていた。

 「Heal the World」基金を設けて特に(       )救済に取り組んだが、彼はこの曲がリリースされた翌年、児童に対する性的虐待の容疑で最大の危機にさらされることになる(2005年に無罪の判決)。しかもこの曲はアメリカ国内ではヒットチャート27位に終わった。熱狂的なファンを除けばこの当時、アメリカ社会がマイケルを温かく受け入れることは無かったのである。

 他方、(      )では1位となるなどむしろ国外での反響が大きかった。日本でも(      )震災の直後(2011年3月11日~)から再びこの曲がネット上で盛んに再生されるようになった。

 ここではオフィシャルのVTRではなく、あえてスペイン制作のVTRを鑑賞。以下、歌詞の和訳を最初の部分だけ紹介しておく。

 

女の子のセリフから・・・

 私たちの後の(    )について考えてみて。私たちの(    )、そのまた子供たちのためにもっといい所にしてあげたいよね。その子供たちに「この世界は自分たちのために大人たちが良くしてくれたんだ」って思ってもらえるように。そしたらその子供たちだってもっともっと良い世界にしていけると思うな。

 

 君の中に(   )があるってこと、僕は知ってるよ。

 愛さえあれば未来はもっと輝いて見えるはずさ。

 愛があればもう泣くことなんかないよ。

 愛があれば何の苦しみも悲しみも感じないはず。

 あらゆる命を大切に思う心があれば、きっとそこにたどりつけるよ。

 小さなところから始めよう。愛にあふれる世界を作るんだ。

 世界を愛し、もっといい世界にしていこう。

 君と僕のためにも すべての人たちのためにも。

 

 今この瞬間にも命を失っていく人がいる。

 命あるものを大切に思うなら

 君と僕のためにもっといい世界にしていこう。

 なぜ偽りのない愛があるのか知ってる?

 愛は強くて、喜びだけを与えてくれるものだからさ。

 愛することができればきっと恐れなんて感じられなくなるのさ。

 

2.ジョン・レノン(1940~1980)の「イマジン」

 伝説のロックバンド「      」の一員として作詞作曲を数多く手がけたレノンはビートルズ解散後もソロ活動を続け、ソロになって彼自身が最高傑作と認めたのが1971年に発表された「       」。

 当時、アメリカは(       )戦争が泥沼化し(1973年にベトナムから撤退)、国内に厭戦気分が強く蔓延していた。レノンはこうした状況の中で平和主義の立場からこれを作詞作曲したようである。ただし元来が内向的な性格の彼は、実際にはそれほど社会的活動に積極的な関わりは持っていなかったとされる。

 1980年12月8日、レノンは熱狂的なファンだと自称する男に自宅前で射殺された。その突然の死はキング牧師やJ.F.(      )大統領と比肩されて世界中に衝撃を与えた。

 以下、歌詞の和訳を紹介しておこう。

 

 想像してごらん。(    )の無い世界を。

 想像してみようよ、簡単なことさ。

 僕らの足元には地獄は無く、上にあるのは(    )だけ。

 想像してごらん。今日という日を生きているみんなを。

 想像してごらん。(    )のない世界を。

 難しいことじゃないさ。

 殺すことも殺される理由も無い。

 (    )も存在しない。

 想像してごらん。平和な世界に生きているみんなを。

 君は言うかもしれない。

 僕を(      )だと。でもそれは僕だけじゃない。

 いつか君も仲間になってくれるといいな。

 そして(            )になっていく。