「俺はね、翔君、

ほんとにサプライズで仲間に入れてもらった感じで・・・。」

 

せっかく共演しているのに

一緒のシーンがほとんどないから

飯でも一緒に、と他の何人かも誘って

店に来たけれど

 

いつの間にか

二人になった。

 

珍しく酔ってる。

 

そのせいかちょっと無遠慮で

役を引きずっているのかもしれない・・・。

 

「ニノさんで共演が決まってからも

まだお互いぎこちなくて・・・

 

距離、あったんですよ・・・

 

でもYouTubeはじめてから

 

ほんとに近くなっというか・・・。」

 

こいつ、何話してる?

 

「知れば知るほどに

偉大な人で、

でも、めちゃくちゃかわいい・・・。」

 

ウイスキーをグイっと飲んで

彼は俺をキッとにらんだ。

 

「前は嵐だったけど

今は違うんですよ・・。

だから、今は俺の方が二宮君の事よく知ってますよ。」

 

そう言って薄笑いを浮かべる。

 

「あなたの知らない二宮君をいっぱい知ってるんです。」

 

「酔ってる?」

 

「酔ってますよ。

だから、

もう彼は俺のもの・・・って言ってるんです。

はははは・・・・」

 

青鬼だ・・・

 

俺を憎んで恨んで

見下して。

これは役ではない。

彼は

俺とニノの関係を羨ましく思って

マウントを取って

俺から

奪おうとしているんではないか?

 

「ニノは、どう言ってる?

お前と俺を比べてる?」

 

マウントを取るのは俺の方だ。

 

「なんにもわかっていないんですね・・・。

二宮君は寂しがり屋なんですよ。」

 

そういってなぜかペロリと舌を出した。

妖艶な赤い舌。

 

この舌で

ニノを

舐めた・・・・?

 

 

 

 

「今日はありがとうございました。

一緒に飲めて嬉しかった。

帰りますか。」

 

彼は突然そう言って伝票を掴んだから

「ここは俺のおごり。」

と慌てて奪い取った。

 

彼はにっこり笑い

「ごちそうさまでした。」と言った。

 

ぞくっとした・・・。

 

鬼を征伐するのは

フィクション?

それとも

 

 

リアル?