§8.カッパの授業プリント例

4.ブラック企業と貧困化する日本の若者Ⅱ

※今回は「3.ブラック企業と貧困化する日本の若者Ⅰ」の続きとなります。

 

 I社と同様の事は超有名企業でも行われている。特にグローバルな活躍で知られるX社は「半年で店長に」をうたい文句に優秀な女子学生を数多く引きつけつつ、セクハラ、パワハラを加え続けることで採用された半数近くが精神疾患で退社を余儀なくされるという。これが社会問題化しないのはX社が退職する社員をまず「休職」扱いにして診断書を出させないシステムであるかららしい。つまり休職して病気を治してからでないと辞めさせないという指導をしていて、その結果、X社は休業中を医療保険と有給休暇で乗り切らせる。つまり労災保険には手を付けず、社の経済的負担をゼロにしておいて、やがて自己都合で辞めさせるのだという。日本での人材確保が困難になればこうしたグローバル企業は海外に魔の手を伸ばすまでだから、きわめて性質が悪いと言えよう。

※こうした違法行為が横行し、あまり訴訟に発展しない理由の一つとしては悪徳弁護士や悪徳社会保険

 労務士の増加が挙げられるという。弁護士は司法制度改革によって2000年の17126人が2011年には

 30485人に急増し、弁護士事務所に就職できない若手が増えてきた。社会保険労務士も1998年の

 2327人から2004年の4850人に急増。その結果、就職難から悪い仕事に手を染める若者が増えてきた

 という。彼らは専門的知識を悪用して法の網の目をくぐる悪知恵をブラック企業に提供し、かなりの

 報酬を得ているという。弁護士や社会保険労務士を肩書だけで信用してはなるまい。

 「ブラック企業」は新興の成長産業、IT、飲食、介護業界などに多い。共通する特徴としてはまず大量採用、大量退職の雇用状況が挙げられる。さらには入社後も続く「選別」(正規雇用されたはずなのに…)、サービス残業の強要(月100時間を超えるような異常な長さ)も重要な指標となる。もちろんパワハラ(2012年の厚生労働省の発表ではおよそ46000件に達し、何と9年前の7倍!という激増ぶり)、セクハラも横行している。ではなぜこのような悪質な企業がはびこってきたのだろう?

 若者の就職状況の悪化に伴い、正規雇用されたい若者が大勢存在している。このため企業からすれば「代わりはいくらでもいる」から大量に離職させても、大量に採用できるという、人事面での追い風が吹いていること。さらに学校での進路指導、キャリアガイダンスも正規雇用を若者に強制し、かつ企業での労働条件の厳しさを教師が強調するあまり、ブラック企業の過酷な待遇に対しても若者の目をつぶらせてしまう傾向がある。

 多くの場合、学校では企業社会で長く我慢することや努力することなどを中心に働く義務ばかりが強調されており、働くことの社会的役割(企業の社会的責任等)や労働者の権利についてはどうしてもおろそかになりがちである。欧米では就職に直結する職業技術の習得にキャリアガイダンスの主眼が置かれているのとは対照的に日本では若者に企業人としての「心掛け」を説くことが大切とされているのだ(職業訓練に投入される費用は日本の場合、GDPに占める割合で比較すると北欧諸国の10分の1程度に過ぎない)。

 また労働組合の組織率が低下し、当てにならなくなったことも大きい。社会主義の低迷に沿う形で極度に組織率が低下し、企業別の労働組合を主流としてきた日本では組合が完全に機能不全に陥っている。

 日本的な雇用慣行の残存もブラック企業の横行に関与しているという。つまり日本ではかつて終身雇用や年功序列型賃金と引き換えに企業の社員に対する命令権が強かったのだという。欧米では使用者側に相当の工夫と努力が強いられる「単身赴任」や「残業」も、日本ではいともたやすく実行される。また長期雇用に対応できるようにするため、日本企業では業務内容の変更が一方的に命令される事もザラである。今や終身雇用や年功序列が崩れつつあるにも関わらず、企業の命令権だけは強大なまま、残存しているというわけだ。とすれば確かに日本企業のすべてがブラック化する可能性があることになろう。欧米の場合は解雇されやすい代わりに、仕事の内容や資格が重視されるため、業務内容の一方的な変更はまず起こりえず、再就職も比較的スムーズであるという。

 また欧米が仕事自体の専門能力を重視するのに対して、日本企業は会社の命令に柔軟に対応できる忠誠心や「コミュニケーション能力」といった曖昧なものを採用基準として重視している傾向がある。このため日本のブラック企業は離職を促す際、会社の命令に絶対的な服従を強制しつつ本人の人格的側面をことごとく否定することに働きかけの主眼が置かれていると考えられる。

3.生活保護の現状

 2012年に人気芸人の母親が生活保護を受給していたのが週刊誌に暴露されて話題になり、生活保護の不正受給問題が再び、浮上してしまった。しかし実際の不正受給者はほんの一握りに過ぎず(しかもその多くは年金や子どものアルバイトなどの未申告という軽微なもの)、保護費全体の0.5%に過ぎない。むしろ貧困者の圧倒的多数が生活保護の対象から外されているという恐るべき実態が、このマスコミによる生活保護受給者へのバッシングによって完全に隠ぺいされてしまった。逆に生活保護基準の引き下げや親族による扶養義務(直系血族と兄弟姉妹、場合によっては3親等以内の親族)の強化ばかりが強調されてしまったのである。

※日本のシングルマザーの6割超が貧困に直面している。この貧困率の高さは女性への偏見(家事育児介

 護負担の偏り…)と若者の就職状況の悪化という現状への政府の無理解も加わって支えられてきたの

 である。これは日本が人権という観点からはもはや文明国といえないレベルにまで劣化していること

 を示しているのではないか。

 2010年の公的扶助補足率の国際比較では日本がわずか18%程度なのに対してスウェーデン82%、フランス91.6%、ドイツ64.6%。日本では生活保護を受けるべき貧困者の8割は生活保護を受けておらず、我慢しているのである。日本で繰り返されてきた「働こうとしない怠け者に血税を与える必要はない」というバッシングがいかに見当はずれであるのか、この数字だけで痛感できるだろう。そもそも働きたくとも働けない健康な若者であふれている日本の雇用状況のなかで、ハンディを負っている貧困者が正規雇用にありつける可能性は皆無に近いのだ(雇用条件に運転免許や自動車の所持を求める事業所は多い)。

 1980年代から始まっていた「水際作戦」(生活保護受給者を減らすために、その申請段階から役所の窓口で嫌がらせを加えてみたりすること)の成果は確かに上り、貧困者を見殺しにする体制がほぼ日本では出来上がっている。その結果、貧困者の中には飢え死にする者(2005年北九州市で67歳男性、2006年同市で56歳男性、2007年同市で52歳男性)や自殺に追い込まれる者(2006年秋田市で37歳男性、2007年北九州市で61歳男性)、熱中症で死亡する者(2010年さいたま市で76歳男性)や凍死する者(2012年札幌市で40歳女性)が続出している。今野氏は明確な餓死者は毎年50人前後、定義によっては毎年1000人以上とする見方もあるという。

 水際作戦の手法は主に三つあるという。まず、路上生活者やネット難民に対しては「住民票が無いので受付できません」と申請を断る。次に稼働能力層には「ハローワークに行って下さい、働ける人は受け付けられません」。身寄りのある場合は「家族、親族に援助してもらいなさい」。どういうケースでも申請書を役人は渡さなければならないのだから、これらの対応は基本的にすべて違法である。日本ではまさに役所の窓口で法を遵守すべき公務員によって違法行為が横行している、ということになる。

 日本の場合、生活保護の受給条件自体が異様に厳しい。まず家(資産価値の無い家なら可)や自動車、預金、生命保険などの資産は基本的に使い果たすことが求められる。さらに親族等に役所から扶養の要請がしつこく行われる。この結果、親族からはつまはじきにされ、親戚付き合いも不可能となる事が多い。

 つまり個人のプライバシーや尊厳が傷つけられても我慢しつつ、自他ともに全力で自分が極貧であることを半永久的に世間に証明し続けなければならない。しかも親族からの援助があればあったでその分の保護費は減らされてしまう。地方であれば子どもがいても月平均17~8万の保護費(年間200万ほど)に過ぎず、この金額以上の生活は決して許されない。つまり日本の場合、生活保護とはもはや貧困から脱出するための方途ではなく、むしろ孤立と極貧の永続化につながっているといった方がふさわしい状況に陥りつつあるのだ。

 保護費を節約することも厳禁となる。たとえば老後の為に毎月、少しずつ保護費から貯金していた受給者が「不正受給」と見なされて、一部は「死後の葬式費用」に回され、残りは保護費の減額対象とされてしまっている。

 こうした問題の背後には国や地方の財政危機があり、福祉対策の予算と人員が削減されてきたことがある。一人のケースワーカーが担当する貧困者世帯は100件を超える場合も多く、丁寧な対応が物理的に困難(大阪市は400件!)。さらに多忙を極めるケースワーカーにはそもそも専門的知識が欠如していることも多い。多くは一般事務職として採用され、福祉事務所に配属される。しかも3年程度の短期に過ぎず、資格とされている「社会福祉主事」は3科目の単位取得でとれる、安易なもの。ただしケースワーカーの4割はその資格すら持っていないという。にも関わらず、ケースワーカーには受給者のプライバシーを侵害し、指導に逆らうとされた者には保護を打ち切るといった強大な権限が認められている。ケースワーカーによる受給者へのパワハラによって受給者を死に追いやることも稀ではあるが、十分に起こりうることなのだ。本来、貧困者の支援に力を注ぐべき役人が受給者の監視と統制に励み、受給者の削減(支援の切り捨て)に全力を尽くしているのだからそれも仕方がない。

 福祉政策の貧困に付け込む「貧困ビジネス」が一方で台頭してきたらしい。路上生活者やネットカフェ難民らをターゲットとした無料低額宿泊所もその一つ。1人2畳ほどの狭いスペースに簡単な間仕切りがしてあって粗末な食材が提供され、月10万円近くを払う。収容者は生活保護受給を条件とするため、住居者の支払いに滞りはなく、経営は安定している。しかし住人はプライバシーも保てない狭い空間で粗末な食材を与えられ、自炊を余儀なくされているのである。福祉事務所側は受給者の把握が容易になるため、宿泊所の劣悪な環境には目をつむったままとなる。都内で急速に路上生活者が目立たなくなった背景にはこうした「収容所」の増大があるという。

 国民の血税が困っている人を助けることに本当に使われているのか、消費税増税の前に一度、きちんと疑ってみた方が良いのかもしれない。

 

 

ブラック企業と貧困化する日本の若者Ⅱ 

  )組(  )番(         

 I社と同様の事は超有名企業でも行われている。特にグローバルな活躍で知られるX社は「半年で店長に」をうたい文句に優秀な女子学生を数多く引きつけつつ、

       )、パワハラを加え続けることで採用された半数近くが

        )で退社を余儀なくされるという。これが社会問題化しないのはX社が退職する社員をまず「    」扱いにして診断書を出させないシステムであるかららしい。つまり休職して病気を治してからでないと辞めさせないという指導をしていて、その結果、X社は休業中を医療保険と有給休暇で乗り切らせる。

 つまり(    )保険には手を付けず、社の経済的負担をゼロにしておいて、やがて自己都合で辞めさせるのだという。日本での人材確保が困難になればこうしたグローバル企業は海外に魔の手を伸ばすまでだから、きわめて性質が悪いと言えよう。

※こうした違法行為が横行し、あまり訴訟に発展しない理由の一つとしては悪徳弁護士や悪徳

 (           )の増加が挙げられるという。弁護士は近年の司法制度改革によって2000

 年の17126人が2011年には30485人に急増し、弁護士事務所に就職できない若手が増えてきた。社

 会保険労務士も1998年の2327人から2004年の4850人に急増。その結果、就職難から悪い仕事に手

 を染める若者が増えてきたという。彼らは専門的知識を悪用して法の網の目をくぐる悪知恵をブラッ

 ク企業に提供し、かなりの報酬を得ているらしい。弁護士や社会保険労務士を肩書だけで信用しては

 なるまい。

 「ブラック企業」は新興の成長産業、IT、(    )、(    )業界などに多い。共通する特徴としてはまず大量採用、大量退職の雇用状況が挙げられる。さらには入社後も続く「     」(正規雇用されたはずなのに…)、サービス

    )の強要(月100時間を超えるような異常な長さ)も重要な指標となる。もちろんパワハラ(2012年の厚生労働省の発表ではおよそ46000件に達し、何と9年前の  倍!という激増ぶり)、セクハラも横行している。ではなぜこのような悪質な企業がはびこってきたのだろう?

 若者の就職状況の悪化に伴い、正規雇用されたい若者が大勢存在している。このため企業からすれば「               」から大量に離職させても、大量に採用できるという、人事面での追い風が吹いていること。さらに学校での進路指導、キャリアガイダンスも正規雇用を若者に強制し、かつ企業での労働条件の厳しさを教師が強調するあまり、ブラック企業の過酷な待遇に対しても若者の目をつぶらせてしまう傾向がある。多くの場合、学校では企業社会で長く我慢することや努力することなどを中心に働く義務ばかりが強調されており、働くことの社会的役割

(企業の          等)や労働者の(     )についてはどうしてもおろそかになりがちである。欧米では就職に直結する職業(     )の習得にキャリアガイダンスの主眼が置かれているのとは対照的に日本では若者に企業人としての「     」を説くことが大切とされているのだ(職業訓練に投入される費用は日本の場合、GDPに占める割合で比較すると北欧諸国の       程度に過ぎない)。

 また(        )の組織率が低下し、当てにならなくなったことも大きい。社会主義の低迷に沿う形で極度に組織率が低下し、(     )の労働組合を主流としてきた日本では組合が完全に機能不全に陥っている。

 日本的な雇用慣行の残存もブラック企業の横行に関与しているという。つまり日本ではかつて終身雇用や年功序列型賃金と引き換えに企業の社員に対する(    )権が強かったのだという。欧米では使用者側に相当の工夫と努力が強いられる

        」や「     」も、日本ではいともたやすく実行される。また長期雇用に対応できるようにするため、日本企業では突然(        )の変更が一方的に命令される事もザラである。今や終身雇用や年功序列が崩れつつあるにも関わらず、企業の命令権だけは強大なまま、残存しているというわけだ。とすれば確かに日本企業のすべてがブラック化する可能性があることになろう。欧米の場合は解雇されやすい代わりに、仕事の内容や資格が重視されるため、業務内容の一方的な変更はまず起こりえず、(      )も比較的スムーズであるという。

 また欧米が仕事自体の専門能力を重視するのに対して、日本企業は会社の命令に柔軟に対応できる(      )や「コミュニケーション能力」といった曖昧なものを重視している傾向がある。このため日本のブラック企業は離職を促す際、会社の命令に絶対的な服従を強制しつつ本人の人格的側面をことごとく否定することに働きかけの主眼が置かれていると考えられる。

3.生活保護の現状

 2012年に人気芸人の母親が生活保護を受給していたのが週刊誌に暴露されて話題になり、生活保護の(       )問題が再び、浮上してしまった。しかし実際の不正受給者はほんの一握りに過ぎず(しかもその多くは年金や子どものアルバイトなどの     という軽微なもの)、保護費全体のわずか(   )%に過ぎない。

 むしろ貧困者の圧倒的多数が生活保護の対象から外されているという恐るべき実態が、このマスコミによる生活保護受給者へのバッシングによって完全に隠ぺいされてしまった。逆に生活保護基準の引き下げや親族による(     )義務(直系血族と兄弟姉妹、場合によっては3親等以内の親族)の強化ばかりが強調されてしまったのである。

※日本のシングルマザーの(   )割超が貧困に直面している。この貧困率の高さは女性への偏見

 (家事育児介護負担の偏り…)と若者の就職状況の悪化という政府の現状への無理解も加わって支え

 られてきたのである。これは日本が人権という観点からはもはや文明国といえないレベルにまで劣化

 していることを示しかねない。

 2010年の公的扶助補足率の国際比較では日本がわずか(   )%程度なのに対してスウェーデン82%、フランス91.6%、ドイツ64.6%。日本では生活保護を受けるべき貧困者の(   )割は生活保護を受けておらず、我慢しているのである。日本で繰り返されてきた「働こうとしない怠け者に血税を与える必要はない」というバッシングがいかに見当はずれであるのか、この数字だけで痛感できるだろう。そもそも働きたくとも働けない健康な若者であふれている日本の雇用状況のなかで、ハンディを負っている貧困者が正規雇用にありつける可能性は皆無に近いのだ(雇用条件に運転免許や     の所持を求める事業所は多い)。

 1980年代から始まっていた「        」(生活保護受給者を減らすために、その申請段階から役所の窓口で嫌がらせを加えてみたりすること)の成果は確かに上り、貧困者を見殺しにする体制がほぼ日本では出来上がっている。その結果、貧困者の中には(     )する者(2005年北九州市で67歳男性、2006年同市で56歳男性、2007年同市で52歳男性)や自殺に追い込まれる者(2006年秋田市で37歳男性、2007年北九州市で61歳男性)、熱中症で死亡する者(2010年さいたま市で76歳男性)や凍死する者(2012年札幌市で40歳女性)が続出している。今野氏は明確な餓死者は毎年50人前後、定義によっては毎年1000人以上とする見方もあるという。

 水際作戦の手法は主に三つあるという。まず、路上生活者やネットカフェ難民に対しては「住民票が無いので受付できません」と申請を断る。次に稼働能力層には

          に行って下さい、働ける人は受け付けられません」。身寄りのある場合は「家族、親族に援助してもらいなさい」。どういうケースでも

      )を役人は渡さなければならないのだから、これらの対応は基本的にすべて違法である。日本ではまさに役所の窓口で法を遵守すべき公務員によって違法行為が横行している、ということになる。

 日本の場合、生活保護の受給条件自体が異様に厳しい。まず家(資産価値の無い家なら可)や自動車、預金、生命保険などの資産は基本的に(      )ことが求められる。さらに親族等に役所から扶養の要請がしつこく行われる。この結果、親族からはつまはじきにされ、親戚付き合いも不可能となる事が多い。

 つまり個人のプライバシーや(     )が傷つけられても我慢しつつ、自他ともに全力で自分が極貧であることを半永久的に世間に証明し続けなければならない。しかも親族からの援助があればあったでその分の保護費は減らされてしまう。地方であれば子どもがいても月平均17~8万の保護費(年間200万ほど)に過ぎず、この金額以上の生活は決して許されない。つまり日本の場合、生活保護とはもはや貧困から脱出するための方途ではなく、むしろ孤立と極貧の(      )につながっているといった方がふさわしい状況に陥りつつあるのだ。

 保護費を(    )することも厳禁となる。たとえば老後の為に毎月、少しずつ保護費から貯金していた受給者が「不正受給」と見なされて、一部は「死後の葬式費用」に回され、残りは保護費の減額対象とされてしまっている。

 こうした問題の背後には国や地方の(       )があり、福祉対策の

          )が削減されてきたことがある。一人のケースワーカーが担当する貧困者世帯は(     )件を超える場合も多く、丁寧な対応が物理的に困難(大阪市は400件!)。

 さらに多忙を極めるケースワーカーにはそもそも(         )が欠如していることも多い。多くは一般事務職として採用され、福祉事務所に配属される。しかも3年程度の短期に過ぎず、必要資格とされている「          」は3科目の単位取得でとれる、安易なもの。加えてケースワーカーの4割はその資格すら持っていないという。

 にも関わらず、ケースワーカーには受給者の(         )を侵害し、指導に逆らうとされた者には保護を打ち切るといった強大な権限が認められている。ケースワーカーによる受給者への(       )によって受給者を死に追いやることも(稀ではあるが)十分に起こりうることなのだ。本来、貧困者の支援に力を注ぐべき役人が受給者の(    )と統制に励み、受給者の削減(福祉の切り捨て)に全力を尽くしているのだからそれも仕方がない。

 福祉政策の貧困に付け込む「         」が一方で台頭してきたらしい。路上生活者やネットカフェ難民らをターゲットとした無料低額宿泊所もその一つ。1人2畳ほどの狭いスペースに簡単な間仕切りがしてあって粗末な食材が提供され、月10万円近くを払う。収容者は生活保護受給(独り者の場合、月10~13万円)を条件とするため、代金の支払いに滞りはなく、経営は安定している。

 一方で住人はプライバシーも保てない狭い空間で粗末な食材を与えられ、自炊を余儀なくされているのである。福祉事務所側は受給者の把握が容易になるため、宿泊所の劣悪な環境には目をつむったままとなる。都内で急速に路上生活者が目立たなくなった背景にはこうした悪質な「収容所」の増大があるという。さらには旅館業法の適用されないレンタルオフィスがいわゆる「脱法ハウス」としてネットカフェと同様に劣悪な環境で居住スペースを提供している場合もあるらしい。

 国民の血税が生活に困っている人を助けることに本当に使われているのか、

    )税増税の前に一度、きちんと疑ってみた方が良いのかもしれない。